南太平洋諸国への経済支援を通じて影響力を拡大している中国に対し、米国とオーストラリアが警戒感を強めていて、23~24日に米カリフォルニアで行われる米豪の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)では中国に対抗するため、両国が安全保障上の連携を強化することで一致する見通しなのだそうです。
2017年 1月に就任したトランプ大統領。28日に豪・ターンブル首相と電話会談をしましたが、難民受け入れの問題で激高し、1時間の予定を、わずか25分で会談を打ち切ったことは衆知のことですね。
しかし、親中とされていたターンブル首相が、野党労働党のサム・ダスチャリ上院議員への中国企業の違法献金疑惑の発覚や、習近平の海洋覇権拡大姿勢から、対中警戒姿勢を強め、日米への接近にも応じていることも諸兄がご承知の通りです。
打ち切り電話会談で因縁の米豪首脳、その後は関係良好か WEDGE Infinity(ウェッジ)
豪州・中国の関係が悪化!なぜ親中派ターンブル首相が? | GDP(GloryDaysPower⤴)
親日・親中、揺れる振り子 ターンブル豪首相 :日本経済新聞
17年 6月、シンガポールでのアジア安全保障会議。基調講演で「中国は自らのやり方に従う国に経済的に寛大にふるまう一方で、自らの国益に異を唱える相手を孤立させるかもしれない」と中国を名指しで批判した ターンブル首相。
今月23~24日に米カリフォルニアで行われる米豪「2プラス2」では、対中安全保障の連携強化で合意するまでに変化したのです。
約10年前から、南太平洋諸国への経済支援を急拡大させてきた中国。しかしそこには、支援先の身の丈に合わない規模の港や道路、公共施設などの整備資金を融資し、債務返済が行き詰まれば、資産を差し押さえるという「債権のわな」が仕組まれていて、その毒牙にかかる国がでてきているのですね。
米豪が、こうした習近平の覇権主義をけん制するために腰をあげたのです。
ただ、南太平洋諸国は、最大限の利益を得ようと、米豪中など(含、日本主催の「太平洋・島サミット」)の勢力争いを利用しようとするのは当然ですし、輸出額の3割近くを中国に依存するオーストラリアも、狭間で揺れています。
ただ、中国の札束外交と軍事力とでの覇権拡大に、諸国が認識を深め、一定の抑止力を働かせることは重要で、豪州に限らず、南太平洋諸国も、対中認識を深めていただけることを願います。
# 冒頭の画像は、南太平洋フォーラム参加国の地図
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米豪対中連携強化へ 「2プラス2」23日開幕 南太平洋進出けん制 (7/23 読売朝刊)
【ジャカルタ=一言剛之】南太平洋諸国への経済支援を通じて影響力を拡大している中国に対し、米国とオーストラリアが警戒感を強めている。23~24日に米カリフォルニアで行われる米豪の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)では中国に対抗するため、両国が安全保障上の連携を強化することで一致する見通しだ。
■くすぶる疑惑
「クリーンで透明性のある方法を示さねばならない」。シュライバー米国防次官補は、16日の豪シドニー・モーニング・ヘラルド紙のインタビューで、「中国とは異なる方法」によって、南太平洋諸国との関係強化を図る必要性を強調した。
同紙によると、米豪両政府は2プラス2で、「隙を見せれば中国を利するだけだ」(シュライバー氏)として、南太平洋を含む地域で国際法の順守などを各国に求めることで合意する方針で、中国の覇権主義をけん制する構えだ。
中国は約10年前から、南太平洋諸国への経済支援を急拡大させてきた。小国バヌアツでは商用港の整備を支援したが、今年4月、その港が中国に軍港として供与される可能性があると報じられた。両政府は報道を否定したが、疑惑はくすぶっている。危機感を強める豪州のターンブル首相は6月、バヌアツのサルワイ首相との会談で、安全保障協定の協議開始で合意するなど対抗策に追われた。
■「債務のわな」
米豪両政府は、中国が経済支援の名目で「債務のわな」を広げているとの疑念を抱いている。支援先の身の丈に合わない規模の港や道路、公共施設などの整備資金を融資し、債務返済が行き詰まれば、資産を差し押さえるという筋書きだ。スリランカは、中国への返済ができなくなった補償として、南部の港を99年間、中国に貸与せざるを得なくなったとされる。
