遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国 金融破綻相次ぐ

2018-08-09 23:58:58 | 中国 全般
 米中貿易戦争(課税合戦)が続いていますが、課税可能対象では米国に余力があり、中国には限界があり不利と言われていることは、諸兄がご承知の通りです。
 加えて、トランプ政権が関税を発動すると、中国は直ちに報復関税を課し強気の対抗姿勢を示していますが、米国株が過去最高値に迫り、ドル相場が上がり続けるのに対し、中国株は軟調となり、人民元は6月に対米ドルで月間下落率が過去最大を記録し、中国の社債は過去6カ月間、記録的なペースでデフォルト(債務不履行)が発生しているのが現実です。

 中国国内で進む金融破綻の記事 2例を備忘録としてアップさせていただきます。
 中国経済の破綻の悪夢が静かに忍び寄っているのでしょうか。

 中国は貿易戦争の武器を自ら放棄したのか放棄せざるを得ないのか - 遊爺雑記帳
 米中貿易戦争 習近平体制に黄信号 - 遊爺雑記帳

 
「中国社債はねずみ講のよう」世界3位に急拡大した市場、牽引役は債務 - SankeiBiz(サンケイビズ) 2018.8.9

 中国本土で今年最悪の社債デフォルト(債務不履行)があった。炭鉱会社の永泰能源は与信ブームに乗り借金を重ねたが、当局の政策がレバレッジ解消に転じたことが響いている。

 7月に入り永泰能源は人民元建て債に関連する支払いができず、総計114億元(約186億円)が不履行となった。7月5日までにまず15億元規模の社債で不履行を起こし、それをきっかけに別の社債13本、計99億元相当がデフォルト状態に陥った。5年足らずの間に有利子負債が4倍の722億元に膨らんでいた同社は、2018年最大の本土社債不履行という汚名を着ることになった。
 
永泰能源の情報開示担当者が匿名を条件に述べたところ、中国での資金調達環境の変化が同社に極めて大きな影響を与えたという。

 経済の
国有銀行依存を軽減しようとした政府が資金集めで企業に社債発行を促し、中国本土の債券市場は約12兆ドル(約1340兆円)と世界3位の規模に急拡大。しかし、社債の買い手側は信用調査の経験に乏しく、中国の格付け各社も借り手の差別化といった意識に欠け、中国が14年にデフォルトを容認し始めるまで、デューデリジェンス(資産査定)はほとんど行われなかった。

 国泰君安証券の債券担当チーフアナリスト、覃漢氏は「中国の経済成長を主に牽引(けんいん)したのは債務で、社債はねずみ講のように見える。
資金集めで困難に直面した場合、債務返済を断念する企業が増える公算が大きい」とみている。

 ブルームバーグ集計のデータによれば、永泰能源は16年と17年にそれぞれ100億元を超える社債を発行したが、今年はこれまでに36億元分の買い手しか見つけることができていない。同社1年債の金利も16年の4.5%から18年には7%に急上昇している。 (ブルームバーグ Tongjian Dong、Yuling Yang)

 中国の社債は過去6カ月間、記録的なペースでデフォルト(債務不履行)が発生しているのですが、炭鉱会社の永泰能源による、2018年最大の本土社債不履行が発生するに至ったのですね。
 経済の国有銀行依存を軽減しようとした政府が資金集めで企業に社債発行を促し、与信ブームに乗り借金を重ねた企業に、当局の政策がレバレッジ解消に転じたことが原因。
 政府の未熟で朝令暮改の政策がもたらした結果と言えます。それだけ近年の中国の経済成長は、危うい基盤の上に乗っているということなのでしょうか。

 他方、個人の投資家でもP2P(ピア・ツー・ピア)と呼ばれるインターネット金融の破綻が相次ぎ、損失を被った個人投資家が各地で抗議の声を上げているのだそうです。
 
中国、ネット金融破綻が急増 全国でデモ拡大 業者は「夜逃げせず」声明発表 - 産経ニュース 2018.8.8

 【北京=西見由章】中国で高利回りをうたって個人から投資資金を集めるP2P(ピア・ツー・ピア)と呼ばれるインターネット金融の破綻が相次ぎ、損失を被った個人投資家が各地で抗議の声を上げている。
 
