沖縄=旧琉球国は、明、清両朝に朝貢して冊封関係にあったとし、カイロ宣言、ポツダム宣言に照らすと、日米間の沖縄返還は国際法に反する等という、「沖縄領有論」が中国当局の暗黙の了解の下で、民間のみならず学識経験者も加わりメディアで広めはじめられているのだそうです。
米国から日本への1972年5月の沖縄返還を「国際法違反だ」として、「歴史的経緯からみて琉球(沖縄)の主権は、日本ではなく中国にある」などと“沖縄領有論”まで唱える動きが、中国でじわりと広がっている。中国政府の表だった主張ではないが、人民解放軍幹部や学識経験者らが論を繰り広げ、国営メディアも報道。チベット自治区をまねて、「琉球特別自治区」の設立準備を求める民間組織まで現れた。(深セン 河崎真澄)
広東省深センの雑居ビルに事務所を構える「中華民族琉球特別自治区準備委員会」。貿易会社を経営する浙江省杭州出身の趙東氏(45)が、この組織の会長だ。
「琉球(の主権)問題ではカイロ宣言、ポツダム宣言を尊重しなければならない」と趙氏は強調した。
43年の「カイロ宣言」を基礎にした45年7月の「ポツダム宣言」では「日本の主権は本州、北海道、九州と四国、および連合国決定の諸小島に限られる」などとされ、これを受諾した日本は翌月の15日、終戦を迎えた。一方で、51年9月のサンフランシスコ講和条約(対日講和条約)で米国の施政下に置かれた沖縄が72年5月、日本に返還されて本土復帰を果たした。
しかし、趙氏はポツダム宣言などを根拠に、沖縄の本土復帰について「日米は国際法に反する行為で琉球を売り渡した」と非難。さらに「そもそも琉球人は中華民族の血を受け継いでおり、ひとつの民族として国を分けてはならない」などと論理を飛躍させた。
沖縄をチベット自治区や新疆ウイグル自治区と同列にみる特殊な政治思想団体、と切り捨てることもできるが、趙氏らはいわば中国当局の暗黙の了解の下で、「中華民族の一部として琉球特別自治区を設置せよ」との主張をテレビや雑誌、インターネットなどを通じて執拗(しつよう)に発信し、一定の支持も得始めている。
昨年11月にスタートした習近平指導部が「中華民族の復興」を訴える中、趙氏らのサイトには「日本人は琉球を盗み取った」などと主張に賛同する中国人の根拠なきコメントが続々と寄せられている。
趙氏は委員会に加え「中華民族琉球特別自治区有限公司」という会社まで設立し、中国と沖縄の間の貿易も手がけている。「中国の歴史の影響を受けた琉球物産を輸入し、中国人に琉球が中国のものだと知らしめるため」なのだという。
◆学識経験者まで
問題はこうした怪しげな民間勢力の感情論だけにとどまらないところにある。
上海の復旦大学で日本研究センター副主任を務めている知日派の胡令遠教授(56)は「釣魚島(沖縄県石垣市の尖閣諸島)問題を受けてここ数年、改めて中国で琉球の主権に関する議論が高まってきた」と話した。
胡氏は昨年8月に発表した共同論文で、やはりカイロ宣言とポツダム宣言を根拠にして、「日本は琉球の主権を有しておらず、中国の政府と学会、メディアは密接に協力し、琉球の主権と帰属問題の研究と宣伝を繰り広げよ」と書いた。
明治初期のいわゆる琉球処分で、日本と清に形式的に両属していた琉球王国が沖縄県となり、清への朝貢を禁じられた。一方、中国の学識経験者の多くは「琉球は清の領土ないし属国だった」との認識を起点にして歴史研究から主張を繰り広げようとしている。
さらに、中国の国防大学教授で人民解放軍海軍少将でもある張召忠氏(61)は、昨年10月、中国中央テレビの番組で「釣魚島は言うに及ばず琉球も中国に属している。琉球の独立支持、または中国の省として執政下に直接置く戦いをいま、各方面から起こすべきだ」との強硬論を展開した。尖閣問題の先鋭化で再燃した議論ともいえるが、復旦大の胡氏は「かつて中国は日米と連携して旧ソ連と政治的に対峙(たいじ)する必要から琉球問題を先送りした経緯がある。冷戦が終わり経済力で日中が逆転、地位が変わったことで琉球問題が出てきた」と説明した。
