遊爺雑記帳

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習近平が「核心」の座 果たして実態も完全掌握したのか

2016-11-03 23:51:37 | 中国 全般
 6中全会(党第18期中央委員会第6回全体会議)で、習近平が「核心の座」を勝ち得た話の続きです。
 昨日書いた中の末尾に「ニューズウィーク日本版」のリンクを張っていました。その記事に書かれていた次の一文が気になっていたのです。
 「ただ、習氏の権力が絶対ではないことも示唆した。」

 そうしたら今日、石平氏が、「本当の「核心」となったのか」と題して、「習氏への権力集中が進む」との見方が広がっているが、次期最高指導部の人事は決して習氏の意のままにならないことが分かったと書いておられる記事に接しました。
 習近平の「核心」を認めず、今年3月、新疆ウイグル自治区主管のニュースサイト無界新聞に、「習近平引退勧告」の公開書簡が掲載された事件の黒幕と噂される、政治局委員の張春賢氏が、新疆ウイグル自治区党委員会書記を退任して中央に戻っていたのですが、党の建設工作に関する「中央指導小組副組長」の肩書で地方視察を行ったことが判ったとのことです。
 そのことは、小組の副組長となった張春賢氏が、政治局常務委員の劉雲山氏の後を継いで組長に昇任する見通しで、それに伴い、政治局委員である張氏は当然、政治局常務委員へと昇進する道が開かれていると。
 「反習近平」の張氏がチャイナセブン入りするということは、次期最高指導部の人事は決して習氏の意のままにならない状況にあると言うことだと。。
 

本当の「核心」となったのか (11/3 産経 【石平のChina Watch】)

 先月27日に閉幕した中国共産党第18期中央委員会第6回総会(6中総会)の総括コミュニケは「習近平同志を核心とする党中央」と明記した。これを受け、日本国内でも「習氏への権力集中が進む」との見方が広がったが、実態は果たしてそうであるのか


 6中総会開催前の10月16日、新華社通信は中央指導部メンバーの動向に関するニュースを配信した。
政治局委員の張春賢氏が「党の建設工作に関する中央指導小組副組長」の肩書
で地方視察を行ったという。
 張氏は今年8月、新疆ウイグル自治区党委員会書記を退任して中央に戻ってから、その去就が注目されていたが、上述の地方視察ニュースで、「副組長」という彼の新しいポストが判明した。
この目立たないポストが実は張氏の今後の前途洋々を暗示している
。今、党内のイデオロギー統制を担当する「党の建設工作に関する中央指導小組」の組長になっているのは政治局常務委員の劉雲山氏である。
 政治局常務委員といえば、それこそ共産党の最高指導部を構成する「チャイナセブン」のメンバーだが、劉氏は69歳の高齢であり、来年開かれる予定の共産党第19回大会で引退する運びである。その時、上述の
小組の副組長となった張春賢氏が、劉氏の後を継いで組長に昇任する見通しで、それに伴い、政治局委員である張氏は当然、政治局常務委員へと昇進
する道が開かれるのである。
 第19回党大会開催の1年前の張氏の副組長就任はまさにこの党大会における彼の政治局常務委員昇進の布石だと理解されている。
問題は張氏が次の党大会で最高指導部に入る見込みとなっていることが何を意味しているか
である。

 張氏は新疆ウイグル自治区党委員会書記時代、習近平総書記(国家主席)に関する2つの微妙な動きで注目されたことがある。1つは、今年3月4日、
新疆ウイグル自治区主管のニュースサイト無界新聞に、「習近平引退勧告」の公開書簡が掲載された
ことである。
 地方政府主管のメディアで共産党トップの「引退」を勧告する文章が掲載されるとは、
驚天動地の大事件であるが、問題はその「黒幕」は誰だったのかである。当時から、一部の香港メディアやアメリカに拠点を置く中国系メディアは新疆ウイグル自治区の最高責任者である張氏の関与の可能性を報じている
が、真相は今でも不明のままである。

 その直後の3月20日、
張氏の取ったもう1つの言動がさらに注目を集めた。実はその時、習近平総書記の息がかかっている一部の地方トップが習氏を「党の核心」として擁立する運動を起こしている最中であったのが、北京で開かれた全人代の新疆代表団会見で、張春賢氏は記者らから「習氏を核心として支持するか」と質問を受けたとき、「その話は改めて」と答えを避けた

 中国の政治文化の中では
答えを避けたことはすなわち「支持しない」との意思表明
である。これで張氏は「反習近平」の姿勢を明確にしたと理解されたのである。

 しかし今、どう考えても
「反習近平」のこの彼が無傷であるどころか、中央に戻って例の副組長に就任し、来年の党大会で政治局常務委員となって最高指導部入りを果たすことができそうなのだ。それでは習氏は党中央をすでに制覇したとはとても言えない。来年の党大会で、次期最高指導部の人事は決して習氏の意のままにならないことも分かった


 冒頭に取り上げた共産6中総会の総括コミュニケは、習氏を「核心」だと位置づける一方、党の集団的指導体制や「党内民主」をことさらに強調しているから、今の共産党内では「習氏の権力集中が進んでいる」とは一概にいえない。第19回党大会の開催に向けて、党内闘争はさらに激しくなる見通しである。

 習近平に辞任要求の公開書簡 - 遊爺雑記帳

 「習氏を核心として支持するか」との記者の質問に答えを保留(=支持しないとの意思表示)した張氏が、来年秋のチャイナセブンの椅子取り争いで、座をゲットする可能性がある。習金平が、「核心」としてすべてを掌握しきれていない証ですね。

 向う 1年、椅子取り争いはますます激化していくなかで、政局は揺れ動くことが予測されます。

 米国大統領選は、泣いても笑っても、7日に結論が出ます。来年1月20日に就任式が行われますから、選挙による空白期間が終了しますが、そこから秋までの間は、中国が政局争いが激化することになるのですね。
 これから1年、眼が離せませんね。





 # 冒頭の画像は、張春賢政治局委員




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