習近平指導部が金融リスク対策として、不透明な取引「影の銀行(シャドーバンキング)」への規制を強めたことが破綻の原因。だが投資家らは政府から“お墨付き”があったなどとして不信感を強めている。

 北京市内では6日、破綻したP2P金融業者への調査や損失の補(ほ)填(てん)を求める投資家らが集まり、金融監督当局に陳情活動を行おうとしたが、警察当局に阻止された。ネット上では多数の警察官が地下鉄駅で警戒にあたり、抗議活動への参加者らを別の場所に移送するための大型バスを出動させている画像が拡散した。
 北京での抗議活動には各地から投資家数千人が参加を予定し、現場には約200人が集まったもよう。

 
P2P金融へは全土で5千万人以上が投資し、規模は1兆3千億元(約21兆1千億円)に上る。2014年には5千社以上が業務を行っていたが、習指導部による違法・グレー金融の取り締まりで、7月末には1968社まで減少した。

 P2P金融に関する総合サイト「網貸天眼」によると、
破綻など運営上、何らかの問題が生じた業者は今年7月の1カ月間だけで250社を超えるという。
 
3年後に正常な運営を続けられるP2P業者は200社に満たないとみる有力金融機関の分析もある。

 ただ、
習指導部は社会不安が広がることを警戒しつつも、不透明な金融商品が金融不安の種になりかねないとして、痛みを伴う“荒療治”を進める構えだ。

 中国共産党機関紙、人民日報系の
環球時報の胡錫進編集長は、中国版ツイッター「微博」で、「政府は投資家の損失を補償することはできない。法によって問題を処理し、できるだけ損失を少なくするよう援助するだけだ」と主張した。

 ただ、投資家らは「返済不能に陥った業者の債務を個人投資家の損失として転嫁しようとしている」と不満を募らせており、これに対し上海のネット金融業者約40社は8日、業界団体のホームページで「夜逃げせず、誠実に意思疎通する」との共同声明を発表。投資家の不安を抑えようと躍起になっている。

 習近平指導部が金融リスク対策として、不透明な取引「影の銀行(シャドーバンキング)」への規制を強めたことが破綻の原因で、習指導部は社会不安が広がることを警戒しつつも、痛みを伴う“荒療治”を進める構えなのだと。

 ただ、投資家らは「返済不能に陥った業者の債務を個人投資家の損失として転嫁しようとしている」と不満を募らせているのだそうです。
 しかし投資は元々リスクをともなうもので、ハイリターン=ハイリスクは常識。「影の銀行(シャドーバンキング)」がこの常識にあてはまると、いまだに認識不足の個人投資家。その認識が未熟だということですね。

 政府の政策、企業、個人の投資に対する途上国故の未熟さが招いている金融破綻。
 傷みを伴う"荒療治"を継続し、金融不安の火種を消すとのことですが、それらの投資が高度成長の数字を支えてきたのが近年の中国経済成長。
 李克強が数年前から国の支援で破綻を支えるのではなく、市場原理での自浄作用を導入しようと試みましたが、習近平が民意の反発や国有企業の労働者の失業をおそれ、先延ばししてきたもの。
 生涯独裁者の地位を獲得した今、ようやく金融破綻リスク回避に着手し始めたということでしょうか。
 
 しかし、米中貿易戦争や、経済成長率低迷期に突入した国内経済、資本の海外流出が加速している現状。
 その遅れた引き締め政策で募る国内の不満にどう対処するのか。毛沢東の末期の様に、強権発動すれば、毛沢東と同様に破綻の道を転がり落ちることとなります。
 米中貿易戦争での、習近平の反抗戦略に要注目です。
 対日接近で、日米関係に楔をいれるのか、対米妥協で門戸開放に転じるのか。はたまた別の戦略を産み出すのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、ネット金融破綻で大規模な陳情活動が計画された現場付近を警備する警察官ら




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