46年ぶりに日本で皆既日食が観察できるというのに、朝から小雨まじりの天気となり、ほぼ絶望的な思いで11時を迎えました。「奇跡は起こるものではなく、起こすものだ。」などとうそぶいてみても、こと天気に関してはどうにもならないもの。しかしながら、厚い雲に切れ間ができて、奇跡的に部分食を見ることが出来ました。
さて、そんな朝の庭先に『オトギリソウ』が咲きました。オトギリソウは、日中に花開き、夕方には閉じてしまうので、勤め人の私では中々ご紹介できませんでした。『オトギリソウ(弟切草)』には伝承があって、葉や花に散らばる黒点は、鷹匠がその弟を切り捨てた際の血の跡であるとか。無数の黒点がありお世辞にもきれいな花とは言えないのですが、少々、私の思い出話があります。
既に亡くなった私の祖母は、オトギリソウを35度のホワイトリカーに漬け込んで『オトギリ焼酎』と呼んで、傷薬として愛用しておりました。切り傷はもちろん、虫さされ、時としては胃潰瘍にも良いという万能薬であります。胃潰瘍?まぁ、胃壁の炎症(傷)と思えば、『オトギリ焼酎』は特効薬であります。(あくまで、民間療法です。)
庭先や畑に繁茂していたはずのオトギリソウは、祖母が亡くなった時、何故かしら消失しておりました。あれだけ信心・愛用していたオトギリソウをあの世とやらに持たせてやりたい。そんな思いでやっと見つけたオトギリソウ二株を棺に入れてあげた思い出があります。
奇跡と思い出の雨の朝、田圃の稲の葉を上手にまとめて「雨宿り」するクモを見つけました。朝靄に包まれた1週間前の田圃には無数のハンモックが浮かび上がりました。晴れた日でもなく、雨の日でも見えないクモの巣が、朝靄で白く浮かび上がったものです。残念ながら、こういう時に限って、カメラの電池切れを起こしたりして撮影できないということがままありまして、後悔することとなるのですが、そんな時は、さっぱりと諦めるしかない…次の奇跡と小さな変化を求めて、明日に賭けよう。
夢屋の秘薬『オトギリソウ』の花言葉は、「迷信・信心」であります。
「イワシの頭も信心から…」明日もまた良い事があるでしょう。