セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEOが、退任を表明されました。原因は、社内の人事の覇権争いで、創業家との対立。きっかけには、物言う海外ファンドの揺さぶりもあげられている様です。
いまでは我々日本人の生活には欠かせなくなっているコンビニ。鈴木氏が日本に導入して以来、消費者のニーズを先取りし、販売システム改革も進め、常に進化をつづけているそのビジネスモデルは、製造業に居た遊爺ですが、勉強させていただき、講演にも多く参加させていただきました。
大塚家具、ロッテなど、親族の覇権争いで紛糾する例が続いていましたが、日本の流通業の改革をリードするビジネスモデルを誇るセブン&アイ・ホールディングスで、このような騒動が生じ、鈴木氏が退場されることになろうとは、驚きとともに残念なことです。
セブン-イレブンおでん部会―ヒット商品開発の裏側 (朝日新書 34) | 吉岡 秀子 | 本 | Amazon.co.jp
狭い店舗面積で在庫を持つスペースは極度に限られる中、滞留在庫を無くすことと、空の棚スペースも同時に無くすことの両立。そこには、消費者のニーズの先取りと、究極のDCM & SCMの極意が満載でしたね。
それが、社内の人事争いで、カリスマの鈴木氏が退場されることになるとは。読売の記事では、独善的になってきた鈴木氏への社内の反発が強まった点を説き、創業家からも反旗を翻されたことが決定打と解説されています。
コンビニを導入し、反対を説得し、大型スーパーによる小売流通の形態に大構造改革をもたらし、親会社のイトーヨーカ堂を凌ぐように、日本の流通革命をもたらすには、元々から独善的でカリスマ性はあったはずなのですが。。
辞任劇の経緯については、日経系で詳しく報じられています。
さらなる詳報は以下。
セブン会長、引退会見で見せたお家騒動の恥部:日経ビジネスオンライン
遊爺がひっかかる鈴木氏の言葉は、「世代が変わった」、「獅子身中の虫」「資本と経営の分離」です。この中で、「資本と経営の分離」については、これまでの創業家と鈴木氏の良好な関係を説明されるのに使われた言葉と理解しますが、遊爺がひっかかったのは、「物言う株主」の「サードポイント」です。
セブン&アイHD 米サードポイントが「ヨーカ堂切り」を要求 - ライブドアニュース
「物言う株主」がセブンに突きつけた要求の本当の思惑|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
サードポイントの手法は、情報を流して株価を変動させ、差益をせしめると言うものだそうです。
今回は、不振の総合スーパー「イトーヨーカ堂」の分離を含めた事業の見直しを求め、改革による配当の倍増を要求し、投資家に株価上昇の期待をもたせて株価を上げようとしたのですね。鈴木氏の息子の後継についても物言いをつけています。
「イトーヨーカ堂」の創業家とすれば、鈴木氏と一致団結してしてサードポイントと対抗するのかとおもいきや、鈴木氏を追い落しています。よくわからないところです。続報を待つしかない。
取り締まり役会の人事案が否決されたとは言え、賛成票が反対票を上回っています。白票があり過半数に満たなかったための否決ですから、井阪隆一社長の留任が上回っているわけではありません。
鈴木氏が去った後、混迷が続くと考えられますね。
物言う海外ファンドの株価操作での利益稼ぎの標的にされた日本の流通業の代表的企業が混迷する。米国での見聞からの改革で今日の地位を気づいたのに、米国のファンドに屋台骨を揺さぶられてしまっている今。功績の大きい鈴木氏が、後継者の悪口を綿々と述べる会見をして去る悲しい状況。
製造業が新興国に追い越される状況がつづいていますが、サービス業でも老化・衰退が始まろうとしているのでしょうか。
# 冒頭の画像は、会見に並んだ、セブン&アイの鈴木会長、村田社長、佐藤顧問、後藤顧問
クコの実
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いまでは我々日本人の生活には欠かせなくなっているコンビニ。鈴木氏が日本に導入して以来、消費者のニーズを先取りし、販売システム改革も進め、常に進化をつづけているそのビジネスモデルは、製造業に居た遊爺ですが、勉強させていただき、講演にも多く参加させていただきました。