尖閣諸島でも中国が主権を主張し始めたのは、周辺海域に地下資源が眠っていることが分かった70年代以降であり、歴史的に一貫した主張ではない。その時々の地政学的な勢力図や利害関係をみて、主張を出したり引っ込めたりするのが、中国の常套(じょうとう)手段のようだ。
中国中央テレビなど国営メディアは、学識経験者の声として“沖縄領有論”を相次ぎ報じている。「釣魚島の次は琉球だ」との沖縄併呑(へいどん)工作が、民間勢や学術界を総動員して水面下で始まったとみてよさそうだ。
◆“隙”につけ込む
一方、対日強硬派の中には批判的な見方もある。
「琉球まで中国のものだと主張する人たちには、別の目的がある」と鋭い眼光で記者を見ながら指摘したのは、香港の民間団体「保釣(釣魚島防衛)行動委員会」の陳妙徳主席(67)だ。
浙江省寧波出身の陳氏は、昨年8月15日、海上保安庁の巡視船による警告を無視し日本領海に侵入した抗議船で活動家らを尖閣に上陸させた団体を率いる。「釣魚島は中華民族のものだが琉球は明らかに違う。どこに属するか住民自らが決めること」と“沖縄領有論”を突き放した。
陳氏は「別の目的」が何かを明確にしなかったが、ある中国側関係者は、「東シナ海や南シナ海での海洋権益獲得など海洋強国をめざす中国にとり、沖縄に集中する米軍施設ほど目障りなものはない」と話した。
オバマ政権が米国の戦略的な軸足をアジア地域に移したことを、中国は「封じ込め」圧力と受け止めて反発。尖閣諸島での摩擦を契機に、民間や学術界を動員し沖縄の主権主張まで日中摩擦の範囲を広げることで、基地移転問題も含め日米に揺さぶりをかけようとの狙いが見え隠れする。
サンフランシスコ講和条約発効から61年の4月28日、日本政府は「主権回復の日」式典を都内で初開催したが、条約発効後も米施政下に置かれた沖縄では式典への反発が収まらず、政府と沖縄の間には溝があることを浮き彫りにした。ただ、そうした溝にこそ中国が“沖縄領有論”を主張する隙が潜んでいる。
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【用語解説】沖縄領有論
国際法上、沖縄(琉球)の主権は日本になく、中国に属するとの主張。中国の歴史研究家らが1972年の沖縄返還は無効だったなどと指摘し、ここ数年、相次ぎ論文を発表している。「琉球王国」が明、清両朝に朝貢して冊封関係にあった歴史をとらえ、反日デモで「琉球を返せ」などと叫ばれることもある。中国による領有論以外に、沖縄の地位は未定だとする見解もある。
【中国BBS】琉球を独立させよう…そしてわが国に帰属させよう 2013/05/03(金) 13:25:36 [サーチナ]
日中歴史共同研究座長の北岡伸一教授の「琉球帰属問題」に関するページは以下。(開いたページを下にスクロールすると「第四節 台湾出兵と琉球問題 1.琉球帰属問題」があります。)
15年戦争資料 @wiki - 近代日中関係の発端 北岡伸一<その2>
琉球王宮には、清からの使節を迎える部屋と、薩摩藩からの使節を迎える部屋の両方があったのですね。1609年に薩摩藩が事実上支配する様になったが、清との冊封・朝貢は続け交易を継続し独立国の形を維持。1879年に廃藩置県で沖縄県となったのでした。
交易の利益からの献上資金が、薩摩藩の明治維新に向けた軍備拡充(薩長同盟時に長州にも分配)に貢献したと言われていますね。
北岡氏のページによると、琉球当局者は朝貢を継続すべく清に密使を送ったが、清は黙殺したと。
琉球王朝は交易で栄えた国で、武力の備えは弱い国でした。
薩摩藩と清とに両属という綱渡りは長く続かなかったのです。清国の属国になるか薩摩藩の支配下に入るかの歴史の流れの中で、清国の属国になっていたら、たらればの話ですが、どうなっていたのでしょう。
