
米原子力空母・カールビンソンが、米韓合同演習を終え、オーストラリアに向かっていたところを、急きょ朝鮮半島近海へ行先変更したことが発表されました。
空母打撃群の行動が公表されることは稀で、シリア空軍基地攻撃の目的のひとつとされる、北朝鮮の暴挙牽制の一環と考えていましたが、別に「真の狙い」があると言うのは、日経編集委員の高坂哲郎氏。
「カールビンソン」の航行速度が遅いことが話題になっていました。(例=TBS・「ひるおび」の八代氏)
第七艦隊の「ロナルド・レーガン」との二隻体制を整え、本格的臨戦体制を整えるためとの見方は同じです。
が、目的は、北朝鮮への抑止または複数挙げられている、対北への軍事行動とされていましたが、高坂編集委員は、「米軍が今、本当に注視しているのは、北朝鮮軍ではなく、中国軍の動向」だとし、羅津の商業港を軍港化し、ここを潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)搭載の戦略原子力潜水艦の母港にして、米本土を射程に収め、米軍の行動を抑える戦術への備えなのだとの深読みです。
トランプ大統領との会談が、やっと実現した習近平。その歓迎晩餐会で、シリアの空軍基地攻撃を伝えられ、その行動を支持する言質を獲られてしまいました。
秋の党大会に向けた政局争いで、またも外交の失政として、長老や他派の攻撃口を造ってしまいました。国内での評価や、他派の動向は未明ですが、長期独裁政権体制構築を目指す習近平には、失点の打撃は大きいと考えられます。
金正恩への牽制だけではなく、北への中国による抑止力発揮への圧力だけでもなく、中国軍による米国本土への攻撃の抑止を視野に入れた、「2空母打撃群+日韓陸上基地」体制構築とは、感服しました。
軍事行動があり、日本に北からのミサイル攻撃があった場合、国民や資産、国家の安全をどう守るのか。自然災害への備えは、具体的に練られていますが、外国からの攻撃への具体的備え、国民の避難体制は、公開されていません。(北のミサイルのEEZ海域への着水で、一部地域で避難訓練が行われた報道はありますが。。)
「想定外」の言い訳が効かない情勢となってきました。「敵基地攻撃」の抑止力と共に、国民の安全確保の計画を、立案・公開が急務です。国民への不安を煽ることの危惧と、国民の平和ボケを正し、危機意識の向上を図ることとの天秤となりますが、転ばぬ先の杖、後者が重要であることは、論を待たないと考えます。
# 冒頭の画像は、3月に、韓国・釜山に入港した米海軍の原子力空母カール・ビンソン

この花の名前は、サワギキョウ
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空母打撃群の行動が公表されることは稀で、シリア空軍基地攻撃の目的のひとつとされる、北朝鮮の暴挙牽制の一環と考えていましたが、別に「真の狙い」があると言うのは、日経編集委員の高坂哲郎氏。
米空母派遣、狙いは北朝鮮けん制だけにあらず 編集委員 高坂哲郎 :日本経済新聞 2017/4/11
米海軍が8日、南シナ海に展開していた原子力空母カール・ビンソンやその護衛にあたる巡洋艦などからなる空母打撃群(Carrier Strike Group、CSG)を急きょ予定を変えて朝鮮半島周辺に派遣すると発表した。核兵器や弾道ミサイルで挑発を続ける北朝鮮への圧力を強めるのが目的と受け止められているが、今回の決定をめぐっては、誤解されていることや知られていない側面もある。米空母派遣の「真の狙い」を考えてみる。
■現状の目的は「穴埋め」
米空母打撃群は通常、西太平洋地域には最低1群は展開している。朝鮮半島や台湾海峡などで不測の事態が起きることを防ぐためだ。東太平洋を管轄する米海軍第3艦隊に所属するカール・ビンソンが現在南シナ海にいるのは、横須賀を母港とする第7艦隊所属の原子力空母ロナルド・レーガンが毎年1月から4月にかけて点検・整備のため活動を停止するので、その「穴埋め」として展開しているのである。この時期、米空軍のステルス戦闘機F22が沖縄の嘉手納基地に飛来することがあるのも、西太平洋地域に力の空白が生まれるのを防ぐためだ。
カール・ビンソン打撃群が8日ごろシンガポール沖合を出たとすると、原子力空母の航行速度から考えれば、早ければ今週末にも韓国沖合に到達するとみられる。空母艦載機の対地攻撃能力や、随伴する巡洋艦の巡航ミサイル発射能力などから、同打撃群の振り向けは「朝鮮半島の緊迫度を一段と高める」とも解釈されている。たた既に述べたように、米海軍のCSGは常時1群、西太平洋地域に展開しているので、今回の米海軍の決定は「増派」を意味するわけではない。
■焦点は今後2~3カ月後
