遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米イージス艦 南シナ海人口島の12カイリ内へ派遣

2015-10-27 23:58:58 | EEZ 全般
 中国が進めている南シナ海での人口島建設。3千メートル級滑走路や軍港を備え、南シナ海の制空権や制海権を掌握しようというものです。シーレーンが中国軍に制圧されるとともに、米国本土や空母を標的とするミサイルを搭載した原潜を勇躍させる為ですね。
 勿論、人口島は領海の基点となるものではなく、中国の主張は国際法上認められるものではありません。
 米軍は、6月(5月説もあり)には人工島の12カイリ内へ艦船等を派遣し、中国領を認めない姿勢を示す作戦を立てていましたが、オバマ大統領が承認せず、今日に至っていました。
 しかし、習近平の訪米時に、オバマ大統領が南シナ海での中国の軍事施設建設の中止を要請したものの、習近平が全く応じなかったことから、作戦の実行を決断したのだそうです。
 (交渉時に、軍事施設は建設しないと習近平が答えたが、建設を続けているので決断したとの説もあります。)
 そして、中国共産党の第18期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が開催されたこの時期に、「航行の自由作戦」を敢行しました。

 
南シナ海の中国人口島 12海里内で米軍が行動計画 - 遊爺雑記帳
 
オバマ氏、ついに怒る 夕食会で一変した対中戦略  :日本経済新聞

 世界の指導者は2つのタイプに分かれる。どんな相手とも「話せば分かる」と信じる人と、その逆だ。前者の典型は、オバマ米大統領である。
 彼に接したことがある政府高官らは「
オバマ氏は軍を動かすのをいやがる
」と語る。なぜなら、たいていの問題は、話せば何とかなると思っているからだ。
 
そんな彼がついに怒りを爆発させ、対話に見切りをつけたという。9月24日、ワシントンにやってきた習近平中国国家主席との夕食でのこと
だ。

 ごく少人数なら本音で話し、接点を見つけられるかもしれない。オバマ氏はそう考え、翌日の晩さん会とは別に、側近だけによる私的な会食を用意した。
 
いちばん取り上げたかったことの一つが、中国が南シナ海の岩礁を埋め立て、軍事施設をつくっている問題
だ。ところが、ふたを開けてみると、やり取りはさんたんたるものだった。
 複数の米政府筋によると、
オバマ氏はかなりの時間を割き、軍事施設の建設をやめるよう求めた。だが、習氏はまったく取りあわず、箸にも棒にもかからないやり取りに終わった

 その夕食会の直後、
憤ったオバマ氏は側近に命じ、ただちにハリー・ハリス米太平洋軍司令官に連絡させ、こう通告したという。「南シナ海での作戦を承認する」

 この作戦とは、
中国がつくった「人工島」の12カイリ(約22キロメートル)内に、米軍を派遣するというものだ。国際法では、各国の沿岸から12カイリを領海と定めている。そこに米軍の艦船などを送り込み、「人工島」を中国の領土と認めない姿勢をみせるというわけだ。
 この計画は、すでに6月ごろに米軍首脳が立案し、実行しようとしたが、オバマ氏が承認を渋っていた。習氏との直談判に望みを託していたからだ。
 「
習氏との会談が決裂したことで、オバマ氏は中国に融和的な姿勢をみせても協力を得られないと悟った。
米国の対中政策にとり、大きな転換点になるだろう。中国は墓穴を掘った」
 世界的に著名な米戦略家であり、中国に関する近著もあるエドワード・ルトワック氏はこう分析する。

 では、このできごとは日本にどんな影響をもたらすのか。
 「力による現状変更を黙認したら、アジアは不安定になってしまう」。複数の外交筋によると、日本や一部の東南アジア諸国は米側にこう訴え、「人工島」付近に米軍を派遣する作戦の実行を促してきた。その意味で、オバマ氏の決断は日本にも朗報といえる。
 その一方で、近づく米軍を中国軍が阻もうとすれば、米中が意図しなくても紛争になる危険がある。そのとき、
日本はどうするのか。安全保障関連法が成立したいま、これまで以上に真剣かつ、慎重に検討しなければならない。

 もっとも、
「話せば分かる」の対中路線を、オバマ氏が完全にかなぐり捨てるというわけではないだろう。核開発問題をめぐるイランとの合意、敵対してきたキューバとの国交回復。この路線でつかんだ実績も少なくないからだ。
 彼の任期はあと1年あまりしかない。「南シナ海で中国と対立しながらも、温暖化対策やアフガニスタン復興では協力し、成果を上げる余地を残すべきだ」。ホワイトハウス内からはこんな声も聞かれる。
 テーブルの上でケンカをしながら、下では握手も交わす。大国はよく、こんな行動に出る。舞台裏の米中の駆け引きにも目をこらし、中国への圧力と対話をどう加減するか。安倍政権の判断力が試される。  (編集委員 秋田浩之)


