先月5月初めから、ドイツの小説家ヘルマン・ヘッセの「青春は美し」を読み始め、そろそろ終わります。ドイツの文化を楽しみ少しでも理解しようとドイツ語の原文で読んでいます。1916年発表の、Shon ist die Jugend.です。
物語は、故郷を出て学成り、自らの立場を固めた青年が、休暇を利用し久しぶりに故郷に戻り、家族や知人、旧友らと交流を描いたもので、故郷を思い青春をなつかしむ心がよく表れています。ヘッセの作品ほとんどが、故郷と幼少年期が主題として貫かれ、おおくが青春小説といえるのではないでしょうか。
実をいうと僕は、ヘッセの作品が好きで、高校生時代に影響をうけ今の自分があるように感じています。自分の好きな作品を、原文で読むのは語学の勉強になることは、以前のブログでも書いた通りです。
僕は、ドイツ語は自分の意思を、明確に理論的に伝えるのにいい言語だと思います。かなり長く、また引用文の含まれる込み入った文章であっても、それぞれの文章は、その始まりから、終わりまでが分離動詞などの活用で一括りになることがほとんどです。ですからどのように長く複雑な文章であっても、因数分解を解くように整理できます。
ところで、最近、ネット上で、ドイツ語を学習する人口数が世界の中で上位に位置づけられることを知りました。おそらく、EUでのドイツ(メルケル首相)の指導力が評価されていることが背景にあると思います。
さて、話はすこし飛んで、先日のG7伊勢志摩サミットについて。共通認識の一つが、「世界経済の先行き下方リスク」でした。安倍首相はこのあと、消費税増税延期を表明しました。それでは、社会保障費の財源はどうするのか。明確な回答はないのですが、民進党が提案している赤字国債発行は、NOということです。あくまでも想像ですが、G7サミットの席で、ドイツ、メルケル首相が、財政政策にあたり、規律は守るようにと強く理論的に主張したのではないかと思うのです。
以前より世界経済バランスのなかで相対的に力がおちているようなEUですが、近現代の歴史を通して見ると、科学、政治、文化等で世界をけん引する力はヨーロッパ、EUは大きいのではないかと思います。そのなかでもドイツの地位は高いのではないでしょうか。
絵は主人公が汽車で帰郷するところ。 2016年6月6日 岩下賢治