「ABCDショック」という言葉が聞かれるようになりましたね。Aはアメリカ(America)におけるトランプ大統領の誕生、Bは英国のEU離脱(Brexit)、Cはチャイナ(China)の景気減速、そしてDはドイツ銀行の破綻危機を指すのだそうです。
世界の政治、経済を不透明化している元凶で、リーマンショックの再来の懸念を広めているのですね。
2008年のリーマン・ショックでは、リーマン・ブラザーズの負債総額は約70兆円。しかし、ドイツ銀行の負債総額はもっと上を行き260兆円に達し、リーマン・ブラザーズの4倍近いと言う説があるのだそうです。
にもかかわらず、メルケル首相はドイツ銀行救済の動きを見せず、不安を高めているのですね。
ドイツ銀の苦境鮮明、選挙控え救済に抵抗感 資金引き揚げ報道も | ロイター
ドイツ銀行が破綻危機…市場が怯える「ABCDショック」 | 日刊ゲンダイDIGITAL
発端となったのは、モーゲージ担保証券(MSB)の不正販売問題で米司法省から約1兆4000億円の制裁金の支払いを求められたことでの財務不安。そして、支払が実現すると、公的支援が必要と思われるが、メルケル首相が支援について否定的態度を示している事が不安を拡大。しかし、ドイツ銀との取引から撤退するヘッジファンドはほんの一部だし、ドイツ銀の財務体質が、リーマン・ショック並みの金融危機に発展するほど悪化している、と見るアナリストもほとんどいないと言うのが日経の記事の豊島逸夫氏。
市場の不安心理が投資家のねらい目とされ、アルゴリズム取引で生じる変動を報じる報道の見出しが、更に市場を煽り価格変動が大きくなるといった、実態から乖離する株価変動と、ドイツ銀発のリスクが相互依存度の高い世界の銀行群に伝染するシナリオ危惧されているのです。
また、そもそも、背景にあるのは銀行が構造不況業種になりつつある、という状況。フィンテック、マイナス金利といった環境変化で従来のビジネスモデルでは立ち行かなくなってきたと、基本構造の問題点も指摘されています。
頭でっかちになって、マネーゲーム化している金融業界は、熟しきった資本主義の弊害が目立つようになってきているともいえるでしょう。製造業の技術発展、新たな発明・創造で実態を伴う経済発展を遂げてきた資本主義が、机上のマネーゲーム主導の金融主義に替わり、富の偏りも産んでいます。
「ABCDショック」の現状。さまざまなリスクへの配慮が欠かせませんね。
余談ですが、ファンドマネージャー西山孝四郎氏は、フォルクスワーゲン、ドイツ銀行と続けざまに米国がやり玉に挙げている点に注目されていました。ドイツ帝国再来かともささやかれる、欧州でのドイツの独り勝ち。なにかあるのか、ないのか。。
# 冒頭の画像は、メルケル首相
ドイツ銀行への公的支援の観測には根拠がない=政府報道官 | ロイター
この花の名前は、ドイツスズラン
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世界の政治、経済を不透明化している元凶で、リーマンショックの再来の懸念を広めているのですね。
2008年のリーマン・ショックでは、リーマン・ブラザーズの負債総額は約70兆円。しかし、ドイツ銀行の負債総額はもっと上を行き260兆円に達し、リーマン・ブラザーズの4倍近いと言う説があるのだそうです。
にもかかわらず、メルケル首相はドイツ銀行救済の動きを見せず、不安を高めているのですね。
ドイツ銀の苦境鮮明、選挙控え救済に抵抗感 資金引き揚げ報道も | ロイター
ドイツ銀行が破綻危機…市場が怯える「ABCDショック」 | 日刊ゲンダイDIGITAL
ドイツ銀行不安、リーマン・ショックを連想する市場 :日本経済新聞
ドイツ銀行株の下げが加速している。2015年には30ドル台だったが16年に入ってからは下落ペースが速まり、10ドル台となった。今週も26日には7%ほど急落し、その後は反発したが29日は下げ幅が再び6%を超えた。時価総額もリーマン・ショック時の水準近くまで急減している。
市場では、ドイツ発の金融リスク連鎖が世界的に拡散する可能性がささやかれ始めている。
29日の下げは、一部のヘッジファンドがドイツ銀とのデリバティブ取引から撤退する、との報道が契機だった。
市場が神経質にならざるを得ないのは、6月末に国際通貨基金(IMF)が出したリポートで、ドイツ銀を引き合いに「グローバル・システミック・リスク」について警告を発したからだ。この点については、本欄7月5日付「金融連鎖リスクが高い銀行は?IMF実名公表の衝撃」を参照されたい。