こうした疑念に対し、中国外務省の華春螢副報道局長は今月の記者会見で、「一つでも具体例を挙げることができるのか」と反論した。ただ豪オーストラリアン紙は今年1月、サモアの裁判所での漏水や、安全認証を得られなかったトンガの航空機など、中国の支援で整備した設備で次々と問題が起こっている事例を報じており、中国への不信感は払拭されていない。
■両面作戦
豪州は、隣国「ニュージーランド(NZ)などと加盟する大平洋諸島フォーフム(16か国・2地域)の連携も急いでいる。今年9月に島国ナウルで開かれるフォーラムの総会では、豪州の提案によって、中国の脅威に対して防衛協力を強化するため、加盟国で結んでいる安全保障協定を改定する予定だ。
南太平洋諸国は、米豪中などの勢力争いを背景に、自国への経済支援を最大限に引き出したいのが本音で、一方への肩入れを避ける「両面作戦」を取っている。
米国にとって南太平洋諸国は、ハワイやグアムと海を隔てて安全保障上、重要地域だ、同地域で中国と緊張が高まれば、報復関税の応酬で「貿易戦争」の様相が強まる経済面だけでなく、安全保障面も中国との摩擦が強まる恐れがある。
豪州にとって中国は輸出額の3割近くを依存する最大の貿易相手で、関係を悪化させたくない事情があり、米豪両国が今後も強硬姿勢を貫けるかは不透明だ。米豪対中連携強化へ 「2プラス2」23日開幕 南太平洋進出けん制 (7/23 読売朝刊)
【ジャカルタ=一言剛之】南太平洋諸国への経済支援を通じて影響力を拡大している中国に対し、米国とオーストラリアが警戒感を強めている。23~24日に米カリフォルニアで行われる米豪の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)では中国に対抗するため、両国が安全保障上の連携を強化することで一致する見通しだ。
■くすぶる疑惑
「クリーンで透明性のある方法を示さねばならない」。シュライバー米国防次官補は、16日の豪シドニー・モーニング・ヘラルド紙のインタビューで、「中国とは異なる方法」によって、南太平洋諸国との関係強化を図る必要性を強調した。
同紙によると、米豪両政府は2プラス2で、「隙を見せれば中国を利するだけだ」(シュライバー氏)として、南太平洋を含む地域で国際法の順守などを各国に求めることで合意する方針で、中国の覇権主義をけん制する構えだ。
中国は約10年前から、南太平洋諸国への経済支援を急拡大させてきた。小国バヌアツでは商用港の整備を支援したが、今年4月、その港が中国に軍港として供与される可能性があると報じられた。両政府は報道を否定したが、疑惑はくすぶっている。危機感を強める豪州のターンブル首相は6月、バヌアツのサルワイ首相との会談で、安全保障協定の協議開始で合意するなど対抗策に追われた。
■「債務のわな」
米豪両政府は、中国が経済支援の名目で「債務のわな」を広げているとの疑念を抱いている。支援先の身の丈に合わない規模の港や道路、公共施設などの整備資金を融資し、債務返済が行き詰まれば、資産を差し押さえるという筋書きだ。スリランカは、中国への返済ができなくなった補償として、南部の港を99年間、中国に貸与せざるを得なくなったとされる。
こうした疑念に対し、中国外務省の華春螢副報道局長は今月の記者会見で、「一つでも具体例を挙げることができるのか」と反論した。ただ豪オーストラリアン紙は今年1月、サモアの裁判所での漏水や、安全認証を得られなかったトンガの航空機など、中国の支援で整備した設備で次々と問題が起こっている事例を報じており、中国への不信感は払拭されていない。
■両面作戦
豪州は、隣国「ニュージーランド(NZ)などと加盟する大平洋諸島フォーフム(16か国・2地域)の連携も急いでいる。今年9月に島国ナウルで開かれるフォーラムの総会では、豪州の提案によって、中国の脅威に対して防衛協力を強化するため、加盟国で結んでいる安全保障協定を改定する予定だ。
南太平洋諸国は、米豪中などの勢力争いを背景に、自国への経済支援を最大限に引き出したいのが本音で、一方への肩入れを避ける「両面作戦」を取っている。
米国にとって南太平洋諸国は、ハワイやグアムと海を隔てて安全保障上、重要地域だ、同地域で中国と緊張が高まれば、報復関税の応酬で「貿易戦争」の様相が強まる経済面だけでなく、安全保障面も中国との摩擦が強まる恐れがある。
