楽器って何だ・・・。 ゆきたんくは、小学校で学校に行きたくない日があった。それは体育の鉄棒がある日と音楽がある日だ。
音楽は、縦笛(ソプラノリコーダー)の練習がものすごく嫌だった。楽譜を見るのも嫌でどうにかにげることばかり考えていた。
まあそんなやつにできるようになることなんて一つも無いだろう。
「俺だってやればさぁ」なんて負け惜しみが、頭の中でブロック崩しの球のように跳ね返っている。そんな自分だったね。
まずは一つ身につけなければならないと思ったのはマイク・オールドフィールドのチューブラーベルズを聞いてからだった。
普通ならば、エレキギターの早弾きのフレーズからギターがやりたいとおもうのだろうが、ゆきたんくは気に入ったのがたまたまマンドリンの部分だったのだ。
最初に覚えた楽器はリコーダーである。全寮制の高校だったので音楽大学を目指している奴にリコーダーの手ほどきを受けた。そして楽譜が初見で読めるようになった。そう、マンドリンを練習するのにリコーダーほど苦労は無かったのである。
練習譜は初見で読んだし、基本的なチューニングと簡単なポジションを確認して練習したら、簡単な曲ならば結構早いうちに弾けるようになったのだ。もちろんトレモロの部分は多少時間がかかったけれど。
そして大学ではギターに手を出し、取得単位の関係でピアノまで触るようになった。この時になると楽譜を意識することはあまり無くなった。基本的なポジションと、楽器固有にスキルを身につければどんな楽器でも演奏することはできるのだと思ったのだ。
このことをマルチ(ある楽器を卓越した技術で弾きこなすことができるが、他の楽器はコードを押さえるくらいではマルチとはいわない)と表現するのだそうだが、そんなに大したことだとは思わない。
人間はマルチではないか。走ることもできれば、ボールを投げることもできる。跳ぶこともできる。字を書くこともできれば、紙を切ることもできる。
楽器演奏の習得から得たことは、「やるからできる」であった。
ゆきたんくの人生では、ここからスポーツに変化していくのだ。
陸上競技部入部とハンマー投げとの出会いが待っていたのだ。
そしてハンマー投げでもリズムを刻んでいた。
楽器演奏は道具を使ったスポーツの一種なのかもしれないな。