大塚家具、ロッテなど、親族の覇権争いで紛糾する例が続いていましたが、日本の流通業の改革をリードするビジネスモデルを誇るセブン&アイ・ホールディングスで、このような騒動が生じ、鈴木氏が退場されることになろうとは、驚きとともに残念なことです。
鈴木会長退任 「独善」トップに不満 異例人事案で表面化 (4/8 読売 スキャナー)
セブン&アイ・ホールディングス(HD)の鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)(83)が突然の引退を表明した。日本のコンビニエンスストアの「生みの親」とも言える鈴木氏だが、近年、社内で「独善的」だと批判が高まっていたことが背景にある。 (経済部 田中ひろみ、佐藤千尋)
「改革案はほとんど出てこなかった」「社長を続けさせれば将来に禍根を残す」━━。鈴木氏は7日の記者会見で、セブンーイレブン・ジャパンの井阪隆一社長(58)を退任させようとした人事の理由を激しい言葉でまくし立てた。
約1時間の会見中、鈴木氏の発言のほとんどは井阪氏への批判に費やされ、会見場は異様な雰囲気に包まれた。会見には、表舞台にほとんど登場することのなかったセブン&アイHDの顧問2人も登壇。鈴木氏への「援護射撃」を繰り返した。
鈴木氏が井阪氏を、セブンーイレブン・ジャパンの副社長で8歳も年上の古屋一樹氏(66)と交代させる異例の人事を固めたのは今年に入ってからとされる。
セブン-イレブンの既存店売上高は今年2月まで43か月連続で前年比プラスという好業績を続けてきたにもかかわらず、鈴木氏の目に井阪氏は「物足りない」と映っていたという。
従来であれば、鈴木氏が決めた人事はその通りに決まってきたが、ここで異変が起こる。井阪氏は退任が内示された直後、いったんは承諾したものの後日、一転して「受け入れられない」と鈴木氏に強く抗議した。さらに、鈴木氏がメンバーを指名して先月設立した「指名・報酬委員会」も人事案に異を唱えた。
決定打となったのは、セブン&アイHDの創業者である伊藤雅俊名誉会長(91)の対応だ。伊藤氏はイトーヨーカ堂を一代で日本有数のスーパーチェーンに育てる一方、鈴木氏にコンビニ事業を任せ、二人三脚で巨大流通グループを率いてきた存在だ。
鈴木氏によると、井阪氏退任への承諾を求めたところ、伊藤氏はこれを拒んだという。鈴木氏は会見で、「(伊藤家とは)良好な関係で、これまで提案に反対されたことはなかった」と語り、予想外の反応にとまどった心中を明かした。
ここにきて、鈴木氏に公然と異を唱える動きが一気に表面化したのは、鈴木氏が井阪氏の人事を強行しようとしたことに象徴されるように独善的になり、反発が強まったためだとされる。
今年1月には総合スーパーのイトーヨーカ堂で当時の社長が年度の途中で突然辞任し、前社長の亀井淳顧問(71)が社長に復帰した。イトーヨーカ堂の業績不振が続く中、当時の社長から辞任の申し出があったとされるが、鈴木氏の意向があったとの見方もある。関係者は「鈴木氏を批判できる人間がほとんどいなくなった」と明かす。
求心力の低下を肌で感じ取った末の引退劇。「仕方がないこと」。鈴木氏は会見後、記者団に笑顔で語ったが、流通業界の大きな功労者としては、あまりに後味の悪い引き際となった。
独創手腕でコンビニ文化 おにぎり・おでん発売
鈴木敏文氏は、強力なリーダーシップと先見性でコンビニエンスストアという業態を日本に根付かせた。日本人の消費行動を変えたとも言われるコンビニの成功の裏には、消費者ニーズを徹底して重視する経営手法がある。
セブンーイレブン1号店が東京・豊洲に開店したのは1974年5月。イトーヨーカ堂の幹部だった鈴木氏が前年の米国視察の際、全米に展開する小売店のセブンーイレブンに注目したことがきっかけだった。
鈴木氏は、販売状況をきめ細かく把握し、売れない「死に筋商品」を排除して在庫を抑制する「単品管理」を徹底した。「タンピンカンリ」の手法は、米国のビジネススクールの教材にもなった。今では当たり前になっている販売時点情報管理システム(POS)をコンビニに初めて大規模に導入したのも鈴木氏だ。
特定地域に集中出店する「ドミナント」戦略により、物流の効率化も図った。商品開発では、おにぎりやおでんなど、家庭で作るのが常識だった商品を投入し、次々にヒットを飛ばした。セブンーイレブンでは、ほぼ毎日、昼食時間帯に鈴木氏や井阪氏らが弁当や総菜などの試食会を開く。ここで鈴木氏の「ノー」が出た商品が店頭に並ぶことはなく、鈴木氏のこだわりが色濃く反映されている。
