
1997年の橋本内閣時に第一回が開催されたのですが、遊爺が知るようになったのは、第四回目からです。同時に、日本が「海洋国家」として「太平洋・島サミット」の諸国と共に繁栄していくことの重要性も強く認識するようになりました。日本が主催する、ローカルだけど友好的かつ地に足がついたサミットとして日本の活躍に期待しました。
過去のblogの記事を読み返すと、前回の頃には既に中国の進出で、その軍事力と、資金のばら撒きで主導権を奪われ始めているのですね。今年から、米国も参加するのだそうです。
第五回の時に転載させていただいた千野境子記者の、今回に寄せる記事がありました。
カート・キャンベル米国務次官補が昨年、太平洋島嶼(とうしょ)国を歴訪したとき、米国のアジア太平洋への復帰がかくも遠くに及んだことと、島嶼国の大半の8カ国をたった1週間で回ってしまったことに驚いた。
同じことを日本の高官がやろうとすると1カ月はかかるという。とてもできない相談だ。同次官補は軍用機を使い、太平洋軍司令官と一緒に回ったからこそ可能だった。ダイナミックな外交にはインフラも大切という見本ではないだろうか。
太平洋島嶼国・地域の重要性は日本にとっても増している。いや、地域への関与では日本の方がむしろ先達だ。パラオなどの委任統治領という歴史的絆はもとより、きめ細かな配慮や地道な努力も重ねてきた。
好例が来月下旬に沖縄県名護市で行われる第6回太平洋・島サミット(PALM6)だ。1997年に日本の提唱で始まり、太平洋諸島フォーラム(PIF)に加盟する国・地域が参加し、3年ごとに開かれてきた。米国は今回が初参加である。 米国の参加を促したもの、それは中国の顕著な進出が象徴する戦略環境の変化だ。地域秩序を伝統的に担ってきたオーストラリア、ニュージーランド(NZ)だけでなく米国の関与が必要となったのである。米国はもちろん呼びかけを歓迎した。
イランなど中東情勢の不安定化や原発再稼働問題で不透明さを増す日本のエネルギー安全保障も、島嶼国・地域の存在感を高めている。
とくに天然ガスが豊富なパプアニューギニア(PNG)は、日本への輸出を段階的に減らす方向のインドネシアに代わる安定的な供給元として期待され、再来年に生産開始予定のプロジェクトは、その半分が日本へ輸出される見通しだ。もっとも、同国への資源外交は中国が早く、今後生産される天然ガスの3分の1の購入を予定しているといわれる。
一方、冷戦時代、この地域で米国と覇を競ったロシアも再び関心を深めている。今年2月、ラブロフ外相は自らフィジーに乗り込み、島嶼国会合を主催した。昨年9月の国連総会の際にニューヨークで開いた初会合が好評だったことに気を良くし、定例化したのである。
真意は不明だが、グルジアからの分離とロシアへの帰属などを目指す南オセチアやアブハジアの承認を島嶼国に求めるためともされる。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を今年、ウラジオストクで開催することと併せ、太平洋国家ロシアを印象づけるものだろう。
ちなみにクリントン米国務長官もPNGを訪問している。対して日本の外相の島嶼国・地域訪問は1987年が最後。四半世紀もの空白は地域重視の観点からは残念な話だ。
ところで、こうした大国の関心と戦略環境の変化に、島嶼国・地域自身は「古い友人への回帰を進めている」と外交当局者は解説する。
裏返せば新しい友人(中国)への過度な依存を戒める、東南アジアやアフリカにも通じる動きである。例えば、軍事政権で国際的孤立を深め中国に経済支援を仰いだフィジーは先頃、2014年の総選挙実施に豪州とNZ(古い友人)の財政支援を受け入れることになった。対中依存が最も強いとされるトンガも在NZ大使館閉鎖の方針を撤回、日本に大使館を開くことも計画中という。
小粒なサミットに秘められた思惑は実はなかなかのもののようだ。
中国の資金のばら撒きに誘われて中国を受け入れた国々が、アフリカやアジア(典型で今注目されているのがミヤンマー)で一斉に発生していますが、太平洋の島嶼国でも同じ流れが始まりつつあるのは、注目すべきところですね。
第四回の時に、tsubamerailstarさんが仰っていた、「日本には出来て中国には絶対出来ない支援のあり方」が、これから本領を発揮できる環境が整ったことになりますが、民主党政権の感性やフットワークの悪さがどこまで払拭できるかでしょう。
加えて、米国の参入で、日米同盟の停滞が続く中、親密度を深める豪(PIFをリード)と米とが主導権を発揮し、リードしていく可能性が強まる可能性が考えられますね。
「持続可能な開発及び経済的・社会的福利に向けてパートナーとして協力することについてのコミットを新たに」するとした第一回の宣言では、グローバル化への対応、高速回遊魚の資源継続などの漁業、プルトニウム等の輸送、日本、豪州及びニュー・ジーランドのこの地域への支援他を謳っていましたが、天然ガス資源への期待も出てきたのですね。
政権交代以降、経済力の低下に拍車がかかり、政治的信頼も失う一方の日本。今回の震災では、ガレキや放射能を太平洋に漂わさせてしまっています。
リーダーシップを発揮しづらい環境になってはいますが、中国、ロシアにはできない日本流の支援(例=熱帯環境に適したエネルギー・システム、再生可能な電力システムの開発、人材育成)で、各国への貢献と共存を着実に進めていくことが大切ですね。
小さなサミットですが、太平洋という大きな対象を担う重要なサミットです。日本への信頼を高め、期待に沿う行動が示せる今年の会合となることを期待しています。
太平洋・島サミット - 遊爺雑記帳
第5回太平洋・島サミット - 遊爺雑記帳
外務省: 第6回太平洋・島サミット
外務省: 太平洋・島サミット
# 冒頭の画像は、前回(第五回)の北海道占冠村で開催された太平洋・島サミット 当時は麻生総理だったんですね。

この梅の蕾は、八重林州
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