とはいえ、報道にあったようなドイツ銀との取引から撤退するヘッジファンドはほんの一部だ。ドイツ銀の財務体質が、リーマン・ショック並みの金融危機に発展するほど悪化している、と見るアナリストもほとんどいない。しかし、英国の国民投票結果について、欧州連合(EU)から離脱するとの決定を「まさか起こり得ない」と想定し、大きく外した記憶も生々しく残る。それだけに今回も「絵空事」と切って捨てることができない。そこが投機筋の狙い目となり、アルゴリズム取引により報道のヘッドライン(見出し)で大量の売買が発動され、神経質な市場心理も相まって、価格変動は大きくなる。
欧州債務危機の再来も市場の一部では連想されている。ただし当時と現在では状況が異なる。ギリシャ危機を振り返れば、銀行不安が脆弱な債務超過国の財政を直撃する構図だった。しかしドイツは債権国である。それゆえ、ドイツのソブリンリスクが危惧されるわけではない。現状で危惧されているのは、ドイツ銀発のリスクが相互依存度の高い世界の銀行群に伝染するシナリオだ。このようなシステミックリスクは警戒せねばならない。
さらに今回の件は政治問題の様相も呈している。
EUは銀行の公的救済を実質的に禁じている。メルケル首相も選挙で大敗しているので、税金を使った公的救済を、これまで以上に強く否定する。
とはいえ、今回の発端となったのはドイツ銀に対し米司法省が米国内での金融商品販売を巡って巨額の和解金を要求した、という動きだ。金額は円換算で約1兆4000億円に達する。減額交渉が決裂すれば公的救済は不可避、との見方も根強い。ドイツ銀は、フォルクスワーゲン(VW)と並び、ドイツ経済の象徴だ。大きすぎてつぶせない存在だろう。
そこで「ステルス(隠れ)公的救済」というシナリオも取り沙汰されている。国内2位のコメルツ銀行との合併だ。リーマン・ショック時に公的救済された名残で、同行株式の15.6%は政府が保有している。合併すれば、実質的に公的マネーを入れることになる。
実現性はともかく、メルケル首相もドイツ銀を巡って策に窮していることがうかがえる。仮に米司法省との問題が解決しても、ドイツ銀の経営体質が変わらなければ不安再燃は避けられないだろう。
そもそも、背景にあるのは銀行が構造不況業種になりつつある、という状況だ。フィンテック、マイナス金利といった環境変化で従来のビジネスモデルでは立ち行かなくなってきた。米国でもウェルズ・ファーゴのリテール部門での不正営業問題が議会で最高経営責任者(CEO)に対する責任追及にまで発展している。巨大銀行が大きく経営戦略のかじを切ることは容易ではない。そこで生き残りをかけ、無理をすれば不正行為も起こりやすい。
市場の視点では、欧州銀行不安と言えばイタリアばかりに目が行っていたがドイツからも目が離せなくなった。目先は原油市場を発端に、リスクオフが和らぐ展開になった。ただ、欧州発でリスク回避の円買いが起きる可能性には注意が必要だろう。
ドイツ銀行株の下げが加速している。2015年には30ドル台だったが16年に入ってからは下落ペースが速まり、10ドル台となった。今週も26日には7%ほど急落し、その後は反発したが29日は下げ幅が再び6%を超えた。時価総額もリーマン・ショック時の水準近くまで急減している。
市場では、ドイツ発の金融リスク連鎖が世界的に拡散する可能性がささやかれ始めている。
29日の下げは、一部のヘッジファンドがドイツ銀とのデリバティブ取引から撤退する、との報道が契機だった。
市場が神経質にならざるを得ないのは、6月末に国際通貨基金(IMF)が出したリポートで、ドイツ銀を引き合いに「グローバル・システミック・リスク」について警告を発したからだ。この点については、本欄7月5日付「金融連鎖リスクが高い銀行は?IMF実名公表の衝撃」を参照されたい。
とはいえ、報道にあったようなドイツ銀との取引から撤退するヘッジファンドはほんの一部だ。ドイツ銀の財務体質が、リーマン・ショック並みの金融危機に発展するほど悪化している、と見るアナリストもほとんどいない。しかし、英国の国民投票結果について、欧州連合(EU)から離脱するとの決定を「まさか起こり得ない」と想定し、大きく外した記憶も生々しく残る。それだけに今回も「絵空事」と切って捨てることができない。そこが投機筋の狙い目となり、アルゴリズム取引により報道のヘッドライン(見出し)で大量の売買が発動され、神経質な市場心理も相まって、価格変動は大きくなる。
