梅が咲き始めました。
私は軍事の専門家ではないし、いわゆる平和主義者でもないが、今回のウクライナへの軍事侵略については、思うことがあるので以下記しておく。人様からの意見を拝聴するのではなく、自分自身の知見を、各種の情報から詰めていくことが極めて大事なことだと思うからである。
私にとって現今の問題はロシアがなぜウクライナに侵攻したか、ではない。専門家などは、ウクライナ東部の所属の問題とか、クリミア半島の帰属の問題などを云々することによって、どこに正義があるかなど議論しているが、私たちにとっては、遠い他国のことはよくわからないし、それについて云々しても始まらない。
ならば、何が大切なことかと言えば、ロシアの大部隊がなぜ一気にウクライナ、あるいはキエフを占領できなかったのか、ということ。プーチンが安易に見積もったとかということではなく、これは現代の軍事の持っている根本的な課題なのではないか、ということなのである。
言い換えれば、私は次の3点が今日の軍事には決定的に重要になっていることを証明したのではないか、と思うのである。
1)SNSに代表されるような情報網の拡充によって、物量作戦が計画通りに進まなくなっていること。物より情報が先行するのである。戦車の動きは逐一、相手側に掌握されていて、効果的な攻撃ができなくなっているのではないか。昔の戦闘でも大切なのは偵察隊とか通信兵だった。
2)交通手段の高度化、つまり車社会の実現で、相手に対し自在に動けるようのなっていること。戦車のような重火器より軽機動の移動手段の方が込み入った地形の中では優位に作用するのではないか、ということ。ロシアの戦車の車列を見るとそう思う。
3)ロジスティックの変化ということが第3である。重火器には相当なエネルギーが必要となる。それは現地調達はできない。となれば持参しなければならない。もちろん兵の飲食も必要になる。これをどうするのか。重火器による戦闘の規模が大きくなれば一層ロジスティックの重要性が増す。
さらに金融や生産システムのグローバル化などと考えると、これからは重火器による武力侵略は不可能になるのではないか、などと思うのである。今回のロシアの侵略が思うようにいかないのも、そうした時代の変化・進展を表しているようにも思う。重火器をバックにした政治はもう機能しないのではないのか。【彬】