列強がこぞって清国に進出したなかで、いずれかの支配下になる流れはかわらなかったのでしょうし、大戦後米国の支配下になりました。
日本が占領下から独立した後、米国と交渉を重ねた結果、日本に返還されました。
平成25年4月26日(金) 「屈辱の日」とは恩知らずの言葉
北朝鮮が天国の様な国であるとの宣伝に乗って北朝鮮に帰ったり渡った人たちがいました。沖縄の中でも、琉球国としての独立や、中国への帰属の声が無い事もないと聞こえてきます。
中華のお国=漢民族が優れているとしチベットやウィグルを属国として差別し迫害しているお国の属国に戻ることを望むなんて信じれません。
台湾がかろうじて独立を保てているのは、米国のおかげであり、台湾自身も軍事力の維持に努めていること、米国との同盟国の日本や近隣の自由主義国の有形・無形の対中牽制があるからですね。
琉球国は、せめて台湾の様になれるのか、チベットやウィグルの様になってしまうのか。今の日本国・沖縄県でいいのか。
沖縄県民の方々も、日本国民全員も、覚悟が出来ていないと、中国に隙を突かれて、チベットやウィグルの様な全く人権を認められない属国にされてしまいます。
そしてそれは、日本全体が中国の属国にされかねない道の通過点なのでしょう。
中国の常套手段は、火の気の何もないところに無理やり小さな煙をたて、嘘をしつこく、しかも頻繁に繰り返し、やがて人々の頭の中に焼き付けることで本当の事の様に錯覚させる。その錯覚の反応や定着度合いの進行を慎重に見極めながら煙を徐々に大きくして、やがては炎に発展させ燃え上がらせる。そして、力づくで手中に収めるのです。
政府黙認の形で、民間の偽装をした団体に「沖縄領有論」の狼煙をあげさせる。お抱えの有識者にも情報発信させ、お抱えのメディアに喧伝させ、世論を形成・拡大させ、煙を大きくしする。大きくなった世論を背景に、政府も公式に口にするようになり、やがては「核心的利益」に格上げし炎を燃えたぎらせていき、ついには武力を発動して領有するのです。
小さな狼煙を上げ始めている今、毅然として付け入る隙がない備えと、抑止力を構築し出鼻をたたいておかなければ、やがて核心的利益と称して攻め込まれ、奪取されることになります。
実効支配の有無が第三国の同意や国際法上必要です。尖閣近海の定期巡回をしている状況は、日本の海自が巡回しているのと、差異が埋まってきています。
海警に組織変更し体制を整え、艦船も増大させてきている中国が、巡回・管理体制を物量で凌ぐ時が迫っています。
海警の組織が、急造であることによる内部の混乱があると読売で報じていますが、反日行動となれば一致団結しているようですから、時間がたてば解決される問題でしょう。
中国海洋統合 難航 : 読売プレミアム
中国が、尖閣の次の標的の沖縄略取の狼煙をあげて始動しました。沖縄県の方々や日本国民全体が、チベットやウイグルの方々の様な人権を無視された被占領生活を免れる様、沖縄の方々も日本国民すべてが知恵を絞って備えねばなりません。
外圧に対抗せねばならない時に、国内での分断を煽っている場合ではありませんね。チベットやウィグルの様になりたいと言う人は別ですが。
既に中国の工作員が侵入しているようですが。
【沖縄が危ない】市民運動の域を越えた反基地運動とオスプレイ - 政治・社会 - ZAKZAK
# 冒頭の画像は、普天間基地のフェンスにリボンを付ける市民団体員と除去する米兵。この画面にはありませんが、傍らで警官は傍観しているのです。沖縄は「反基地無罪」の無法地帯となり法治国家の日本ではなくなったのでしょうか。命を賭けてはるばる防衛にきてくれている若い米兵は、国に帰ったら日本の国の事をどう伝えるのでしょう。恥ずかしい限りです。
ナンキンハゼの実
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