事業領域が拡大するにつれ、食品メーカーなどに対する交渉力は強まり、「セブンプレミアム」に代表されるプライベートブランド(自主企画)商品の開発も加速した。
長らくグループトップに「君臨」したことで、後継者育成の遅れも取りざたされた。次男の康弘氏がグループ入りし、昨年にはセブン&アイHDの取締役に就任した。後継者とみる向きもある中、先月には米ヘッジファンドのサードポイントが書簡で、康弘氏を後継者とすることに疑義を呈し、「今回の鈴木氏退任の遠因になった」(関係者)との見方もある。
セブン&アイ・ホールディングス(HD)の鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)(83)が突然の引退を表明した。日本のコンビニエンスストアの「生みの親」とも言える鈴木氏だが、近年、社内で「独善的」だと批判が高まっていたことが背景にある。 (経済部 田中ひろみ、佐藤千尋)
「改革案はほとんど出てこなかった」「社長を続けさせれば将来に禍根を残す」━━。鈴木氏は7日の記者会見で、セブンーイレブン・ジャパンの井阪隆一社長(58)を退任させようとした人事の理由を激しい言葉でまくし立てた。
約1時間の会見中、鈴木氏の発言のほとんどは井阪氏への批判に費やされ、会見場は異様な雰囲気に包まれた。会見には、表舞台にほとんど登場することのなかったセブン&アイHDの顧問2人も登壇。鈴木氏への「援護射撃」を繰り返した。
鈴木氏が井阪氏を、セブンーイレブン・ジャパンの副社長で8歳も年上の古屋一樹氏(66)と交代させる異例の人事を固めたのは今年に入ってからとされる。
セブン-イレブンの既存店売上高は今年2月まで43か月連続で前年比プラスという好業績を続けてきたにもかかわらず、鈴木氏の目に井阪氏は「物足りない」と映っていたという。
従来であれば、鈴木氏が決めた人事はその通りに決まってきたが、ここで異変が起こる。井阪氏は退任が内示された直後、いったんは承諾したものの後日、一転して「受け入れられない」と鈴木氏に強く抗議した。さらに、鈴木氏がメンバーを指名して先月設立した「指名・報酬委員会」も人事案に異を唱えた。
決定打となったのは、セブン&アイHDの創業者である伊藤雅俊名誉会長(91)の対応だ。伊藤氏はイトーヨーカ堂を一代で日本有数のスーパーチェーンに育てる一方、鈴木氏にコンビニ事業を任せ、二人三脚で巨大流通グループを率いてきた存在だ。
鈴木氏によると、井阪氏退任への承諾を求めたところ、伊藤氏はこれを拒んだという。鈴木氏は会見で、「(伊藤家とは)良好な関係で、これまで提案に反対されたことはなかった」と語り、予想外の反応にとまどった心中を明かした。
ここにきて、鈴木氏に公然と異を唱える動きが一気に表面化したのは、鈴木氏が井阪氏の人事を強行しようとしたことに象徴されるように独善的になり、反発が強まったためだとされる。
今年1月には総合スーパーのイトーヨーカ堂で当時の社長が年度の途中で突然辞任し、前社長の亀井淳顧問(71)が社長に復帰した。イトーヨーカ堂の業績不振が続く中、当時の社長から辞任の申し出があったとされるが、鈴木氏の意向があったとの見方もある。関係者は「鈴木氏を批判できる人間がほとんどいなくなった」と明かす。
求心力の低下を肌で感じ取った末の引退劇。「仕方がないこと」。鈴木氏は会見後、記者団に笑顔で語ったが、流通業界の大きな功労者としては、あまりに後味の悪い引き際となった。
独創手腕でコンビニ文化 おにぎり・おでん発売
鈴木敏文氏は、強力なリーダーシップと先見性でコンビニエンスストアという業態を日本に根付かせた。日本人の消費行動を変えたとも言われるコンビニの成功の裏には、消費者ニーズを徹底して重視する経営手法がある。
セブンーイレブン1号店が東京・豊洲に開店したのは1974年5月。イトーヨーカ堂の幹部だった鈴木氏が前年の米国視察の際、全米に展開する小売店のセブンーイレブンに注目したことがきっかけだった。
鈴木氏は、販売状況をきめ細かく把握し、売れない「死に筋商品」を排除して在庫を抑制する「単品管理」を徹底した。「タンピンカンリ」の手法は、米国のビジネススクールの教材にもなった。今では当たり前になっている販売時点情報管理システム(POS)をコンビニに初めて大規模に導入したのも鈴木氏だ。