豪州にとって中国は輸出額の3割近くを依存する最大の貿易相手で、関係を悪化させたくない事情があり、米豪両国が今後も強硬姿勢を貫けるかは不透明だ。
【ジャカルタ=一言剛之】南太平洋諸国への経済支援を通じて影響力を拡大している中国に対し、米国とオーストラリアが警戒感を強めている。23~24日に米カリフォルニアで行われる米豪の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)では中国に対抗するため、両国が安全保障上の連携を強化することで一致する見通しだ。
■くすぶる疑惑
「クリーンで透明性のある方法を示さねばならない」。シュライバー米国防次官補は、16日の豪シドニー・モーニング・ヘラルド紙のインタビューで、「中国とは異なる方法」によって、南太平洋諸国との関係強化を図る必要性を強調した。
同紙によると、米豪両政府は2プラス2で、「隙を見せれば中国を利するだけだ」(シュライバー氏)として、南太平洋を含む地域で国際法の順守などを各国に求めることで合意する方針で、中国の覇権主義をけん制する構えだ。
中国は約10年前から、南太平洋諸国への経済支援を急拡大させてきた。小国バヌアツでは商用港の整備を支援したが、今年4月、その港が中国に軍港として供与される可能性があると報じられた。両政府は報道を否定したが、疑惑はくすぶっている。危機感を強める豪州のターンブル首相は6月、バヌアツのサルワイ首相との会談で、安全保障協定の協議開始で合意するなど対抗策に追われた。
■「債務のわな」
米豪両政府は、中国が経済支援の名目で「債務のわな」を広げているとの疑念を抱いている。支援先の身の丈に合わない規模の港や道路、公共施設などの整備資金を融資し、債務返済が行き詰まれば、資産を差し押さえるという筋書きだ。スリランカは、中国への返済ができなくなった補償として、南部の港を99年間、中国に貸与せざるを得なくなったとされる。
こうした疑念に対し、中国外務省の華春螢副報道局長は今月の記者会見で、「一つでも具体例を挙げることができるのか」と反論した。ただ豪オーストラリアン紙は今年1月、サモアの裁判所での漏水や、安全認証を得られなかったトンガの航空機など、中国の支援で整備した設備で次々と問題が起こっている事例を報じており、中国への不信感は払拭されていない。
■両面作戦
豪州は、隣国「ニュージーランド(NZ)などと加盟する大平洋諸島フォーフム(16か国・2地域)の連携も急いでいる。今年9月に島国ナウルで開かれるフォーラムの総会では、豪州の提案によって、中国の脅威に対して防衛協力を強化するため、加盟国で結んでいる安全保障協定を改定する予定だ。
南太平洋諸国は、米豪中などの勢力争いを背景に、自国への経済支援を最大限に引き出したいのが本音で、一方への肩入れを避ける「両面作戦」を取っている。
米国にとって南太平洋諸国は、ハワイやグアムと海を隔てて安全保障上、重要地域だ、同地域で中国と緊張が高まれば、報復関税の応酬で「貿易戦争」の様相が強まる経済面だけでなく、安全保障面も中国との摩擦が強まる恐れがある。
豪州にとって中国は輸出額の3割近くを依存する最大の貿易相手で、関係を悪化させたくない事情があり、米豪両国が今後も強硬姿勢を貫けるかは不透明だ。米豪対中連携強化へ 「2プラス2」23日開幕 南太平洋進出けん制 (7/23 読売朝刊)
【ジャカルタ=一言剛之】南太平洋諸国への経済支援を通じて影響力を拡大している中国に対し、米国とオーストラリアが警戒感を強めている。23~24日に米カリフォルニアで行われる米豪の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)では中国に対抗するため、両国が安全保障上の連携を強化することで一致する見通しだ。
■くすぶる疑惑
「クリーンで透明性のある方法を示さねばならない」。シュライバー米国防次官補は、16日の豪シドニー・モーニング・ヘラルド紙のインタビューで、「中国とは異なる方法」によって、南太平洋諸国との関係強化を図る必要性を強調した。
同紙によると、米豪両政府は2プラス2で、「隙を見せれば中国を利するだけだ」(シュライバー氏)として、南太平洋を含む地域で国際法の順守などを各国に求めることで合意する方針で、中国の覇権主義をけん制する構えだ。
