我が家のシャガ
宇露戦争はもう1ヶ月が経過した。しかし今後がどうなるのか、出口は皆目わからない。分からないのは、ロシアという国のことが分からないからだ。
ガルージン駐日ロシア大使の達者な日本語や柔和な表情からは、ロシア人の傲慢さや邪悪さは微塵も感じられない。どこの国でもそうだが、国家という後盾を持つと人は一変するらしい。国内における反ナチ宣伝、西欧からの侵略史観、ロシアの大儀など、いくらプロパガンダされても、現在のグローバル化し、情報化した社会では、普通は考えられない。思想統制されているからと言って、本気で戦争にのめり込むのは、普通の感覚からすれば異常である。国内では教師やジャーナリストらが微かに反戦意識を漏らしたりすると、周囲から告発され、職を失ったり、刑罰を受けているようだ。
ロシアはフランスのナポレオン、ドイツのヒットラーのことが、依然として脳裏から消えないのか。と同時にイワン(ソルジェニツェン・トルストイ)の頑健な凡庸さに由来しているのか。
もう一つ分からないのは、戦争ということである。戦況については、刻々と伝わってくるのだが、現代においても、未だに戦車とかで撃ち合いなどをしているのだろうか。もっと高度な戦いがあって、先進国ではあっという間に勝敗が決まり、市民を虐殺するような、あるいは都市を丸ごと破壊し、死体から戦利品を剥ぎ取るなどといった様相はありえないと思うのだが。
アフガンとかシリアとか、チェチェンとか、内戦状態ならばさもあらむだが、先進的な国家の戦いとは到底思えないのである。
ロシアは曲がりなりにも共和国である。それなのにこうしたロシア的な専制的で残虐的な行為が何故可能なのか。ロシア革命後から今日に至るまでの政治・社会・経済のあり方が新たな視点からの研究テーマになる。従来の考えには、何か重大な抜け穴があったのではないのか。このことは中国社会、あるいは朝鮮半島のことを考える時にも必要不可欠のように思う。【彬】