白と黄色のクロッカス
ウクライナが酷いことになっている。都市が戦場になっている。戦史を辿れば明らかなはずだが、大きな都市内では砲弾が飛び交うような戦いは、ほとんど例がなかったのではないか。戦場は首都や大都市とは離れたところにあって、勝負が決着した後にそこに凱旋するのが普通だ。占領後に抵抗勢力やパルチザンなどのゲリラ戦があるのは通例だが。
露・ウの戦いは、異常である。戦争に異常も正常もないのだが....
そんな戦いの一方の旗頭、侵略の張本人が一体何を目的にしているのかが、皆目わからない。彼の意図、あるいはかの国の要望が、ただ単に報道されないだけなのか。
伝えられるところでは、ナチ勢力の粉砕、地域の中立化、ウクライナ南部地域のロシア民救済などと言われているが、本当なのだろうか。私たちには、遠い国のことだから真相は分からないが、本当にウクライナにナチ勢力がいるのか、ロシアを脅かす軍事勢力が迫っているのか....甚だ疑わしい。らなば、何がプーチンを駆り立てているのか。私には、それが分からないのでイライラしている。
ロシアは別にNATOを恐れる必要な何もないはずである。NATOはもともとソ連時代のワルシャワ条約に対抗したものであって、今ではイギリス、アメリカも腰を引いている組織である。それなのに、NATOとかEUとかの何に恐れているのか。
私が思うに、プーチンはひょっとすると未だソ連時代に生きているのではないのか、と想像する。ソ連というのは社会主義国家として、コミンテルンを結成し世界制覇を目指し、一気に東欧からアジアに勢力を拡大した大勢力だった。その国のKGB=秘密警察の官僚だったのがプーチンである。プーチンは社会主義が何故壊滅したのか、その経済社会思想や政治思想は何が問題だったのか、理解していないのだと思う。ソ連が崩壊したのは幹部が腐敗したせいだとしか、思っていないのかもしれない。もしそうだとしたら世界認識の錯誤も甚だしい。プーチンの言辞や、大統領としての地位の中にそういう仮構された言辞が点在しているのではないのか、と疑ってしまう。このことはロシア民にとっても、何故ソ連が解体したのかのについての理解にも関わってくる。ロシアには、依然として共産党という政党が一大勢力として生き続けていてるのである。
翻って中国も同じである。
ロシア社会主義とはなんだったのか、もっと掘り下げてしかるべきではないか。ロシア社会主義は共産主義の本義に反している。今回の戦争を戦況論だけで云々するのではなく、ロシア社会主義の延長で考察するそんな解説が皆無なのが、残念である。【彬】