今後の焦点の一つは、おそらく5月上旬に横須賀にいる空母ロナルド・レーガンが整備を終えて作戦行動をとれるようになった時、カール・ビンソン打撃群がなおも朝鮮半島周辺にとどまるかどうかだ。
空母が2隻展開していれば、仮に1隻の空母の甲板で火災などが起きて使用不能になっても、爆撃を終えて戻ってきた艦載機はもう1隻の空母に降りることができる。つまり、米艦隊全体としては、より安全な状態で作戦を遂行できることになる。1996年の台湾海峡危機の際も、米海軍は空母を2隻体制にすることで「本気の軍事行動」をとれる構えを示し、台湾侵攻の隙をうかがっていた中国軍を抑止した。
1991年の湾岸戦争の際、米軍はペルシャ湾や東地中海などに空母打撃群をピーク時で5群程度も展開し、イラクを爆撃した。これに対し現在、北朝鮮と対峙している米軍は、嘉手納や岩国など在日米軍基地、さらに在韓米空軍基地など地上にある航空基地を使える。どのような規模の作戦をするかにもよるが、仮に北朝鮮の核・ミサイル関連施設をピンポイントでつぶす限定作戦であれば、湾岸戦争のときのようにたくさんの空母打撃群を沖合にそろえる必要はなく、2~3群もあれば十分だろう。
米空母打撃群の作戦行動期間は通常は半年強で、カール・ビンソンは今年初めに米西海岸を出発していることを考えると、今後2~3か月程度はとどまれそうだ。仮にそうなると、打撃群2つがいることになり、その時点で「増派」が確定する。朝鮮半島をめぐる「本当の緊張」はその時に始まる。
■中国に対してもにらみ
「米軍が今、本当に注視しているのは、北朝鮮軍ではなく、中国軍の動向なのだろう」――。ある日本の安全保障関係筋が語る。本欄「中国軍、日本海に触手 朝鮮半島情勢が圧力に」(2月23日付)で既に述べたように、朝鮮半島有事になれば、中国軍は同国東北部から北朝鮮領内になだれ込み、日本海に面した羅津一帯を実効支配しようとする可能性がある。羅津の商業港を軍港化し、ここを潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)搭載の戦略原子力潜水艦の母港とすれば、米本土を射程に収めることができる。そうなると、日米同盟はくさびを打ち込まれた形となり、日本に対する米国の拡大核抑止(核の傘)の信頼性は一気に低下する。日本が中国になびかざるをえなくなれば、長い目で考えると、米軍がアジアににらみをきかせるうえで欠かせない在日米軍基地を利用できなくなるかもしれない。「中国軍の日本海進出」は、日米双方にとって悪夢のような事態なのだ。
北朝鮮をめぐる緊迫は、単に朝鮮半島を揺るがすだけでなく、北東アジアの軍事バランスを長期的に大きく変える引き金にもなりかねないのである。
米海軍が8日、南シナ海に展開していた原子力空母カール・ビンソンやその護衛にあたる巡洋艦などからなる空母打撃群(Carrier Strike Group、CSG)を急きょ予定を変えて朝鮮半島周辺に派遣すると発表した。核兵器や弾道ミサイルで挑発を続ける北朝鮮への圧力を強めるのが目的と受け止められているが、今回の決定をめぐっては、誤解されていることや知られていない側面もある。米空母派遣の「真の狙い」を考えてみる。
■現状の目的は「穴埋め」
米空母打撃群は通常、西太平洋地域には最低1群は展開している。朝鮮半島や台湾海峡などで不測の事態が起きることを防ぐためだ。東太平洋を管轄する米海軍第3艦隊に所属するカール・ビンソンが現在南シナ海にいるのは、横須賀を母港とする第7艦隊所属の原子力空母ロナルド・レーガンが毎年1月から4月にかけて点検・整備のため活動を停止するので、その「穴埋め」として展開しているのである。この時期、米空軍のステルス戦闘機F22が沖縄の嘉手納基地に飛来することがあるのも、西太平洋地域に力の空白が生まれるのを防ぐためだ。
カール・ビンソン打撃群が8日ごろシンガポール沖合を出たとすると、原子力空母の航行速度から考えれば、早ければ今週末にも韓国沖合に到達するとみられる。空母艦載機の対地攻撃能力や、随伴する巡洋艦の巡航ミサイル発射能力などから、同打撃群の振り向けは「朝鮮半島の緊迫度を一段と高める」とも解釈されている。たた既に述べたように、米海軍のCSGは常時1群、西太平洋地域に展開しているので、今回の米海軍の決定は「増派」を意味するわけではない。
■焦点は今後2~3カ月後
今後の焦点の一つは、おそらく5月上旬に横須賀にいる空母ロナルド・レーガンが整備を終えて作戦行動をとれるようになった時、カール・ビンソン打撃群がなおも朝鮮半島周辺にとどまるかどうかだ。
