ブンタン
昨年秋口から、全身に湿疹ができ、痒い。痛くなることもある。こんなことは初めてで、年とったせいかとも思っていたが、皮膚科で診断してもらったところ、乾燥肌だという。
保湿剤と炎症を抑える軟膏、アレルギー制御の薬を処方されたが、一向に回復せず、医者を何度かかえたりした。そんな中、ある先生がいう。
「その症状はね、春になると自然と治るんだよね。不思議だがね。」
症状は多少は改善したものの、なかなか完治に至らない。そんな時、本屋で「気象学入門」という本を見つけた。昔のブルーバックス=講談社の改訂版ということである。日々の天気予報については、人以上に関心をもっているのだが、気象学という考えには、至らなかった。読み始めると、なかなか難解だ。難解に思うのは、気象についてひどく誤解しているからなのであろう。論理が素直にうけいれられない。
その一つが温度が低いと乾燥するということ。
冬、寒いと息が白くなる。道端に霜柱が立つ。大気に湿気があるせいではないのか。夏は喉が渇き、汗をかいて皮膚から水分が蒸発する。蒸発するのは、大気が乾燥しているからではないのか。洗濯物は、夏の方が圧倒的に渇きが速い。夏の太陽で空気が乾燥し、軽くなり、上昇気流が発達し、入道雲ができる。暑い時のほうが空気は乾燥しているのではないか。寒さの中、湿気たっぷりの雪が降るが、これはどうしてか、等と。
なにか生活実感とは、反対のような気がする、のである。
でも、よく考えてみると、確かに冬は乾燥している。その証拠に落ち葉がある。落葉樹は葉の水分を寒さで蒸発させるから枯れるのだ。常緑樹は葉が分厚いから乾燥を防いでいるのだ。火事が多いのも冬だ。
人間の皮膚も同じなのだろう。冬に乾燥肌になるわけだ。春になり、湿度が上がってくれば、自然と治るのも自然の道理には違いあるまい。
などと思った次第。
台風の仕組みや季節風の動きなど、気象を予報士やコンピュータに任せず、もっと理屈を学んでもよいように思う。と思うのは私が無知なせいなのか。【彬】