エゴノキの実です。食べられませんが、みずみずしい実をつけています。
知り合いが老母を施設にいれたと報告に来て、ホッとした様子だった。それは良かったと慰めながらも、費用が気になって、いくらかかるの? ときいてみた。すると、月に40万円と言うことだった。高額だとは予想していたが、40万と言うのには呆れた。一体その金額、誰が払うのか? 当然高齢の入所者は払えない。家族が負担することになるはずだが、月に40万と言うのは、中堅のサラリーマンがやっと手にする金額である。
そう言えば、絵本作家の佐野洋子さんの優れたエッセイ「シズコさん」の中で、苦労して老母を施設に入れる金額が、確か30万円だった気がするから、東京都内や近郊の有料老人ホームの費用は30〜40万というのが普通なのだろう。
特養のように、安価で無料とは言わないが、介護費用がこれほど高額になっていることの現実を、方法を尽くして改善する必要があろう。もちろん現在の介護保険制度はそれなりに工夫がこらされ、費用の面でも福祉予算が費やされているのだが、基本は介護認定の程度によって費用が異るように設定されていて、入所するにはそれ相応の条件が必要になっている。しかし、私は希望者は誰でも等しく入所でき、それなりの予算措置がされるべきものであると思う。介護はできるだけ家族がすべきで、家庭で処理できなくなった分を、社会が面倒をみようとする考え方が背景にあるため、重度の介護認定でないと保護の対象にならないという思想がその背景にこびりついているのだ。
養老介護は、理想からいえば介護の必要度の程度で差配される問題ではなく、老衰を迎えた老人に等しく施されるべきものだと思う。
老衰は誰にでもやってくる。そしてそれは育児と同じように介護なしには対処できない。これは人間の宿命である。私たち高齢者は家族に迷惑をかけないように「ピンピンころり」が理想などと、ことあるごとに冗談めいたため口を叩き合っているのだが、「ピンピンころり」ではなく、穏やかに安心して終末を迎えたいのである。
私は介護施設と総合病院が有機的に繋がった介護都市のような構想を持っている。次回に述べて見たい。【彬】