空母が2隻展開していれば、仮に1隻の空母の甲板で火災などが起きて使用不能になっても、爆撃を終えて戻ってきた艦載機はもう1隻の空母に降りることができる。つまり、米艦隊全体としては、より安全な状態で作戦を遂行できることになる。1996年の台湾海峡危機の際も、米海軍は空母を2隻体制にすることで「本気の軍事行動」をとれる構えを示し、台湾侵攻の隙をうかがっていた中国軍を抑止した。
1991年の湾岸戦争の際、米軍はペルシャ湾や東地中海などに空母打撃群をピーク時で5群程度も展開し、イラクを爆撃した。これに対し現在、北朝鮮と対峙している米軍は、嘉手納や岩国など在日米軍基地、さらに在韓米空軍基地など地上にある航空基地を使える。どのような規模の作戦をするかにもよるが、仮に北朝鮮の核・ミサイル関連施設をピンポイントでつぶす限定作戦であれば、湾岸戦争のときのようにたくさんの空母打撃群を沖合にそろえる必要はなく、2~3群もあれば十分だろう。
米空母打撃群の作戦行動期間は通常は半年強で、カール・ビンソンは今年初めに米西海岸を出発していることを考えると、今後2~3か月程度はとどまれそうだ。仮にそうなると、打撃群2つがいることになり、その時点で「増派」が確定する。朝鮮半島をめぐる「本当の緊張」はその時に始まる。
■中国に対してもにらみ
「米軍が今、本当に注視しているのは、北朝鮮軍ではなく、中国軍の動向なのだろう」――。ある日本の安全保障関係筋が語る。本欄「中国軍、日本海に触手 朝鮮半島情勢が圧力に」(2月23日付)で既に述べたように、朝鮮半島有事になれば、中国軍は同国東北部から北朝鮮領内になだれ込み、日本海に面した羅津一帯を実効支配しようとする可能性がある。羅津の商業港を軍港化し、ここを潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)搭載の戦略原子力潜水艦の母港とすれば、米本土を射程に収めることができる。そうなると、日米同盟はくさびを打ち込まれた形となり、日本に対する米国の拡大核抑止(核の傘)の信頼性は一気に低下する。日本が中国になびかざるをえなくなれば、長い目で考えると、米軍がアジアににらみをきかせるうえで欠かせない在日米軍基地を利用できなくなるかもしれない。「中国軍の日本海進出」は、日米双方にとって悪夢のような事態なのだ。
北朝鮮をめぐる緊迫は、単に朝鮮半島を揺るがすだけでなく、北東アジアの軍事バランスを長期的に大きく変える引き金にもなりかねないのである。
「カールビンソン」の航行速度が遅いことが話題になっていました。(例=TBS・「ひるおび」の八代氏)
第七艦隊の「ロナルド・レーガン」との二隻体制を整え、本格的臨戦体制を整えるためとの見方は同じです。
が、目的は、北朝鮮への抑止または複数挙げられている、対北への軍事行動とされていましたが、高坂編集委員は、「米軍が今、本当に注視しているのは、北朝鮮軍ではなく、中国軍の動向」だとし、羅津の商業港を軍港化し、ここを潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)搭載の戦略原子力潜水艦の母港にして、米本土を射程に収め、米軍の行動を抑える戦術への備えなのだとの深読みです。
トランプ大統領との会談が、やっと実現した習近平。その歓迎晩餐会で、シリアの空軍基地攻撃を伝えられ、その行動を支持する言質を獲られてしまいました。
秋の党大会に向けた政局争いで、またも外交の失政として、長老や他派の攻撃口を造ってしまいました。国内での評価や、他派の動向は未明ですが、長期独裁政権体制構築を目指す習近平には、失点の打撃は大きいと考えられます。
金正恩への牽制だけではなく、北への中国による抑止力発揮への圧力だけでもなく、中国軍による米国本土への攻撃の抑止を視野に入れた、「2空母打撃群+日韓陸上基地」体制構築とは、感服しました。
軍事行動があり、日本に北からのミサイル攻撃があった場合、国民や資産、国家の安全をどう守るのか。自然災害への備えは、具体的に練られていますが、外国からの攻撃への具体的備え、国民の避難体制は、公開されていません。(北のミサイルのEEZ海域への着水で、一部地域で避難訓練が行われた報道はありますが。。)
「想定外」の言い訳が効かない情勢となってきました。「敵基地攻撃」の抑止力と共に、国民の安全確保の計画を、立案・公開が急務です。国民への不安を煽ることの危惧と、国民の平和ボケを正し、危機意識の向上を図ることとの天秤となりますが、転ばぬ先の杖、後者が重要であることは、論を待たないと考えます。
# 冒頭の画像は、3月に、韓国・釜山に入港した米海軍の原子力空母カール・ビンソン

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