中国は約10年前から、南太平洋諸国への経済支援を急拡大させてきた。小国バヌアツでは商用港の整備を支援したが、今年4月、その港が中国に軍港として供与される可能性があると報じられた。両政府は報道を否定したが、疑惑はくすぶっている。危機感を強める豪州のターンブル首相は6月、バヌアツのサルワイ首相との会談で、安全保障協定の協議開始で合意するなど対抗策に追われた。
■「債務のわな」
米豪両政府は、中国が経済支援の名目で「債務のわな」を広げているとの疑念を抱いている。支援先の身の丈に合わない規模の港や道路、公共施設などの整備資金を融資し、債務返済が行き詰まれば、資産を差し押さえるという筋書きだ。スリランカは、中国への返済ができなくなった補償として、南部の港を99年間、中国に貸与せざるを得なくなったとされる。
こうした疑念に対し、中国外務省の華春螢副報道局長は今月の記者会見で、「一つでも具体例を挙げることができるのか」と反論した。ただ豪オーストラリアン紙は今年1月、サモアの裁判所での漏水や、安全認証を得られなかったトンガの航空機など、中国の支援で整備した設備で次々と問題が起こっている事例を報じており、中国への不信感は払拭されていない。
■両面作戦
豪州は、隣国「ニュージーランド(NZ)などと加盟する大平洋諸島フォーフム(16か国・2地域)の連携も急いでいる。今年9月に島国ナウルで開かれるフォーラムの総会では、豪州の提案によって、中国の脅威に対して防衛協力を強化するため、加盟国で結んでいる安全保障協定を改定する予定だ。
南太平洋諸国は、米豪中などの勢力争いを背景に、自国への経済支援を最大限に引き出したいのが本音で、一方への肩入れを避ける「両面作戦」を取っている。
米国にとって南太平洋諸国は、ハワイやグアムと海を隔てて安全保障上、重要地域だ、同地域で中国と緊張が高まれば、報復関税の応酬で「貿易戦争」の様相が強まる経済面だけでなく、安全保障面も中国との摩擦が強まる恐れがある。
豪州にとって中国は輸出額の3割近くを依存する最大の貿易相手で、関係を悪化させたくない事情があり、米豪両国が今後も強硬姿勢を貫けるかは不透明だ。
2017年 1月に就任したトランプ大統領。28日に豪・ターンブル首相と電話会談をしましたが、難民受け入れの問題で激高し、1時間の予定を、わずか25分で会談を打ち切ったことは衆知のことですね。
しかし、親中とされていたターンブル首相が、野党労働党のサム・ダスチャリ上院議員への中国企業の違法献金疑惑の発覚や、習近平の海洋覇権拡大姿勢から、対中警戒姿勢を強め、日米への接近にも応じていることも諸兄がご承知の通りです。
打ち切り電話会談で因縁の米豪首脳、その後は関係良好か WEDGE Infinity(ウェッジ)
豪州・中国の関係が悪化!なぜ親中派ターンブル首相が? | GDP(GloryDaysPower⤴)
親日・親中、揺れる振り子 ターンブル豪首相 :日本経済新聞
17年 6月、シンガポールでのアジア安全保障会議。基調講演で「中国は自らのやり方に従う国に経済的に寛大にふるまう一方で、自らの国益に異を唱える相手を孤立させるかもしれない」と中国を名指しで批判した ターンブル首相。
今月23~24日に米カリフォルニアで行われる米豪「2プラス2」では、対中安全保障の連携強化で合意するまでに変化したのです。
約10年前から、南太平洋諸国への経済支援を急拡大させてきた中国。しかしそこには、支援先の身の丈に合わない規模の港や道路、公共施設などの整備資金を融資し、債務返済が行き詰まれば、資産を差し押さえるという「債権のわな」が仕組まれていて、その毒牙にかかる国がでてきているのですね。
米豪が、こうした習近平の覇権主義をけん制するために腰をあげたのです。
ただ、南太平洋諸国は、最大限の利益を得ようと、米豪中など(含、日本主催の「太平洋・島サミット」)の勢力争いを利用しようとするのは当然ですし、輸出額の3割近くを中国に依存するオーストラリアも、狭間で揺れています。
ただ、中国の札束外交と軍事力とでの覇権拡大に、諸国が認識を深め、一定の抑止力を働かせることは重要で、豪州に限らず、南太平洋諸国も、対中認識を深めていただけることを願います。
# 冒頭の画像は、南太平洋フォーラム参加国の地図
この花の名前は、ノジギク
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