ご近所のロウバイが開花
エスカレーターで片側を空ける習慣は、どのように生まれ、何時ごろから定着したものなのだろうか。少なくとも私の30〜50歳ごろはなかった。はっきり言って、あまり好ましい習俗とは思わない。
先頃のこと、東京駅だったか、電車を降りると階段前のホームが混み合っている。そんなに乗降客が多くはなかったはずで、どうしたのかと思うと、エスカレーターの順番待ちをする行列だった。だが、よく見ると、片側がまったく空いている。なんで空いているところに乗らないのか。
右側は急いでいる人たちのために空けているとのこと。急いでいるなら、階段を利用すればよいだろうに。しかし、片側=右側を空けるのが、エスカレーターに乗る際のマナーになっているのだ。なんとも不可解な習俗だ。
この習慣は駅側にとっても迷惑らしく、時に「危険だからエスカレーター内で歩かないように」とのアナウンスが聞こえてくる。「危険」というのはおそらく方便で、伝えられるところだと利用者が片側に寄りすぎるとエスカレーターの仕組・機械の劣化が早まるらしい。
著名なブロガーであるfinalventさんも、この習俗に不満らしく、わざと右側に乗るとのこと。すると必ず嫌な顔をされるという。先日、比較的空いている時に、finalventさんに習って私も右側に立った。ちょうど荷物を左側に抱えていたから、右側でも不自然ではなかったと思う。
すると若者が後ろから降りてきて、すみませんと右側を空けるように言う。仕方ないので空けてあげたが、その折「階段は歩いてはダメでしょ」と言ってやった。若者はふりかえりもせず、さっさと降りていったから、年寄りがなにをほざいていやがると思ったに違いない。「階段」というのはエスカレーターの言い間違いだが、とっさのことだったので、つい「階段」と言ってしまったのである。
こんな時のために言葉を用意しておけばよかったなと、後で悔しい思いがしたのだった。【彬】