遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

習近平政権 「太子党」がトップセブンの中枢を押さえ込んだ

2015-05-26 23:53:56 | 中国 全般
 中国の政権は、共産党政治局常務委員の7人(トップセブン)で仕切られていることは諸兄がご承知の通りです。このトップセブンの決定が憲法をも上回る、一党独裁政治=法ではなく人が治める政治体制で、憲政への移行を求める活動が弾圧されているのですね。
 近年、江沢民、胡錦濤、習近平と国家主席が引き継がれてきましたが、江沢民・上海派の影響力が綿々と続く中、太子党所属という血統が繋がりだけの、誕生当時は政治基盤弱い習近平政権が誕生しました。江沢民・上海グループが、胡錦濤・共青団派に対抗して影響力を残せる習近平を立てたのでしたね。その結果、江沢民・上海グループ、胡錦濤・共青団派、習近平・太子党の三つの派閥の主導権争いが続くこととなりました。この間の経緯は何度も触れて来ていますので、ここではこれくらいで留めます。
 ところが、ここへきてトップセブンを、習近平・太子党が抑えたと言う声が数と頻度を増してきています。反腐敗政治の御旗のもとに、「蠅も虎も容赦はしない」と政敵を次々と排除した政策が功を奏しているのですね。
 習近平・太子党が抑えたと唱える内のひとりが宮崎正弘氏。その主役は、王岐山だと。

 
政治局常務委員7人の横顔 中国共産党の新指導部  :日本経済新聞
 
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)5月26日(火曜日)弐  通算第4552号
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そして中国共産党最高レベルの主流派がみえてきた
  習近平の常務委員会の中枢は王岐山と愈正声。これで『太子党』三人組だ

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 政権の座に就いて三年、
「史上最弱の皇帝」といわれた習近平は着々と権力基盤を築いている
 
王岐山
はどちらかと言えば金融経済のエキスパート、まだ「救急車」という渾名があるように、リスクが出現すると、たとえば北京五輪直前の北京市長というリリーフを勤める。
 米国との戦略対話も、王岐山が中国側代表だった。だから王岐山は当初、首相となって経済に専念するだろうと予測された。
 ところが
習近平は、この頼りがいのある兄貴分を「虎退治」の責任者に充てた

 習政権の掲げる『中国の夢』は抽象的で分かりづらいが、
反腐敗キャンペーンは庶民からも喝采
をあびて、腐敗分子が次々と失脚していく様子に大きな期待が集まる。
 すでに高層の幹部ら400名前後が失脚した。
 むろん、このやり方に
党内の反発と上海派、守旧派の憤懣、怨念を招くが、王岐山は強行にキャンペーンを推進
している。
 「蠅も虎も容赦はしない」というわけである。
 
反腐敗は、実際上の権力闘争であり、終局の目的は江沢民率いる上海派を追い詰め、かれらが握った「鉄道」「石油」の利権を取り上げることに成功
した。次はまだ上海派が牛耳る『通信』と『金融』の利権争奪である。
 また守旧派が握る『電力』の利権も、李鵬の娘、李少琳の側近等を拘束して、じわり追い込んでいる。

 軍事方面では前号でも取り上げたように、副主席の氾長龍の一本釣りを試みて、軍事委員会の主流派である団派出身者と分断をはかりつつある。
 また個人的に習の軍事戦略上のアドバイザーは劉源と劉亜洲で、この二人が「プライベートシンクタンク」だが、ともに太子党である。
 
太子党の権力基盤がしっかりと見えてきた
のだ。

▼共産党最高権力は常務委員会だ
 共産党の最高レベルは「政治局常務委員会」で、七人で構成されているが、この掌握である。
 依然として
トップセブンのうち、四人が上海派だが、張徳江、劉雲山、張高麗をそれぞれ手なづけつつあり
、張高麗をシルクロード構造の責任者に充てた。
 宣伝担当の劉雲山には香港問題を担当させ、張徳江にはやっかいな北朝鮮問題を。
 のこる三人のうち、
明確な団派は李克強首相だが、経済政策の立案という権限を半ば奪い、AIIB、BRICS、そしてシルクロード構造の三本柱は習近平の主流派が主導する体制
となった。

 ならば、政治局常務委員会はいかなるパワーバランスに変化しているのか。
 
「太子党」がトップセブンの中枢を押さえ込んだ
ようである。つまり愈正声と王岐山は習近平と同じく太子党であり、たよりになる兄貴分たち。愈正声は上海派と見られていたが江沢民の影響力低下の流れに沿って、いつのまにか、習近平にべったりとなっていた。
 やはり
「太子党」という特権階級の結びつきが想像より強いということだろう。しかし反面で、太子党は党内の見えない恨みをかっていくこともまた事実であろう。


 反腐敗の御旗での政敵粛清は、胡錦濤にはできなかったことで、王岐山の実行力は感嘆に値します。しかし、宮崎氏も指摘しておられる通りで、既得権益を持っている層からの抵抗、反攻の危険性は増しています。また、習近平の周辺や軍門に下った者の摘発がないことで、他派閥からの反撃も出て来るでしょう。

 更に、李克強を外した経済政策では、成長の鈍化への対策が打てているとはいえず、政権の命取りになりかねない情勢です。李克強の失政が原因なのか、李克強を外したから経済失速に対策が講じられないのかは不明です。
 高度経済成長の中で顕在化が浅かった不具合(格差社会、環境悪化、人権軽視)が噴出して、共産党独裁政治体制の危機を生じかねない情勢です。

 日本からの投資減の復活策が必須となってきたこと、派閥間の政局争いでは政敵を抑えつつあることから、反日政策を緩め、経済失速防止優先に政策転換してきた習近平。
 しかしそれは、経済失速への一時しのぎにすぎないことと、安倍首相の訪米で示された、日米同盟の対中結束の強化への一時避難であることを見誤ってはいけません。
 
 ただ、日中の外交バランスが変化したのは事実です。
 力で達成しようとしている習近平が掲げる『中国の夢(中華世界の復活)』は、その手段も、目標も間違っていて、共存共栄の国際社会を目指すべきと、教えてあげなくてはなりませんが、聴く耳を持たせられる方向に向いてきたとも言えます。外交は力のバランスで成り立っているのですから。



 # 冒頭の画像は、バンドン会議で握手する安倍首相と習近平主席






  この花の名前は、ハクサンハタザオ  (撮影;六甲高山植物園 2014年 5月)


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