毎年今頃は、自分所属する絵画愛好会が開く、5月の作品展示会の作品準備で少し悩まされる。4点を予定しているが、何を描いたらよいのやら。
よくすることは、気に入った風景写真をネタに絵に置き換えてみることだ。そうすると描いているうちにその場にいるような気分になったりする。海外の風景なら、海外旅行をしているような錯覚に陥る。
先日、NHKテレビのアラビア語講座で10年ほど前に録画した映像を見ていて、北アフリカのモロッコ編でのリヤードの紹介から、閃めくものがあった。
マラケシュの旧市街には伝統的な住宅が多く残されているが、今はその多くがホテルとして再活用され、旅行客に大変人気だという。それらは全ての部屋が中庭を囲む形になっている。そのようなホテルをリヤードと呼ぶが「庭」という言葉の意味がある。エキゾチックで優雅な雰囲気で、泊まってみたいと思う。・・・それならば、その絵を描きながら異国情緒と優雅な気分に浸ってみようか、と安上がりのことをしてみた。
録画映像をベースに様々な資料を集め、自分なりのリヤードを描いてみた。これが写真とは違ういいところだ。
5月の展示会はコロナ禍で、開催は未定であるが、いろいろ風景画を描いて、架空の旅行でも楽しもうか。
絵はテレビ講座の一場面。手書きのアラビア語を日本語に直すと、
部屋は全て庭の周りにあります。私たちはこのような家を、リヤードと呼んでいます。それは、「庭」を意味します。
2021年4月6日 岩下賢治