 「航行の自由作戦」は、横須賀基地所属のイージス駆逐艦「ラッセン」を、滑走路の建設が進むスービ礁とミスチーフ礁の12カイリの海域へ派遣され、哨戒機「P8A」と「P3」が同行したとの報道があります。
 

米海軍、イージス艦「ラッセン」を南シナ海・人工島12カイリ内に派遣 中国は猛反発「軽挙妄動すべきでない」 - 産経ニュース

 【ワシントン=青木伸行】米国防当局者は26日(米東部時間)、米海軍が横須賀基地所属のイージス駆逐艦「ラッセン」を、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で中国が建設している人工島の12カイリ(約22キロ)内に26日夜(日本時間27日午前)、派遣したことを明らかにした。複数の米メディアなどが報じた。中国は強く反発しており、緊張が高まることは必至だ。
 12カイリ内への派遣は
「航行の自由作戦」と名付けられ、米CNNテレビによると、当局者は作戦が完了したとしている。
ラッセンの哨戒行動は、日米関係筋も確認した。
 
ロイター通信は、哨戒機P8AとP3が同行した可能性にも言及
しており、そうであれば12カイリ内の上空での飛行活動も実施されたことになる。

 
ラッセンなどの派遣先は、滑走路の建設が進むスービ(渚碧)礁とミスチーフ(美済)礁
としている。
 国防総省によると、中国が実効支配する岩礁の12カイリ内における米軍の活動は、2012年以来。人工島の造成後は初めてで、
12カイリ内での航行は、人工島と周辺海域を中国の「領土、領海」とは認めないという米国の姿勢を示威行動で示し、強く牽制(けんせい)するもの
だ。

 これに先立ち国防総省のデービス報道部長は26日の記者会見で、「海洋権益を過度に主張する国(中国)に対抗する」と強調し、スプラトリー諸島周辺海域での米軍の活動について、中国へ通告する義務はないとの認識を示していた。
 カーター国防長官もこれまでに「米軍は航行の自由を確保するため、世界のあらゆる場所で活動し、南シナ海も例外ではない」と、派遣をためらわない考えを示していた。
 国防総省は5月ごろから12カイリ内での航行を検討しオバマ大統領に進言。オバマ氏は自制してきたが、今月に入り承認し、中国を除く関係各国に派遣方針を伝達していた。


 フィリピンのアキノ大統領は、米軍の行動について「世界のどこにおいても、力の均衡は誰もが歓迎するだろう」とも述べ、南シナ海で力による一方的な現状変更を進める中国への懸念を示すと同時に、同盟国である米国が実際の行動で存在感を示したことを評価する姿勢を明確にしています。
 
【米イージス艦南シナ海派遣】アキノ比大統領「力の均衡を歓迎」 - 産経ニュース

 菅官房長官や、岸田外相は、「米軍の作戦についてコメントすることは控えたい」とした上で、中国による大規模な埋め立てなどについて、「現状を変更し、緊張を高める一方的な行動は、国際社会共通の懸念事項であると考えている」とコメントしています。
 
【米イージス艦南シナ海派遣】菅官房長官「コメント控えたい」 人工島建造は強く批判 - 産経ニュース
 【米イージス艦南シナ海派遣】岸田外相「国際社会共通の懸念事項」 - 産経ニュース

 集団的自衛権行使の議論で、南シナ海での米中の衝突は俎上にあがりました。両氏が口裏を合わせ慎重な発言にとどめているのは、早速その事態が現実のものとなる可能性がでてきたからでしょうか。

 中国は、自国が国際法を無視した暴挙で原因を創ったことは棚に上げて、米国が危機を煽っていると批判しています。
 
中国、米艦に対抗措置=駆逐艦が「追尾・警告」―南シナ海の人工島沖進入 (時事通信) - Yahoo!ニュース

 今回は、武力の衝突はなく一旦治まりましたが、米国が今後も繰り返すとの見方が多い様です。(東シナ海に中国がADIZを設定した時は、B52が飛行しましたが、1回だけで、民間機の飛行を自粛しました。)
 米中双方で、武力衝突は避けたい意向ですが、中国軍の暴走の危惧は残ります。
 南シナ海、波高し。暫くは目が離せませんね。



 # 冒頭の画像は、南シナ海・南沙諸島のスービ礁




  この花の名前は、ユキワリイチゲ


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続 中国の海洋戦略
暴かれた中国の極秘戦略―2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?




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