遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国外務省 領海に日本の右翼の船が入ったと抗議 日本の尖閣実効支配が危ない

2013-08-10 23:54:34 | 東シナ海尖閣諸島

 尖閣の日本の領海に、「海警1126(旧海監26)」「海警2102(旧魚政202)」「海警2166(旧海監66)」「海警2350(旧海監50)」が28時間を超える長時間にわたり進入したことはご承知の通りです。
 この時、産経が「尖閣周辺海域では、愛媛県議や地元の石垣市議らを乗せた漁船が視察を実施。海警はこの漁船の動向を監視するなどしていたとみられ、漁船が尖閣を離れたのに合わせ領海から退去した。」と報じていました。
 過去にも、石垣を視察する一行を乗せた漁船を追跡した事実がありました。
 中国の尖閣侵略作戦は、大挙して押し寄せる漁船を事故など何らかの理由をつけて上陸させ、その保護を言い訳にして公艦による上陸を果たし、実効支配を開始することを警戒する論が主流でした。ところが、そこまでのリスクを冒さない新たな戦術も採り始めた様です。

 中国の今の戦略の一番の課題は、米国の関与の排除です。その作戦が開始されたのは、2012年の8月に、国務省・ヌーランド報道官の定例記者会見に現れた見慣れない記者の質問が口火でした。
 以後、しつこく尖閣への米国の関与を止めるよう、あらゆるチャンネルで要求する様になりました。
 米国の回答は、領有権争いには中立だが、実際に日本の管理下にある尖閣は日米同盟の適用範囲内と、クリントン長官以来一貫して今日に至っています。
 これは、逆に言えば、中国が管理下に収めれば、米国は関与しないし日米同盟も適用されないと言うことでもあります。

 尖閣の現状は、日本国民も上陸が出来ず、石垣の市議が上陸すると調書をとられていますし、石垣の漁民の方々の要望でもあり、石原都知事(当時)や石垣市長の要望のふなだまり他の実効支配策も政府の国有化で封じられていて、日本の実効支配の証は、海保の巡視船の常駐巡回と、空では自衛隊のスクランブルだけです。レーダー監視網には盲点を抱えていまます。
 そこで中国も、公船(組織の統合強化で海警になった)の定期巡回を始めたのでした。
 ですから、外見上は、双方公船の巡回という点で差がなくなっています。
 次は管理の実績です。
 日本は、尖閣に上陸した香港の民間団体「保釣行動委員会」の船と人を逮捕し、強制送還しました。
 中国は、中国漁船の管理を少してがけて見せたりしていただけですが、日本の漁船などを逮捕するなどの管理の実績を積めば、管理の面で日本と同じになります。
 つまり、漁船で上陸し公船も口実を作って上陸するリスクを負わなくても、日本と管理の実績が同じになり、米国の関与する理由を無くすことが出来るのです。

 そこで、尖閣の領海内での日本漁船等を狙い始めています。
 日本の対応は、日本漁船の領海侵入の禁止でした。
 
海保 尖閣領海から日本漁船の退去を勧告 - 遊爺雑記帳

 そこで中国は、次の手を考えて、しかも外務省が正式コメントを出すことで、実績にしてしまうという新たな戦術を展開してきたのが今回の事件の正体でした。
 

中国、日本船を「領海に入った」と抗議 中国船の長時間領海侵犯で - MSN産経ニュース

 中国海警局の船が7日から8日にかけ長時間、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺の領海にとどまったことに関連して、中国外務省の洪磊報道官は9日までに談話を発表し「日本の右翼の船1隻が7日、違法に中国の釣魚島の領海に入った」として、日本側に抗議したことを明らかにした。
 周辺海域では当時、同県石垣市議らが乗った漁船が航行していたとの情報があり、「右翼の船」はこの漁船を指している可能性がある。
 海警局の船が領海にとどまった理由について談話は「(領海に入った)日本側の船に対し、(海警局の船が)権益維持活動と法執行を展開した」と説明した。 (共同)

 愛媛県議や地元の石垣市議らを乗せ視察した日本の漁船は、「尖閣で漁をする海人の会」の漁船だったのでしょうか。
 中国国家海洋局のウェブサイトは、中国の領海に侵入した日本の船を追い払ったと報じているのです。
 

中国海警局が釣魚島領海で日本の船を追い払う 発足後初_中国網_日本語

 中国国家海洋局のウェブサイトは、中国海警局の船「海警2350」、「海警1126」、「海警2102」、「海警2166」からなる編隊は7日、中国の釣魚島(日本語名・尖閣諸島)領海内を巡航し、領海内に侵入した日本側の船に対して中国政府の釣魚島における主権・立場を表明し、追い払ったと発表した。中国海警局の発足後、釣魚島で日本の巡視船を追い払ったのは初めてとなる。

 冒頭で紹介した産経の記事の「漁船が尖閣を離れたのに合わせ領海から退去した」のは、まさにこの追い払ったという実績を作りたかったのですね。そのために「海警」は長時間領海内を航行していたのです。
 中国海洋局に技ありです。

 日本として、尖閣の実効支配策は、都有化で都のノウハウを活かし、石垣市とともに行われる計画がありましたが、野田政権の強引で性急な国有化のおかげでなにも出来なくなってしまいました。
 なので、今回の中国の新戦術で、日本と中国との尖閣近海の管理についての差は、大きく接近したように第三者には見られかねない状況に接近してしまいました。
 「何もしないで、棚上げにして、平和的話し合いで...。」と唱える方々は、この状況をどう考えるのでしょう。
 日本が、さわらぬ神にたたりなしとほおかぶりして身を縮め先送りする間に、中国は次々と戦略を建て、作戦を実行して第三国にアピールしています。
 同盟国の米国としても、管理の状況=実行支配の外見の差が亡くなれば、関与できなくなるのです。

 侵略されようとしているのに、無為無策に先送りしていては、相手の術にはまるだけです。
 日本の国土は、日本自らが護らねば、同盟国とて助けようにも助けられなくなるのです。
 今回の、中国外務省の抗議、海洋局の領海から日本船を追い払ったというプロパガンダは、小さくしか取り上げられていない(まだ取り上げた産経はよしとして、取り上げもしない他メディアはもっと罪深い)のですが、重大な尖閣の状況変化なのです。
 
 日本の実効支配の強化による、中国との管理の格差の実証造りが必須です。
 今ならまだ間に合いますが、中国の抵抗リスクを恐れて先送りして、中国との差がなくなったり、逆転してからでは、竹島と同じ運命を辿って、取り返すのに計り知れない労苦を要することになってしまいます。



 # 冒頭の画像は、中国外交部・洪磊報道官




  この梅の花の名前は、九州林州


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暴かれた中国の極秘戦略―2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?



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