習近平の人民解放軍に依存するしかない危うい政権基盤の中、新政権現役では共青団の旗頭となった李克強首相は、反日色が強いとされ、尖閣国有化時も反日活動を強めていたそうです。毛沢東思想への復古を唱える習近平の元、改革開放経済は主張し続けていますが、李克強首相は習近平を支えるのか、共青団の復活のリーダーとなるのか。動き始めた新政権内での動きが注目されます。
「偽装の愛国主義」 「反日」の実像(ルポ迫真) :日本経済新聞
【北京=五十嵐文】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は17日閉幕し、習近平国家主席(59)と李克強首相(57)の新体制が正式に発足した。習氏は閉幕式で演説し、人民解放軍などに対し、「中国共産党の指揮に従い、戦争に打ち勝つ強い軍を作るという目標に向けて、断固として国家主権や安全、発展の利益を守らなければならない」と求めた。アジア太平洋地域への関与を強める米国や、沖縄県の尖閣諸島をめぐる日本との対立などを念頭に、「富国強兵」の国造りを進める方針を表明したものだ。
習氏が14日に国家主席に就任して以降、公式の場で演説するのは初めて。習氏は「わが国は今日、世界の東方に高くそびえ立っている」として、経済規模や軍事力で米国に次いで世界第2の大国となった実績を強調。さらに「中華民族の偉大な復興」という「中国の夢」を実現するために、「国家の富強」を達成する必要があると指摘し、「愛国主義は中華民族を強固に団結させる精神的な力だ」とも述べ、国民の愛国心を鼓舞して国威発揚につなげる考えを示した。
一方、李氏は17日、首相として初めて記者会見し、「国家の主権と領土を守ることは、決して揺らぐことのない意志である」と強調した。尖閣など具体的な地名には言及しなかった。
対米関係については「アジア太平洋地域は、中米両国の利益が最も密接に交錯する地域だ。オバマ政権と新しい大国関係を構築していきたい」と述べた。米国へのハッカー攻撃に中国が関与しているとの指摘に対しては、「根拠のない非難はやめた方がいい」と反論した。
尖閣に関しては習、李両氏はベクトルは併せられている。富国強兵(=米に追いつき追い越せ)の習近平と、当面は米と共存共栄の李克強とでは路線が異なりますね。
【北京=牧野田亨】中国の李克強首相が17日、全国人民代表大会(全人代=国会)の閉幕後に開いた記者会見で、「改革は利益集団と衝突する困難な段階に入ったが、他に選択肢はない」と述べ、経済の構造改革や政府機構改革への決意を表明した。習近平国家主席との「習・李新体制」で「中国の夢」を実現できるかは、腐敗問題や環境汚染など国民の関心が高い分野で成果を上げられるかがカギとなる。
李首相は昨秋の党大会で次期首相就任が確定後、「改革は最大のボーナス」と訴え、改革開放の一層の推進を表明している。これに関し、首相は記者会見で「人々が改革の恩恵を受ける余地はまだ大きい。行動が重要で、叫ぶだけではだめだ」と説明。一部の利益集団に富が集中している現状を認めたうえで、「改革は国家の運命、民族の前途に関わる。しっかりした足取りで進める」と強調した。
また、全人代で可決された鉄道省解体など、政府機構改革案の最終目標について、「市場ができることは市場に、社会ができることは社会に任せるということだ」と指摘。任期中に政府が持つ約1700の許認可項目を3分の1以上減らす方針を示し、「権力の削減で手首を切られるような感覚だが、発展に必要で、人民の望みでもある」と答えた。
さらに歳出削減のため、?政府関連の建物・施設の新築禁止?公務員の人数抑制?公費接待、外国出張、公用車購入の削減━━に取り組むと表明。「公職に就いた以上、金持ちになろうとの考えは断ち切らねばならない」と反腐敗の姿勢を強調し、環境汚染についても「環境を犠牲にして成長を手に入れてはいけない」と述べ、環境保護・省エネ型経済への「経済のバージョンアップ」を目指すとした。
一方で、李首相は改革の推進方法や腐敗、環境汚染対策の具体策にはほとんど触れなかった。特に首相が「衝突」の対象に挙げた利益集団には、国有企業や党幹部が深く関わっているのが実態だ。
胡錦濤前政権下の10年で、大気汚染の主要原因であるガソリンの品質改善は後手に回った。中国メディアは、追加投資を嫌った石油業界大手の国有企業の抵抗が背景にあったと指摘。ある中国紙記者は「石油閥」と呼ばれる党幹部らの影響力も挙げた。首相が党・政府内の抵抗勢力を抑え、手腕を発揮できるかどうか、今後、その実行力が問われることになる。
胡錦濤時代に、既得権益を守る抵抗勢力の江沢民上海閥他の抵抗でなしえなかったというか、悪化した社会問題改善を、継続して取り組もうという姿勢ですね。
しかし、江沢民上海閥と習近平太子党が合体して、胡錦濤共青団との党常務委員の椅子取り争いに勝利して産まれた新政権(=既得権益保持集団)で、その抵抗勢力と闘おうというのですから、自らを危うくする危険を危惧してしまいます。
汚職の取り締まりを進めていた、薄煕来が大衆人気を集め突っ走っていたのに、太子党の習近平にも見限られ失脚しました。
共青団のなかでは、反日強硬派の李克強は、この点の繋がりで習近平や軍とは接点を持っていくのでしょうか。
経済発展を継続させるには、日本との関係維持は欠かせませんし、環境保護・省エネ経済を目指すには、仏・独との接近も選択肢でしょうが、日本の先進技術が欠かせません。
尖閣国有化への胡錦濤政権の姿勢を問われ勢力逆転の危機に面した終盤は、強硬姿勢に転じた胡錦濤・温家宝政権は、それまでの解放経済の政権運営では旧守派の江沢民上海派や人民解放軍に阻まれつつも、経済パートナーとしての日本の価値は認めていました。
遊爺の勉強不足のせいでしょうが、未だよく見えてこない李克強首相の今後の動きが、軍事力を背景とした「強国」を目指す、危険な習近平新政権にあって、どこまで自身の政策を反映させられるのか、注視が必要ですね。
なを、新政権発足の政局に大きな力となった、江沢民・上海派 + 習近平・太子党 vs 胡錦濤・共青団の構図が、江沢民・上海派 vs 習近平・太子党 + 胡錦濤・共青団に変わりつつあるという情報があります。
習近平が、毛沢東への回帰をあきらめるということでしょうか。外堀を埋められ基盤の弱い5年後の政局争いに、白旗を掲げたということでしょうか。
事実なら、新たな日中戦略の練り直しが、日中双方で必要となる...?反日・強国化路線は変わらない?
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この花の名前は、マツムシソウ 撮影場所;六甲高山植物園 (2012年10月撮影)
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