よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

映画三昧 ー Dances with Wolves

2021年01月27日 | 映画
アメリカの公開が1990年とあるから、もう30年前の作品となる。結婚してからはめっきり映画館へ出向くこともなくなり、洋画は専らテレビのロードショーに頼っていたから、この映画も恐らくテレビで観たのだろう。その意味では、初めて英語で観たお陰で、新鮮であった。

アメリカに来て、何かのインタビューでコスナーが ”自分にはインディアンの血が流れている”と語っていたから、この映画を製作し、メガホンをとったのは彼の中に特別な想いがあったのかもしれない。

この映画を観てインディアンの世界が面白いと思ったのは、その人の特徴とか行動とかを名前にすることだ。映画の題名は、コスナー演じるダンバーがオオカミと戯れるのを見ていたインディアンがそう命名した。名前という概念がなかった人類創成期は、きっとそういうつけ方をしてきたのだろう。それがつい最近まで残っていたということだろう。’自然に生きる’とはそうしたものかもしれない。

サウス・ダコタを中心にカンザスからワイオミングに至る壮大なロケシーンを観るにつけ、3年前、イエローストーンへ行く折に遠くに見えたバッドランドの景色やバイソン(バッファロー)が映画の画面と交差する。

いつも思うのだが、つくづくこの国はインディアンの土地だったのだと、痛感する。征服する者とされる者、今でもそういう世界に我々は生きている。



映画三昧 ー My Darling Clementine

2021年01月14日 | 映画
映画音楽でも有名なこの映画を何十年ぶりかで観た。OK牧場の決闘として有名で、以降いろいろな俳優で映画化されてきたが、時代とともに決闘シーンが派手さを加えていく中で、西部劇の古典のひとつとされるジョン・フォード監督の手になるこの作品は、派手さはなく淡々と話が展開されていく。

物語は、ワイアット・アープ兄弟が仕事で牛追いの途中、因縁のクラントン兄弟と出会うところから始まる。映画の背景は、遠くにトゥームストンの町が見え、その向こうにはモニュメント・バレーの岩山がシルエットのように点在している。もちろん、トゥームストンとモニュメント・バレーは実際にはそんなに近くではないのだが、映画のロケーションとしては、”いかにも西部の”という感じが出ている。

ヘンリー・フォンダのワイアット・アープ、ビクター・マチュアのドク・ホリデイを配し、最後のOK牧場の決闘では、後々の映画が好んで使ったような両陣営が至近距離で対峙し、派手に打ち合う方法ではなく、実際に起こった戦い方に近いものを再現したとフォード監督自身が語っている。

最後のシーンがまた良い。決して饒舌ではないアープがつかの間に心を通わせたクレメンタインに残すセリフだ。「 Ma'am, I sure like that name, Clementine」。そしてモニュメント・バレーの彼方に去っていく。

アウトレット考

2021年01月06日 | ビジネス横丁こぼれ話
よし坊が初めてアウトレットなる言葉に出会ったのは、1980年代の初め、日本からの出張でマサチューセッツ・ローレンスにあるスポーツシューズのニューバランス工場を訪問した時の事。会議を終え、担当者が工場見学の最後に工場の脇にある建物に案内してくれた。標識にOUTLETと書いてあり、尋ねると機能的には問題ないが色等の外観欠点で不合格となった二級品を安く社員や周辺住民に提供してるとのことであった。

次にアウトレットの言葉を目にしたのは、1995年現地法人立ち上げでジョージアに移って来た時である。初めての海外生活で土日はお上りさんの如く買い物ツアー。当時、アメリカではアウトレットモール急速に広がり、NY近郊のアウトレットモールは日本からのNY観光ツアーの人気スポットであった。

当初は有難がって買っていた商品にやがて気づいたことがある。例えば衣料。筆者が好む或る特定ブランド品を注意深く観察したところ正規店と同じデザインは滅多に見かけない。正規店とアウトレット店で色柄デザインや縫製国が明確に分かれていたのだ。そして、何よりも、ニューバランスで聞いた二級品コンセプトからすると、商品の品ぞろえが豊富過ぎるのだ。ブランドの正規店ものでもなく、ニセモノでもなく、正規店向け生産の不合格品でもない、と言うことであろう。

このアウトレット商法、広大なアメリカをカバーする手法としては、実に上手く出来ている。有名ブランドが軒を飾り、しかもアウトレットだから安い、と触れ込めば客が集まる。そこにデザイン、生産拠点、使用材料を変更することで正規店とは一線を画した商品を並べビジネスチャンスを広げる。有名ブランドが都市部ではなく、郊外や過疎地に単体出店するのは現実的ではないが、他店との集合体ならトータルコストはぐんと下がり、宣伝効果も見込める。都市型モール商法の田舎版として、全米に瞬く間に増えていった。

この”ニセモノではない”という曖昧さが消費者の心理をつき、見事に「アウトレット商法」を成立させている。アウトレット専用品と最初から納得して買えばいいわけだが、アウトレット専用商品と正規店向け不合格品が目の前にあったら、あなたはどちらを選ぶ?