先程、ときおり愛読している公式サイトの【 現代ビジネス 】を見ている中、
『 高血圧は 日本人の二人に一人がかかる国民的「病気」? 』
と題された見出しを見たりした。
私は東京の調布市の片隅みに住んでいる年金生活の74歳の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、たった2人だけ家庭であり、
雑木の多い小庭の中で、古びた一軒家に住んで、ささやかな生活を過ごしている。
こうした中で、私は血圧に関しては、健康診断などで特に注意されず、
今日に至っているが、高齢者は血圧は健康のバロメータですから、注意を・・、
と私は家内から言われたりしている・・。
このようなことで今回、改めて血圧に関して学ぼうと思い、記事を精読してしまった・・。
公式サイトの【 現代ビジネス 】に2019年6月26日に配信され、無断であるが転載させて頂く。
《・・高血圧は 日本人の二人に一人がかかる国民的「病気」?
日本高血圧学会が定める「高血圧治療ガイドライン」が2019年4月、5年ぶりに改訂された。
これにより、2014年のガイドラインでは、75歳未満の診察室血圧における降圧目標は、
140/90だったものが130/80未満へ、
75歳以上の後期高齢者患者の降圧目標は、150/90から140/90未満へと、
それぞれ引き下げられた。
従来よりも厳しい血圧コントロールが求められるようになったわけだ。
学会は公表時の会見で、
「厳格治療と通常治療を比較すると、厳格な降圧により心血管イベントを抑制することができる」と述べて、
厳格化の意義を強調したが、すでに4300万人いるとされる「高血圧有病者」が、
新たに450万人も増えることにもなる。
日本の総人口の半数近くが、降圧剤服用などの治療で、血圧をコントールする必要があるというのだが、
ここまで多人数にのぼると、それは本当に「病気」なのか、
一生クスリを飲み続けなければいけないのか、といぶかしく思う人がいるのも当然だろう。
内科医で現在は高齢者の診療にあたる、この道50年のベテラン医師・松本光正氏は、
特別な事情がない限り、降圧剤を飲むのは止めたほうがいいと主張し、
この厳格化の方向に真っ向から反対する。
最新刊『やっぱり高血圧はほっとくのが一番』から抜粋をお届けしよう。
☆「今が最良」の血圧は、今のあなたの血圧
血圧を心配する「血圧心配症」の人は、2つのタイプに分類できます。
一つは、医師から「高血圧症ですよ」と言われた慢性の高血圧状態の人です。
薬を飲んでいる人も飲んでいない人も含みます。
もう一つは、血圧の急上昇が心配な人です。
この中には慢性的に高血圧状態の人もいれば、普段は血圧が高くない人もいますが、
いずれにしても血圧の急上昇を心配する人たちです。
このような「血圧心配症」の人たちは私に尋ねます。
「高血圧を放っておいても大丈夫なのですか?」と。
私は「大丈夫です」と答えます。
慢性の高血圧状態の人も、血圧急上昇タイプの人も、いずれも心配いりません。
薬物治療は不要なことがほとんどです。
むしろ害です、と私は言い切ります。
たとえば熱、咳などの症状が身体に起こるのは、自然治癒力が命を守ろうとしているためです。
血圧も同じで、今の血圧値があなたにとって最良で、最も適した値なのです。
たとえば嘔吐は、「有害な微生物が体内に入った」という原因があり、
それを体外へ排出するための結果として、「吐く」という状態を起こしています。
これと同じように血圧が高くなることにも、何らかの原因が必ずあるはずです。
その原因から、あなたの命を守るために最も適した値にコントロールされたのが、今の血圧値なのです。
あなたの身体は、そのとき、その状況に応じて最も適した値になるように、あなたの血圧を調整します。
階段を上っているときは、血圧を高くします。
高くしないと、上れないからです。
下りは、少々下がるでしょう。
下りは肉体にとって楽なため、血圧を高くする必要はないからです。
怒っているときには、血圧は上がるでしょう。
怒りという感情が起こると、血圧は高くなります。
これは動物の本能です。
ゆったりリラックスしているときには、血圧は下がります。
このように、あなたがどのような状況にあるのかに応じて、最適な血圧を身体は選んでいます。
ですから血圧は、一定ではありません。