特定地域に集中出店する「ドミナント」戦略により、物流の効率化も図った。商品開発では、おにぎりやおでんなど、家庭で作るのが常識だった商品を投入し、次々にヒットを飛ばした。セブンーイレブンでは、ほぼ毎日、昼食時間帯に鈴木氏や井阪氏らが弁当や総菜などの試食会を開く。ここで鈴木氏の「ノー」が出た商品が店頭に並ぶことはなく、鈴木氏のこだわりが色濃く反映されている。
事業領域が拡大するにつれ、食品メーカーなどに対する交渉力は強まり、「セブンプレミアム」に代表されるプライベートブランド(自主企画)商品の開発も加速した。
長らくグループトップに「君臨」したことで、後継者育成の遅れも取りざたされた。次男の康弘氏がグループ入りし、昨年にはセブン&アイHDの取締役に就任した。後継者とみる向きもある中、先月には米ヘッジファンドのサードポイントが書簡で、康弘氏を後継者とすることに疑義を呈し、「今回の鈴木氏退任の遠因になった」(関係者)との見方もある。
セブン-イレブンおでん部会―ヒット商品開発の裏側 (朝日新書 34) | 吉岡 秀子 | 本 | Amazon.co.jp
狭い店舗面積で在庫を持つスペースは極度に限られる中、滞留在庫を無くすことと、空の棚スペースも同時に無くすことの両立。そこには、消費者のニーズの先取りと、究極のDCM & SCMの極意が満載でしたね。
それが、社内の人事争いで、カリスマの鈴木氏が退場されることになるとは。読売の記事では、独善的になってきた鈴木氏への社内の反発が強まった点を説き、創業家からも反旗を翻されたことが決定打と解説されています。
コンビニを導入し、反対を説得し、大型スーパーによる小売流通の形態に大構造改革をもたらし、親会社のイトーヨーカ堂を凌ぐように、日本の流通革命をもたらすには、元々から独善的でカリスマ性はあったはずなのですが。。
辞任劇の経緯については、日経系で詳しく報じられています。
流通のカリスマ退場 セブン&アイ鈴木氏「私の不徳」 :日本経済新聞
「世代が変わった」。グループの全役職から退くことを決めたセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)は7日、このような言葉で大きな節目を迎えたことを表現した。自身が主導した子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長交代案には、社内で翻意を迫る意見があったが、聞き入れなかった。結果、議案は否決され、「流通のカリスマ」自身が退任する異例の展開になった。
■社長交代案を強行、社外取締役が「ノー」
セブン&アイは7日、井阪隆一セブンイレブン社長の交代案を取締役会にかけた。ただ、交代案の提出を強行することで否決される可能性もあり、幹部の中には「会議の前日の夜まで、鈴木会長案への賛成票を取り付けようと走り回る人もいた」(セブン&アイ関係者)。
鈴木会長が積み上げてきた実績は疑うまでもなく、「人事案の採決がどうなろうと、鈴木会長が辞めるような事態だけは、絶対に避けなければいけない」(別の関係者)と懸念していた。
それでも鈴木会長主導による交代案は取締役会に提出された。背景には鈴木会長の井阪氏に対する厳しい目があり、リーダーシップに疑問を抱いていたという。鈴木会長は「井阪氏が作り出した新しいものはない」とも周囲に漏らしている。7日の記者会見でも、井阪氏は否定しているが、鈴木会長は「井阪社長からは、彼が1人でセブンイレブンの成長を支えてきたという趣旨の発言があった」と発言した。
個人消費の不透明感がぬぐえない中、セブンイレブンは業績好調だ。中興の祖である鈴木会長が求める理想像は高く、井阪社長の交代について独自の「センサー」が働いたのかもしれない。ただ、円滑なトップ交代を醸成していったとはいえなかった。取締役15人のうち7人が鈴木会長の人事案を支持した一方、2人が棄権、6人が反対した。
今回、セブン&アイの鈴木会長の電撃退任は、「物言う株主」として知られる米投資ファンド、サード・ポイントや、セブン&アイの社外取締役の存在も大きかった。
サード・ポイントがセブン&アイの株を取得したことが明らかになったのは、2015年10月のこと。16年3月には「井阪氏の社長職を解く噂を耳にしたが降格は理解できない」との書簡を送り、セブン&アイ側をけん制した。
