遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

アベノミクスの第3の矢の「成長戦略」第2弾は農業改革に注目

2013-05-18 23:36:04 | 日本を復活させる
 アベノミクスの3本の矢で最も重要な「成長戦略」。その第二弾が安倍首相の都内の講演で明らかにされました。
 インフラ輸出やクールジャパン戦略他が挙げられていましたが、遊爺は「攻めの農林水産業」に着目してみました。
 「6次産業化」は早くから唱えられていますが、今回は、農業所得の倍増を掲げ、そのための「農林水産物・食品の輸出倍増」と、分散した農地を集めて管理する「農地中間管理機構(仮称、農地集積バンク)」を都道府県ごとに設置するという、この二つに注目してみました。
  輸出倍増に力点を置いたのが以下の読売の記事。
 

農業所得増 輸出が柱 成長戦略 農地集約も目標 (5/18 読売・朝刊)

 
農林水産業の成長戦略のポイントは、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉をにらみ、農産物の輸出を倍増し、農地の大規模化を進めることだ。 (経済部 岩崎拓)

 安倍首相は農政の司令塔として、自ら本部長を務める「農林水産業・地域の活力創造本部」を21日に設置する。
今後10年間で農業所得を倍増させる目標達成に向けた政策として、首相が第一に挙げたのは、農林水産物・食品の輸出倍増
だ。年間約4500億円の輸出額を2020年までに1兆円規模に増やすことを目指す。
 農林水産省は、今回の成長戦略に合わせ、
水産物や加工食品など品目別の輸出目標額
を発表した。東日本大震災後、福島第一原子力発電所事故の影響もあって日本の農産物の輸出は伸び悩んでいるが、具体的な売り込み先の国・地域や目標額を設定することで1兆円突破を達成したい考えだ。
 中でも
期待が大きいのは、長距離輸送にも耐えられる加工食品
だ。12年の1252億円を、20年には5000億円まで拡大する。日本の食文化を海外に広げることを通じて市場を開拓し、みそ、しょうゆなどを欧州や東南アジア諸国に売り込む構想を描く。

 農地の大規模化に向けて、
分散した農地を集めて管理する「農地中間管理機構(仮称、農地集積バンク)」を都道府県ごとに設置
し、まとまった広さの農地にした上で農業法人などに貸し出す仕組みを創設する。農地を拡大することで、経営を効率化させ、競争力を高める狙いがある。
 農地の借り手が見つかるまでの間、受け皿となり、大区画化などの基盤整備を実施する。農地の条件を良くし、まとまった広さにしてから貸し出す仕組みだ。
 だが、集積バンクをつくっても農地の貸し借りが想定通りに進むとは限らない。例えば、「経営所得安定対策」(
旧戸別所得補償制度)では、コメ農家らに対し、作付面積に応じて一律に補助金を払っている。補助金を受け取るために、農地の貸し出しを渋る農家が続出すれば、農地の規模拡大を滞らせる事態を招きかねない。今後、集約を妨げる制度の見直しも課題になりそうだ。

 高品質で安全な日本の農産物の評価は高いのですが、長期輸送にも耐えられる加工食品を、品目別国・地域別に設定した点は新しいし、抽象的な掛け声だけにとどまらない踏み込んだ策と言え、評価できます。
 上記の記事でも触れられていますが、積極経営を目指す農業(専業農家や新規参入の企業)を支援し体質強化を促進するのが、農地の集約を助ける「農地中間管理機構(仮称、農地集積バンク)」構想。
 意欲のある専業農家が、零細な兼業農家や老齢化した農家から農地を借り集めて進めようとしていた姿勢をぶち壊した民主党のバラマキ政策の戸別補償制度は、その貸し手が補償金目当てに貸出しを中止する事態を産みました。
 そうした危惧を含めた上で、なを農地の集約が重要だと言うのが、読売の社説。
 

農業の成長戦略 「所得倍増」へ農地集積を急げ : 5月18日 読売新聞・社説

<前略>
 
焦点は、新制度が大規模農家の育成につながるかどうかだ。
 借り手が見つからないと機構が農地を丸抱えすることになり、その間も、機構は農地の貸し手に賃料を払い続ける必要がある。農地を維持管理し、用排水路を整備する費用もかかる。
 財政負担は年数千億円と見込まれている。仲介がうまく進まなければ、巨額の国費を投入するだけで終わりかねない。
 
借り手を確保するには、企業などの新規参入を後押しする政策が不可欠
だ。集約しやすい優良農地を仲介することも求められる。
 農地の賃貸や売買の許可権限を持つ
農業委員会を見直さないと、農地集積の支障となろう