誰でも高くなったり低くなったりします。
よく患者さんが「血圧がしょっちゅう変動します」と訴えますが、それはちっともおかしなことではないのです。
血圧は、一日の間で始終変化しているものです。
寝ているときは、寝るのに適した血圧に、起きるときは、起きるのに必要な血圧に、
ご飯を食べるときは、ご飯を食べるのに必要な血圧にといったふうに、
身体はその場面にふさわしい血圧を自動調節してくれているのです。
毎日の暮らしの中で、心も身体もいつも変化しています。
その変化に合わせて一番よい血圧値を身体は作り出しています。
血圧は変動するもので、それどころか激しく変動しているのが、正常な人間なのだと理解してください。
ところが、血圧は変動するということが理解されていないために、介護の現場では、嘆かわしいことが起こっています。
自宅から車に揺られて高齢の方がデイケアに来ました。
着くなり血圧を測られて、血圧が180でもあろうものなら
「血圧が高いですね。今日の運動はお休みです。そこで見学していてください」、
「お風呂はお休みしましょう」となるのです。
安静時の血圧が、その人の本当の血圧だということや、
動けば高くなるということを介護の現場で働くスタッフが、知らないのかもしれません。
そのため、一時的でも血圧が高かったら、
高齢の方が楽しみにしているレクリエーションやお風呂を休ませてしまうのです。
ときどき「血圧が高いときには、休んだほうがいいですか」
と患者さんから質問をされることがあります。
この質問に対して、私は休まなくてもいいですよと答えています。
想像してみてください。駅の階段を上ったところで血圧を測って高かったとしたら、
あなたはそこで休んだり、横になったりしますか?
おそらくしないですよね。
血圧がいつもより高いからといって、怖がる必要はないということです。
ただし、非常に具合が悪ければ、休んでも構いません。
また、もしあなたの血圧が一日を通して、高いのだとしたら、
それは高くしないと、生きられないからだと理解してください。
血圧が低いのだとしたら、その人は血圧を低く保たないと、命を守れないから低いのです。
あなたの身体は、今のあなたの身体の状態に一番合うように、血圧を自動的に設定してくれている。
そのことをどうか知っておいてください。
人間は、後ろ足で立ち上がった珍しい中型の哺乳動物です。
二足歩行の哺乳動物は、人間のほかにいません。
犬、猫、猿、ライオン、牛、馬、キリン、鼠など、どの哺乳動物も四足歩行です。
立ち上がるということは地球の重力に逆らって、心臓よりも高いところにある脳に、
血液を送らねばならないということです。
しかも、年をとると血管は狭くなり、弾力がなくなります。
若い頃と違って、上の血圧が120や130の力では、脳にまで血液を送れなくなってしまいます。
では、どうしたら重力に逆らい、心臓から脳まで血液をポンプアップできるのでしょうか。
それは、ポンプの圧力を上げることでしょう。
圧力を上げて、心臓から上へと血液を送り出さないと、脳はたちまち血液不足に陥って、人間は死んでしまいます。
だから年齢とともに、人間の血圧は上がるのです。
生きるために、わざわざ身体が血圧を上げてくれているのに、なぜ薬を飲んで下げるのでしょうか。
血圧を下げたら、脳の血流が低下して、脳に栄養や酸素が行きわたらなくなってしまいます。
だから降圧剤を飲む人には、さまざまな好ましくない不調が現れるのです。
たとえば、東海大学医学部名誉教授・大櫛陽一先生の研究によると、
降圧治療をおこなっているグループでは、おこなっていないグループに比べて
脳梗塞を発症する割合が、2倍近く高かったと報告されています。
☆高齢者が無理に血圧を下げると日常の動作が低下する
また、滋賀医科大学の上島弘嗣先生が代表を務めた
「1980年循環器疾患基礎調査の追跡研究(NIPPON DATA)」によると、
85歳以上のグループを除き、血圧が高いほど自立の割合が低いことがわかりました。
この結果だけを見ると「やはり血圧は、下げたほうがいいのだ」と思うかもしれません。
ただし、85歳以上のグループに着目すると、(上の血圧が)120㎜Hg未満の群は、
120~139㎜Hgの群よりも、自立の割合は低かったと報告されています。
つまり高齢の人の血圧を薬で無理矢理下げると、