こうした流れが影響し、社外取締役の多くも「5期連続最高益の社長を代える理由が見当たらない」として鈴木会長の人事案に反対を投じたとみられる。
サード・ポイントのダニエル・ローブCEOは7日、「セブン&アイ・ホールディングスの企業統治が安倍政権の掲げる第3の矢である成長戦略に沿って進化を遂げたことを喜ばしく思う」とコメントした。
■退任理由 残るナゾ 「創業家の信任失った」
企業統治機能が働いたといえる今回の社長交代案の否決だが、鈴木会長自身の退任の理由については、やや不透明な部分が残る。
「引退するのは私の不徳のいたすところ。こんな説明をしなければならないのはざんきに堪えない」。マイクを持ちながら微動だにせず、言葉を絞り出すように語った。
都内で開いた記者会見には、鈴木会長のほか、セブン&アイの村田紀敏社長、長年鈴木会長の側近として仕えてきた顧問の後藤光男氏と佐藤信武氏も同席した。
ここで明かされたのが、セブン―イレブン・ジャパンの井阪隆一社長とだけでなく、イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊名誉会長との確執だ。顧問の2人も一方的な批判を展開するという前代未聞の記者会見となった。
ヨーカ堂を創業した伊藤名誉会長は鈴木会長を自身の後継者としてグループのトップに据えた。鈴木会長は「全面的な信任を得てこれまでは経営を指揮してきた」としており、日本を代表する流通グループに育て上げた鈴木会長のこれまでの手腕を伊藤家も支持してきた。
今回、伊藤家が示したのは、井阪社長交代案への反対だった。会見で鈴木会長は「今までは伊藤家と良好な関係にあった。でも今回は違った」と語り、「もはや信任されていない」と語った。
決してクーデターが起きたわけではなく、社内の大半の社員が留任を望んだにもかかわらず鈴木会長は退任を決めた。「これまで私が提案したことを拒否されたことはない。しかし世代が変わった」。鈴木会長はそう語り会社を去るが、自身の穴を埋められるような後継者がグループにいるかは未知数だ。誰もが得をしない中興の祖の退任劇となった。
<後略>
「世代が変わった」。グループの全役職から退くことを決めたセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)は7日、このような言葉で大きな節目を迎えたことを表現した。自身が主導した子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長交代案には、社内で翻意を迫る意見があったが、聞き入れなかった。結果、議案は否決され、「流通のカリスマ」自身が退任する異例の展開になった。
■社長交代案を強行、社外取締役が「ノー」
セブン&アイは7日、井阪隆一セブンイレブン社長の交代案を取締役会にかけた。ただ、交代案の提出を強行することで否決される可能性もあり、幹部の中には「会議の前日の夜まで、鈴木会長案への賛成票を取り付けようと走り回る人もいた」(セブン&アイ関係者)。
鈴木会長が積み上げてきた実績は疑うまでもなく、「人事案の採決がどうなろうと、鈴木会長が辞めるような事態だけは、絶対に避けなければいけない」(別の関係者)と懸念していた。
それでも鈴木会長主導による交代案は取締役会に提出された。背景には鈴木会長の井阪氏に対する厳しい目があり、リーダーシップに疑問を抱いていたという。鈴木会長は「井阪氏が作り出した新しいものはない」とも周囲に漏らしている。7日の記者会見でも、井阪氏は否定しているが、鈴木会長は「井阪社長からは、彼が1人でセブンイレブンの成長を支えてきたという趣旨の発言があった」と発言した。
個人消費の不透明感がぬぐえない中、セブンイレブンは業績好調だ。中興の祖である鈴木会長が求める理想像は高く、井阪社長の交代について独自の「センサー」が働いたのかもしれない。ただ、円滑なトップ交代を醸成していったとはいえなかった。取締役15人のうち7人が鈴木会長の人事案を支持した一方、2人が棄権、6人が反対した。
今回、セブン&アイの鈴木会長の電撃退任は、「物言う株主」として知られる米投資ファンド、サード・ポイントや、セブン&アイの社外取締役の存在も大きかった。
サード・ポイントがセブン&アイの株を取得したことが明らかになったのは、2015年10月のこと。16年3月には「井阪氏の社長職を解く噂を耳にしたが降格は理解できない」との書簡を送り、セブン&アイ側をけん制した。
