EASでの米国による対中包囲網顕在化に対する中国の動きで、インドと中国の間の動きの記事がありました。
中国のインド洋への覇権拡大では、「真珠の首飾り作戦」によるインド包囲戦術が有名です。それに対し、インドはベトナムへの石油開発や軍事支援を進め、南シナ海への中国の進出を牽制していましたが、EASでは米国主導の中国包囲網に参画しました。
EAS時に行われた両国首脳会談では、国境問題解決のプロセスを推進させることで一致し、28日から国境協議が行われる見通しだったのが、開催直前に延期が決まったのだそうです。
中国の「真珠の首飾り」戦略:イザ!
国境問題協議延期 冷却化する中印関係 「対中包囲網」に警戒 (11/29 産経)
【北京=川越一】ニューデリーで28日から開催される予定だった中国とインドの国境問題に関する協議が突然延期される事態となったことで、両国関係が冷却化する可能性が取り沙汰されている。ロシアなどと新興5カ国(BRICS)を構成し、経済面での関係を強化してきた中国とインドだが、改めて根深い相互不信が露呈した格好だ。
中国国営新華社通信によると、中国の温家宝首相とインドのシン首相は今月、インドネシアで会談した際、「国境問題に関する特別代表協議の継続を支持し、問題解決のプロセスを推進させる」ことで一致した。
これを受ける形で、28日から国境協議が行われる見通しだったが、開催直前に延期が決まった。27日にニューデリーで始まった世界仏教徒会議で、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が講演することへの中国の反発が一因とされる。しかし中国国営メディアの報道ぶりをみると、それだけではなさそうだ。
インドは最近、中国が領有権を主張する南シナ海における天然ガス・石油の共同開発をベトナムと画策している。中国の海洋進出をにらみ、日本や米国と海上安全保障などに関する協議を行う準備も進めている。
先の東アジアサミットでも、南シナ海の領有権問題で中国を牽制(けんせい)する米国と足並みをそろえたばかりだ。
今月上旬には、130億ドル(約1兆円)規模の防衛力増強を発表。5年以内に中国との国境地帯に9万人を増派する計画とされる。
中国人民解放軍機関紙、解放軍報は、インドの動きを「政治的意図が大きい」と分析。中国の南シナ海や東シナ海への進出で、一部国家の中国に対する「ねたみ」「恨み」が表面化しているとし、インドがすでに中国を「現実の敵」とみなしているとまで指摘、警戒感をあらわにした。
昨年12月、訪印した温首相は「世界の歴史に大きな役割を果たした中華文明とインド文明が今後、新しい文明の輝きを共同で作り出す」などと友好関係をアピール。オバマ米大統領が訪印した際にまとまった総額100億ドルを超える、約160億ドルの商談を手土産に、インドの米国傾斜を阻止しようと図った経緯がある。
外務省の洪磊報道官は28日、「中国は国境協議を高度に重視しており、双方が具体的な日程を協議している」と述べたが、問題解決に向けて今月、両国首相が交わした言葉は“口約束”に終わる公算が大きい。
【北京=川越一】ニューデリーで28日から開催される予定だった中国とインドの国境問題に関する協議が突然延期される事態となったことで、両国関係が冷却化する可能性が取り沙汰されている。ロシアなどと新興5カ国(BRICS)を構成し、経済面での関係を強化してきた中国とインドだが、改めて根深い相互不信が露呈した格好だ。
中国国営新華社通信によると、中国の温家宝首相とインドのシン首相は今月、インドネシアで会談した際、「国境問題に関する特別代表協議の継続を支持し、問題解決のプロセスを推進させる」ことで一致した。
これを受ける形で、28日から国境協議が行われる見通しだったが、開催直前に延期が決まった。27日にニューデリーで始まった世界仏教徒会議で、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が講演することへの中国の反発が一因とされる。しかし中国国営メディアの報道ぶりをみると、それだけではなさそうだ。
インドは最近、中国が領有権を主張する南シナ海における天然ガス・石油の共同開発をベトナムと画策している。中国の海洋進出をにらみ、日本や米国と海上安全保障などに関する協議を行う準備も進めている。
先の東アジアサミットでも、南シナ海の領有権問題で中国を牽制(けんせい)する米国と足並みをそろえたばかりだ。
今月上旬には、130億ドル(約1兆円)規模の防衛力増強を発表。5年以内に中国との国境地帯に9万人を増派する計画とされる。
中国人民解放軍機関紙、解放軍報は、インドの動きを「政治的意図が大きい」と分析。中国の南シナ海や東シナ海への進出で、一部国家の中国に対する「ねたみ」「恨み」が表面化しているとし、インドがすでに中国を「現実の敵」とみなしているとまで指摘、警戒感をあらわにした。
昨年12月、訪印した温首相は「世界の歴史に大きな役割を果たした中華文明とインド文明が今後、新しい文明の輝きを共同で作り出す」などと友好関係をアピール。オバマ米大統領が訪印した際にまとまった総額100億ドルを超える、約160億ドルの商談を手土産に、インドの米国傾斜を阻止しようと図った経緯がある。
外務省の洪磊報道官は28日、「中国は国境協議を高度に重視しており、双方が具体的な日程を協議している」と述べたが、問題解決に向けて今月、両国首相が交わした言葉は“口約束”に終わる公算が大きい。
EASが行われたニューデリーでの両国首脳会談は、事前に下打ち合わせし準備された内容に基づくものですね。この時点では、インドのベトナム接近は既に既成事実化していました。ミヤンマーのASEAN議長国立候補に伴う、米国などへの開放・支援依頼も明確でした。そのうえで合意された、両国国境問題解決推進への取組でした。インドの中国離れを食い止めようとの、中国の意向だったのでしょう。
ところが、その協議をドタキャン。実際に行われたEASでの中国包囲網造りが、いかに強く中国を締め付け、中国が衝撃を受けたか、その混乱振りが伺えるというものです。
中国人民解放軍機関紙の「中国に対する「ねたみ」「恨み」が表面化している」とか、「インドがすでに中国を「現実の敵」とみなしている」といった狼狽ぶりも、それを証明していますね。
温家宝首相によるEASでの外交を、人民解放軍が否定した巻き返し作戦が始まったとも言えるでしょう。
今後も予測される人民解放軍の反応に、注目が必要ですね。
この花の名前は、ヒヨドリバナ (撮影場所=六甲高山植物園)
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