小菊がたくさんの蕾をつけている。
ご承知のように、今回の衆議院選挙、公表されているデータの主要をまとめると次のようになる。
●投票率 53.7%
●獲得議席数
今回 解散前
自由民主党 261 276
立憲民主党 96 109
公明党 32 29
日本共産党 10 12
日本維新の会 41 11
国民民主党 11 8
れいわ維新の会 3 1
社会民主党 1 1
無所属 10 12
●支持政党10月(選挙直前)段階(NHKの世論調査より)
自由民主党 38,6 %
立憲民主党 8.0
公明党 4.3
日本共産党 2.9
日本維新の会 3.5
国民民主党 0.8
れいわ維新の会 0.8
社会民主党 0.7
支持政党なし 31.4
どこが勝った負けた云々の問題より、これらの基本データをどう読むか、が重要であると思う。立場によっていろいろだろうが、私はタイトルで示しように無党派である。その私には以下のように読める。
まず投票率である。50%前後であることをどう判断するか。政治評論家や識者といわれている人達は政治的無関心が広がっていることが問題だ、という。選挙管理委員会もプラカードや宣伝カーで投票を呼び掛けた。でも私は選挙に関心のない人が2人に1人というのは、すごく健全なことではないか、と思う。政治的、政策上の方策が自分の生活に直接影響を受けると思う人は、ほんの少数だということである。このことは、政策を実行する上には、幾重にも法律や行政的手続きがあって、私たちの生活に直接響いてくるのは、ずっと後日、ほんのささやかなことになっているということなのである。直接的に響いてくるのは、せいぜい増税くらいか。その税金にもいろいろなバリアがあって、実行するには様々な手順が必要になっているのが、現在の複雑化し、安定した社会なのである。
このことを日本は直接民主制ではないからという人もいるが、そうではなく、世の中の仕組みが多様で、複雑化したのである。どの政党の誰を選ぼうと、直接生活に響くことなあまりないのである。ちなみに今回の選挙では、各政党の政策は似たりよったりの改革案だった。
私の子供の頃、昭和の30年代だと投票率は70~80%はあった。というのも、地方の農家だと、政府買い上げ米価とか肥料、租税とか、政治が直接響いてきた。だから誰がどの人に投票するかは、極めて大事なことであったので、投票日前後は夜通し焚き火をして、誰か不審な動きをしていないか、見回りをしたほどであった。今、後進国の一部でそのような選挙が行われていることは、ニュースなどで伝えられている。
では投票する人はどういう考えなのか。支持政党で見ると分かる。特定の政党を支持しないとする人が、多数を占める。つまり特定政党の特定の政策に関わっていないのである。では、どういう観点から投票するのか、と言えば、政党ではなく、候補者自身の過去の言動だということになる。今までどういう意見をいい、どういうことを重視してきたのか、ということに尽きる。自民党を支持する人でも、自民党以外の候補者を選ぶのに躊躇する人はいない。今回の当選者で無所属が10名いることで、これは明確であろう。
その結果が今回の投票結果である。
共産党がどうのこうの、立憲がどうした、維新が何を訴えか、自民党の岸田首相がどうのというのは、投票行動にはあまり関係がないのだ。立憲と共産が政策協定したから労組が離反したなどという評論を見るが、現在の労組にそうした力はないし、共産にしても勢力は低迷していることは誰が見てもはっきりしている。60年前の人民戦線という夢想に取り憑かれている政治学者に共感する人など今はいないのである。
現代社会は、政治の役割は大きくはなっているものの、私たちの生活はそんな政治的な世界とは、あまり関わりのないところで平穏に暮らしているのが現状である。そうした現状分析なしで、無党派がよろしくないなどという愚かな識者が多いのにうんざりする。問題の立て方がずれている。【彬】