食事、移動、排泄、入浴などの日常の動作が、低下するということです。
実際、私も降圧剤のせいで、認知機能が低下した女性の患者さんを診たことがあります。
降圧剤で無理に血圧を下げたせいで、脳にきちんと血が回らなくなって、
認知機能が低下していたという方です。
その女性は、私のアドバイスにしたがい降圧剤を止めたら、みるみるうちに元気になりました。
このような簡単なことが理解できないのが現在の医師です。
人間が立ち上がった生物ということや、加齢によって身体に変化が起きていることが、理解できていないのです。
自然界の動物なら、繁殖期をはるか昔に終えた年老いた動物は、ほかの動物の餌になってしまいます。
ところが、人間は自らの手で人間の天敵を駆逐してきたので、
自然界の動物たちとは比べものにならないほど、長寿の生物になりました。
そして、年老いてもなお必死に生きのびようとしています。
年をとっても生物ですから、死にたくないのです。
この死にたくないという本能が、循環器系にもたらした戦術が、
自然治癒力によって、血圧を上げるという結果なのです。
愛おしいほどけなげです。それが高血圧の姿なのです。
ところが、「人間という生物」ととらえる視点から、
血圧を眺めないから「高血圧は悪い」、「薬を飲んで下げましょう」となってしまうのです。
命を守るという自然治癒力がはたらいた結果、血圧が上がっている。
この自然治癒力を無視している医療が、高血圧に「症」と名付けて病に仕立てた薬物治療なのです。
☆最適な血圧の目安は「年齢+90」
あなたの血圧は自然治癒力のおかげで、
今のあなたにとって最適な値になるように、つねに自動的にコントロールされています。
そうはいっても気になるのが、最適とされる血圧値の目安ではないでしょうか。
健康を保つために最適な血圧の目安としては、経験的に年齢+90という数値が使われており、
私もこの数値を目安にしてよいと考えています。
一方でこれは古い考え方だと、否定する医師も沢山います。
しかし、私はこの数値はけっして古いとは思いません。
むしろ、立ち上がった中型の哺乳動物である我々人間にとって、
この値は非常によくできた数値だと考えます。
年齢とともに変化し、上昇する血圧をわかりやすく表しているからです。
この数値を否定する医師は、人の血圧が年齢とともに上昇するということが受け入れられない、
あるいはわからない医師なのでしょう。
年齢とともに血圧を上げることで、命を守っているということが理解できず、
年をとっても若者と同じ数値がよいと思い込んでいるのです。
高齢者の血圧が若い人の血圧を基準に語られている現状、これこそが問題です。
若い人の血管は、しなやかです。動脈硬化も狭窄もありません。だから低いのです。
その低い血圧でも地球という惑星に存在する重力に逆らって、血液を心臓から脳へと送ることができるからです。
しかし高齢になると血管のしなやかさは失われ、血管に狭窄が起こります。
こういう血管の状態では、130の血圧では、脳まで血液を送ることができません。
脳に血液を送らないと死んでしまうので、
身体は命を守るために150、160、200と血圧を上げています。
命を守るために、自然治癒力がはたらいているのです。
必要だから血圧は上がるのです。
2019年4月に、このガイドラインが改訂されました。
新しいガイドラインでは、75歳未満の人の降圧目標は130/80未満へ、
75歳以上の人は140/90未満へと、それぞれ引き下げられました。
従来よりも厳しい血圧コントロールが求められるようになりましたが、
こうした基準を一律に、高齢者にも当てはめているところに問題があります。
これが間違っていることは誰の目にも明らかでしょう。
だから私は何度でも繰り返し言います。
年齢+90は、非常に合理的で科学的な数値です。・・》
注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
今回の記事を読み終わった後、人にとっての血圧の日常生活の中で、変動が自己保全の為に、
必要だったことも教えられ、もとより高齢者になれば、高血圧が必要だったことなど、
多々教示させられた。
今回、遅ればせながら血圧について学び、これだけでも今後の体調管理の大切さを配慮すれば、
有意義な一日が過ごせたと、微笑んだりしている。