 農業を成長戦略と位置付ける以上、農水省はメリハリの利いた制度設計を行い、
農協などの既得権に切り込んでもらいたい

 首相は「10年間で農業・農村の所得倍増目標」を掲げたが、効果的な施策をテコに
農業従事者も努力
しないと高いハードルだ。
 自民党がコメ農家などを対象とする
所得補償制度を拡充し、農地を維持している全農家に補助金を支給する制度を検討していることも問題
である。
 
零細農家でも補助金をもらえるなら、農地の出し手は増えまい
。農地集約の方針に妨げとなる政策は再考すべきではないか。
 農地の規模拡大は長年実現できなかった。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加をにらみ、改革を加速しなければならない。

 TPPとは関係なく農業の改革が叫ばれていました。高齢化でしかも後継者がいない点は漁業でも同様のことが言えます。
 減反政策に加えて増す耕作放棄地。遊爺は、零細兼業農家や老齢化農家が、その農地を積極経営を指向する専業農家に貸すか売るかして、株主の様な存在となり集約する。未だ働けるのなら、株主でありながらも社員として働いたり、若者を新規雇用し指導者になるといった形態を提唱してきました。(何処にも届かないこのblogでのはかない提唱ですが。)
 読売の指摘する課題の壁は、容易には乗り越えられないものですが、乗り越えることが日本の未来の農業が開ける道です。
 TPPとは関係なく、ばら撒きの票かせぎの政策をつづけていては、老齢化し後継ぎがいない農業は近いうちに潰れてしまう運命にあるのです。
 「農地集積バンク」制度が実現し、壁を乗り越える関連法案の成立や、障害となる既得権益の解消が進められることを期待します。


 成長戦略第2弾の要旨は以下
 
成長戦略第2弾 首相講演要旨 (5/18 産経)

【はじめに】
 どんなに素晴らしい成長戦略でも、作文では意味がない。「行動」なくして「成長」なし。今後とも、世界中でトップセールスを進めていきたい。

【民間投資を喚起する成長戦略】
 長引くデフレと自信喪失の呪縛から日本を解き放つのが私の仕事だ。
「インフラシステム輸出戦略」を打ち立て、10兆円のセールスを平成32年までに30兆円まで拡大する。

【イノベーションを促す実証先進国】
 新しいイノベーションを芽吹かせるため、必要な規制改革をどんどん進めていく。世界初の製品実験をやりたい企業には代替措置を講じる条件で規制の特例を認める制度を創設したい。

【世界に勝てる大学改革】
 今後3年のうちに外国人教員を倍増させる。TOEFLの卒業要件化などを断行しようとする大学を制度、予算面で重点支援する。官民協力で、留学生の経済的負担を軽減する仕組みを創設する。

【民間投資の拡大】
 今後3年間を「集中投資促進期間」と位置づけ、年間70兆円規模の設備投資を回復したい。設備の稼働状況に応じてリース費用を可変的なものにするなど、リース手法を活用した仕組みを導入する。個人保証がなくとも融資が受けられる中小企業向け金融の新たな枠組みをつくりたい。大胆な経営改革や事業再編を後押しする施策を用意したい。


【攻めの農林水産業】
 (生産から加工、流通・販売まで手がける)「6次産業化」市場を10年間で10兆円に拡大していきたい。新たなビジネスモデル構築に取り組む生産者に公的ファンドの出融資による経営支援「儲(もう)かる農業開拓ファンド」を行う。
 都道府県段階で農地の中間的な受け皿機関
「農地集積バンク」を創設する。今後10年間で「農業・農村の所得倍増目標」を掲げ、「農林水産業・地域の活力創造本部」を設置する。

【クールジャパン戦略】
 観光立国型のビザ発給要件の緩和を進め、ASEAN(東南アジア諸国連合)各国を中心にビザ制度の見直しを行う。500億円規模の官民ファンド「クールジャパン推進機構」をつくり、5年後までに3倍近い海外売り上げを目指す。

【結び】
 来月には東京都議選、7月には参院選がある。「日本を取り戻す」戦いはまだまだ道半ばだ。
強い経済あっての外交、安全保障、社会保障だ。経済政策に軸足を置いてこれからも政策運営にあたっていく。


 平成25年5月17日 安倍総理「成長戦略第2弾スピーチ」(日本アカデメイア) | 首相官邸ホームページ ←クリックして開いた画面の画像をクリックすると動画が始まります。
 
 # 冒頭の画像は、日本アカデメイアで、三本目の矢、成長戦略の「第2弾」を放った安倍総理。文末のリンクはその動画。



ソラナムの実


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