こうした流れが影響し、社外取締役の多くも「5期連続最高益の社長を代える理由が見当たらない」として鈴木会長の人事案に反対を投じたとみられる。
サード・ポイントのダニエル・ローブCEOは7日、「セブン&アイ・ホールディングスの企業統治が安倍政権の掲げる第3の矢である成長戦略に沿って進化を遂げたことを喜ばしく思う」とコメントした。
■退任理由 残るナゾ 「創業家の信任失った」
企業統治機能が働いたといえる今回の社長交代案の否決だが、鈴木会長自身の退任の理由については、やや不透明な部分が残る。
「引退するのは私の不徳のいたすところ。こんな説明をしなければならないのはざんきに堪えない」。マイクを持ちながら微動だにせず、言葉を絞り出すように語った。
都内で開いた記者会見には、鈴木会長のほか、セブン&アイの村田紀敏社長、長年鈴木会長の側近として仕えてきた顧問の後藤光男氏と佐藤信武氏も同席した。
ここで明かされたのが、セブン―イレブン・ジャパンの井阪隆一社長とだけでなく、イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊名誉会長との確執だ。顧問の2人も一方的な批判を展開するという前代未聞の記者会見となった。
ヨーカ堂を創業した伊藤名誉会長は鈴木会長を自身の後継者としてグループのトップに据えた。鈴木会長は「全面的な信任を得てこれまでは経営を指揮してきた」としており、日本を代表する流通グループに育て上げた鈴木会長のこれまでの手腕を伊藤家も支持してきた。
今回、伊藤家が示したのは、井阪社長交代案への反対だった。会見で鈴木会長は「今までは伊藤家と良好な関係にあった。でも今回は違った」と語り、「もはや信任されていない」と語った。
決してクーデターが起きたわけではなく、社内の大半の社員が留任を望んだにもかかわらず鈴木会長は退任を決めた。「これまで私が提案したことを拒否されたことはない。しかし世代が変わった」。鈴木会長はそう語り会社を去るが、自身の穴を埋められるような後継者がグループにいるかは未知数だ。誰もが得をしない中興の祖の退任劇となった。
<後略>
さらなる詳報は以下。
セブン会長、引退会見で見せたお家騒動の恥部:日経ビジネスオンライン
遊爺がひっかかる鈴木氏の言葉は、「世代が変わった」、「獅子身中の虫」「資本と経営の分離」です。この中で、「資本と経営の分離」については、これまでの創業家と鈴木氏の良好な関係を説明されるのに使われた言葉と理解しますが、遊爺がひっかかったのは、「物言う株主」の「サードポイント」です。
セブン&アイHD 米サードポイントが「ヨーカ堂切り」を要求 - ライブドアニュース
「物言う株主」がセブンに突きつけた要求の本当の思惑|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
サードポイントの手法は、情報を流して株価を変動させ、差益をせしめると言うものだそうです。
今回は、不振の総合スーパー「イトーヨーカ堂」の分離を含めた事業の見直しを求め、改革による配当の倍増を要求し、投資家に株価上昇の期待をもたせて株価を上げようとしたのですね。鈴木氏の息子の後継についても物言いをつけています。
「イトーヨーカ堂」の創業家とすれば、鈴木氏と一致団結してしてサードポイントと対抗するのかとおもいきや、鈴木氏を追い落しています。よくわからないところです。続報を待つしかない。
取り締まり役会の人事案が否決されたとは言え、賛成票が反対票を上回っています。白票があり過半数に満たなかったための否決ですから、井阪隆一社長の留任が上回っているわけではありません。
鈴木氏が去った後、混迷が続くと考えられますね。
物言う海外ファンドの株価操作での利益稼ぎの標的にされた日本の流通業の代表的企業が混迷する。米国での見聞からの改革で今日の地位を気づいたのに、米国のファンドに屋台骨を揺さぶられてしまっている今。功績の大きい鈴木氏が、後継者の悪口を綿々と述べる会見をして去る悲しい状況。
製造業が新興国に追い越される状況がつづいていますが、サービス業でも老化・衰退が始まろうとしているのでしょうか。
# 冒頭の画像は、会見に並んだ、セブン&アイの鈴木会長、村田社長、佐藤顧問、後藤顧問
クコの実
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