よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

New Balance Lawrence

2017年05月31日 | アメリカ通信
娘がオハイオからニュージャージーに移り住んでかれこれ7年くらい経つだろうか。今回初めて娘の住む町へやって来た。ジョージアから約850マイル、休憩無しで走れば14時間くらいだが、もう若くはない。途中ウェスト・バージニアで一泊した。

以前から機会があれば念願のニューバランスのマサチューセッツ州ローレンス工場を訪れたいと思っていた。ニュージャージーからだと片道4時間強で行けるので、昨日ワイフと5時起きして出発した。

もちろん、工場を訪れると言っても、関係者でもないので工場の中に入れるわけではない。それでもいつか行ってみたいと思ったのには理由がある。

今から30年も前のことだが、その当時、日本の会社の海外担当として飛び回る中で、初めてニューバランスでプレゼンの機会を得た。それがローレンス工場だった。

工場の前に着いて、まず目に飛び込んできたのが実に印象的な古いレンガ色の大きな建物だった。中も下は昔ながらの木製の床であり、高い天井もむき出しだった。部屋に案内される途中、昔は大きな繊維工場だったと聞いて納得した。

この繊維工場とニューバランスの歴史をひもとくと興味深い。1906年ボストン近郊で旗揚げしたニューバランス。、少し遅れて1909年、ローレンスではThe Ayer Millsが現存している記念すべき工場ビルを建てている。繊維産業の衰退で繊維工場は閉鎖したが、そこをニューバランスは買い取り企画生産の本拠地として現在に至っている。

工場のプレゼンをきっかけに、少量ながらハイエンドのランニングシューズへの新素材採用が決まり、当時毎年開催されていたスーパーショウで華々しくデビューした。以来、ニューバランスのファンとなったのは言うまでもない。

たかだか建物を見るだけに片道4時間もかけて、と思われるかも知れぬが、よし坊にとっては念願の貴重な一日だった。


トランプ イフェクト - 極右の復権

2017年05月13日 | アメリカ通信
トランプを大統領に押し上げた勢力のひとつにalt-rightと呼ばれる新保守派がある。保守派もいろいろあって正確な定義は分からない。が、トランプの台頭とともに勢いを増している。

オバマ率いた民主党のリベラルの8年間をジッと我慢をしていた「右」の勢力が一気に息を吹き返したような感があり、政権中枢はそうした連中で埋められている。

巷でもこうした流れが顕在化し、あるいは加速しつつあるように思われる。

その出来事が起こったのは今年の2月のことである。アトランタから北東1時間のところに、かつて金鉱でゴールドラッシュに沸いたダロネガという古い町がある。その町の中心部近くにある建物に突然おぞましい看板が掲げられたのだ。「クー・クラックス・クランの歴史的集会所」と書かれていた。

このニュースはたちまち町中に広がり、悪名高いKKKが復活したのではないか、と緊張が走った。この建物は80歳を超える資産家の白人女性の所有物で、彼女が看板を掲げたことが分かった。

この”好ましくない行動”は早速市の当局者に通報され、市として直ぐ取り外しの段取りに入った。これを聞きつけたKKKのメンバーと思しき連中がピックアップでアジる中、市長と警察立ち合いのもとに看板の取り外しが行われ、大きな騒動にもならずホッとしていたら、なんと、件の白人女性が今度は建物に同じ文言を書いた小さなプレートを打ち付けたいと市に申請してきたのである。当然許可されなかったのだが、アメリカにおける”白人至上主義者”の根深さを物語るには十分な出来事である。

そう、アメリカの”白人至上主義”は常に底流に流れており、普段はその顔さえ見せないが、何かのキッカケさえあればたちまち顔を出すのである。これがアメリカの現実だ。

臍下三寸人格無し - ビル・オライリーとFOX NEWS

2017年05月01日 | アメリカ通信
共和党の強力なサポーターであり代弁者であるFOXニュース。そして、20年の長きに渡って断トツの人気を誇ってきた看板政治コメンテーター、ビル・オライリーがセクハラ三昧の果てに、脆くも追放された。明らかになったのは、権力を手中にした者の驕りと傍若無人さ、そしてアメリカを代表するメディア、FOXの陰湿な企業文化である。長らく”噂”として流布されていたFOXの陰の部分が人気コメンテーターの凋落で一気に明るみに出たのである。

「立派な人物」とはどういう人のことか。学歴が高ければ立派か。それは違う。就いている職業で決まるのか。それも違う。結局のところ、そんな基準では計れない、いや、計ってはいけないと言う事だ。簡単には人間の価値など決められない。生前の評価は、せいぜい”良さそうな人だ”ぐらいのところで、本当の所は分からない。評価が定まらるのは死後のことだ。

昔から”色事は男の特権”みたいなところがあって、ある限度までは大目に見る風潮があったし、それは今でもある。”人格無き臍下三寸”のMale Human Natureで今まで何人の有名無名の人達が落ちて行ったであろうか。Male Human Nature故に、男たるものよくよく考えないといけない。

実はFOXは昨年大スキャンダルが持ち上がった。FOX創設時からの社長のロジャー・エイルスが、人気女性キャスターからセクハラ・パワハラで訴えられたのである。このスキャンダルで彼は失脚し、FOXはお決まりの謝罪と不祥事防止のコメントを出したが、社長を筆頭にセクハラ・パワハラお構いなしの幹部クラスの行状を見ていたその他大勢の社員は、社長のクビくらいで会社が変わるとは到底思っていなかったに違いない。One Bad Appleが見事なまでに企業のセクハラ・パワハラ巣窟文化を醸成していたのである。そして今回のスキャンダルである。

ビル・オライリーは、切れ味鋭い舌鋒で瞬く間にスターダムにのし上がり、セクハラ・パワハラ巣窟文化の中でやりたい放題だったが、それが暗転した。ニューヨーク・タイムズが過去5人の女性に対し、FOX及びビル・オライリーが総額13百万ドルの和解処理を密かに行っていた事をすっぱ抜いたのである。これを機に、被害者が名乗りを上げ始めた。

FOXは当初、名乗りを上げるのは限られており沈静化すると高を括っていた節がある。急遽オライリーをバケーションと称して国外に避難させ様子見と決め込んだ。ところが沈静化するどころか、毎日のように新しい被害者が名乗りをあげ、その都度3大ネットワークで取り上げられる始末で、FOX=ビル・オライリー=セクハラの3点セットのニュースのオンパレード、祭り状態に突入してのだ。

実は、被害者側の弁護士は、狡猾なFOXとオライリーを相手にするにあたり、一つの作戦を立てた。この3点セットのニュースを毎日のように3大ネットワークに取り上げさせることによりFOXを追い詰め、オライリーを辞めさせる事であった。その為に1人の無名の黒人女性に訴訟に立つよう働きかけたのである。これが決定打になった。

知名度の高い女性キャスターやレポーターが続々名乗りを上げる中、立場の弱い無名のスタッフは仕事が無くなる不安から訴訟には二の足を踏んでしまうが、弁護士の説得が功を奏して、彼女は訴訟に名乗りを上げた。事ここに至っては、さすがのFOXも”終わらぬスキャンダル報道”に追い詰められ、オライリーを切らざるを得なくなった。

FOXはこれから変われるか。実はオライリーに次ぐコメンテーターとして、これまた切れ者のショーン・ハニティが健在である。彼がどうなのか、第二幕があるのか、世間は興味津々で成り行きを見守っている。