欧州債務危機の再来も市場の一部では連想されている。ただし当時と現在では状況が異なる。ギリシャ危機を振り返れば、銀行不安が脆弱な債務超過国の財政を直撃する構図だった。しかしドイツは債権国である。それゆえ、ドイツのソブリンリスクが危惧されるわけではない。現状で危惧されているのは、ドイツ銀発のリスクが相互依存度の高い世界の銀行群に伝染するシナリオだ。このようなシステミックリスクは警戒せねばならない。
さらに今回の件は政治問題の様相も呈している。
EUは銀行の公的救済を実質的に禁じている。メルケル首相も選挙で大敗しているので、税金を使った公的救済を、これまで以上に強く否定する。
とはいえ、今回の発端となったのはドイツ銀に対し米司法省が米国内での金融商品販売を巡って巨額の和解金を要求した、という動きだ。金額は円換算で約1兆4000億円に達する。減額交渉が決裂すれば公的救済は不可避、との見方も根強い。ドイツ銀は、フォルクスワーゲン(VW)と並び、ドイツ経済の象徴だ。大きすぎてつぶせない存在だろう。
そこで「ステルス(隠れ)公的救済」というシナリオも取り沙汰されている。国内2位のコメルツ銀行との合併だ。リーマン・ショック時に公的救済された名残で、同行株式の15.6%は政府が保有している。合併すれば、実質的に公的マネーを入れることになる。
実現性はともかく、メルケル首相もドイツ銀を巡って策に窮していることがうかがえる。仮に米司法省との問題が解決しても、ドイツ銀の経営体質が変わらなければ不安再燃は避けられないだろう。
そもそも、背景にあるのは銀行が構造不況業種になりつつある、という状況だ。フィンテック、マイナス金利といった環境変化で従来のビジネスモデルでは立ち行かなくなってきた。米国でもウェルズ・ファーゴのリテール部門での不正営業問題が議会で最高経営責任者(CEO)に対する責任追及にまで発展している。巨大銀行が大きく経営戦略のかじを切ることは容易ではない。そこで生き残りをかけ、無理をすれば不正行為も起こりやすい。
市場の視点では、欧州銀行不安と言えばイタリアばかりに目が行っていたがドイツからも目が離せなくなった。目先は原油市場を発端に、リスクオフが和らぐ展開になった。ただ、欧州発でリスク回避の円買いが起きる可能性には注意が必要だろう。
発端となったのは、モーゲージ担保証券(MSB)の不正販売問題で米司法省から約1兆4000億円の制裁金の支払いを求められたことでの財務不安。そして、支払が実現すると、公的支援が必要と思われるが、メルケル首相が支援について否定的態度を示している事が不安を拡大。しかし、ドイツ銀との取引から撤退するヘッジファンドはほんの一部だし、ドイツ銀の財務体質が、リーマン・ショック並みの金融危機に発展するほど悪化している、と見るアナリストもほとんどいないと言うのが日経の記事の豊島逸夫氏。
市場の不安心理が投資家のねらい目とされ、アルゴリズム取引で生じる変動を報じる報道の見出しが、更に市場を煽り価格変動が大きくなるといった、実態から乖離する株価変動と、ドイツ銀発のリスクが相互依存度の高い世界の銀行群に伝染するシナリオ危惧されているのです。
また、そもそも、背景にあるのは銀行が構造不況業種になりつつある、という状況。フィンテック、マイナス金利といった環境変化で従来のビジネスモデルでは立ち行かなくなってきたと、基本構造の問題点も指摘されています。
頭でっかちになって、マネーゲーム化している金融業界は、熟しきった資本主義の弊害が目立つようになってきているともいえるでしょう。製造業の技術発展、新たな発明・創造で実態を伴う経済発展を遂げてきた資本主義が、机上のマネーゲーム主導の金融主義に替わり、富の偏りも産んでいます。
「ABCDショック」の現状。さまざまなリスクへの配慮が欠かせませんね。
余談ですが、ファンドマネージャー西山孝四郎氏は、フォルクスワーゲン、ドイツ銀行と続けざまに米国がやり玉に挙げている点に注目されていました。ドイツ帝国再来かともささやかれる、欧州でのドイツの独り勝ち。なにかあるのか、ないのか。。
# 冒頭の画像は、メルケル首相
ドイツ銀行への公的支援の観測には根拠がない=政府報道官 | ロイター
この花の名前は、ドイツスズラン
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