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遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日比首脳会談 ドゥテルテ氏は日米と中国をてんびんにかけていて、日米比の連携強化は見通せない

2017-01-13 23:58:58 | EEZ 全般
 南シナ海での力による覇権拡大を進める中国に対し、ASEANの有志国は、法的拘束力を持つ行動規範(COC)の制定に長年取り組んできています。中国は、対応姿勢のそぶりはするものの、ASEAN諸国の団結を札束外交で切り崩して、無効化を進めていました。
 シビレを切らした、フィリピンのアキノ前大統領が、仲裁裁判所に提訴し、中国の独断で根拠とする「九段線」の無効裁定が下され、その根拠が否定されたことは、諸兄がご承知の通りです。
 ところが、ドゥテルテ新大統領は、この裁定を無視する中国に応じ、棚上げし、経済支援を得る道を選択し、米・オバマ政権との対立姿勢を打ち出していました。
 そのままなら、中国の覇権拡大策に飲み込まれ、属国化してしまいますが、日本との関係を確保することで、中国を牽制し、中国と、日米との二股外交戦略を展開する道を進んでいます。
 そこで、安倍首相は、日米比の連携強化をめざして、多額のおみやげを持参し、訪比しました。が...。
 

首脳会談 対中国 比と温度差 (1/13 読売朝刊)

 【マニラ=比嘉清太、向井ゆう子】安倍首相は12日、フィリピンのドゥテルテ大統領とマニラで会談し、今年の首脳外交を始動させた。中国の強引な海洋進出を念頭に、南シナ海問題でカギを握るフィリピンを安全保障・経済両面で後押しする考えを強調したが、ドゥテルテ氏は日米と中国をてんびんにかけており、首相が目指す日米比の連携強化は見通せていない


ドゥテルテ氏 日米と「ニ股」
 「私は今年最初の外国訪問先としてフィリピンを選んだ。ドゥテルテ大統領、フィリピンとの関係を重視していることの表れだ」
 首相は首脳会談後の共同一記者発表で、ドゥテルテ氏にラブコールを送ると、5年間で1兆円の経済協力や、違法薬物対策・海洋安保に対する支援などを次々と表明した。
 首相は昨年10月にも、来日したドゥテルテ氏と会談した。
3か月足らずでの再会談実現の背景には、日比関係の強化により、南シナ海での中国進出に歯止めをかけたい首相の思惑がある
。12日夜には、外国首脳として初めてドゥテルテ氏の地元ダバオに入り、「可能な限りの厚意」(外交筋)を示す。
 アキノ前政権は中国と激しく対立し、日米との連携を前面に打ち出したが、
ドゥテルテ氏は中国との関係改善に動いた上、人権問題で苦言を呈するオバマ米大統領をののしり、日米比の連携強化は因難な状態に陥った。ただ、ドゥテルテ氏はトランプ次期米大統領には好意的な発言
をしており、首相はトランプ政権発足を機に、日本が主導する形で日米比の協力関係を仕切り直したい意向だ。もっとも、トランプ氏のアジア政策は定まっておらず、中国がつけ込んでくる可能性もある。
 
ドゥテルテ氏も日本との関係強化を重視している。ただ、主眼は日本からの投資の呼び込みにあり、首脳会談で支援を引き出したドゥテルテ氏は、「どの点から見ても、今回の訪問は歴史的だ」と共同記者発表で胸を張った

 
ドゥテルテ外交の真骨頂は「したたかさ」だ。南シナ海問題では、中国の主権主張を否定した昨年7月の仲裁裁判所の判決について「棚上げ」する姿勢を強調し、中国から巨額の経済支援を引き出した。当面は中国との関係を維持しつつ、日本とのパイプを強化し、トランプ氏の出方をうかがう構えとみられる。

南シナ海安保で連携 日比首脳一致 l兆円経済協力も (1/13 読売朝刊 1面)

 【マニラ=比嘉清太】安倍首相は12日、フィリピンのドゥテルテ大統領と、マニラのマラカニアン宮殿で約40分間会談した。両首脳はフィリピンが中国と領有権を争う南シナ海問題で「法の支配」の重要性を確認し、日比両国が海洋安全保障分野で連携を強化する考えで一致した。また安倍首相はフィリピンに今後5年間で官民合わせて1兆円規模の経済協力
を行うことを表明した。
 安倍首相のフィリピン訪問は2015年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席以来で、昨年6月のドゥテルテ大統領就任後は初めて。両首脳の会談は3回目で、昨年10月のドゥテルテ氏来日以来。
 南シナ海問題をめぐり、両政府は会談後、同海域で
中国公船と対峙する、フィリピン沿岸警備隊の人材育成支援や情報共有強化を盛り込んだ覚書を交換したほか、日本からフィリピンへの高速艇供与
で正式合意した。
 ドゥテルテ氏は共同記者発表で、「私どもは引き続き、この地域の領海の安全を確保するために、法の統治を目指し、努力を進めていく」と強調した。安倍首相は「南シナ海問題は、地域の平和と安定に直結する国際社会全体の関心事項だ。ドゥテルテ氏が比中関係の改善に尽力していることを歓迎する」と述べた。
 1兆円の経済協力は、フイリピンの地下鉄など公共インフラ整備に対し、政府開発援助(ODA)と民間投資を合わせて実施するもので、両政府が「経済協力インフラ合同委員会」を創設して推進する。会談後の共同記者発表で、首相は委員会の意義を「官民をあげて国造りを力強く支えていく」と強調した。
 ドゥテルテ氏が最重視する薬物問題対策については、首相が会談で、治療更生施設の整備や人材育成を支援する意向を伝えた。ドゥテルテ氏は共同記者発表で謝意を表明した。
 首相は12日夜、政府専用機でマニラからドゥテルテ氏の地元、南部のダバオ市に入る。13日午後にはダバオを出発、同日夜にオーストラリア・シドニー入りする。


 対中輸出を止められる犠牲を払いながらも、せっかく勝利を得た仲裁裁判所の裁定を、中国の求めに応じて棚上げしたドゥテルテ氏。フィリピンのエリート層は中国系が占め、ドゥテルテ大統領も中国系血筋であることに依るのか、経済制裁を転じて経済支援を獲得するその差の札束獲得の利益追求なのか、国家の主権を切り売りしています。

 中国と米国との二股外交は、アジアの小国では、自国の独立と経済成長には避けられない環境にありますが、ベトナムの様に政経分離で戦いながらもしたたかに両立させる国がありますが、韓国の「均衡論」を唱える盧武鉉大統領、今回の告げ口外交の朴槿恵の様に、コウモリ外交で失敗する例もあります。

 オバマ政権には反抗したドゥテルテ氏。トランプ大統領の登場で、親波を発進している様子。
 アジアの自由主義陣営の雄国として、諸国から期待される日本。軍事力を外交手段に使用しない為、抑止力に欠けるのですが、いかに諸国の期待に応えられるのか。中国の力(軍事力と札束)による現状変更に呑み込まれる国々の助けになれるのか、安倍・地球儀外交への期待が膨らみます。
 軍事力もなく、財政大幅赤字を抱える日本。日本単独の力で中国を抑止することは出来ません。日米同盟はもとより、豪州、インドといった雄国を交えた、有志連合国の絆を強化し、アジアの平和と発展を推進して行くことが望まれます。
 今回の訪比では、お土産を持参しただけで、日米比の連携強化にはつながらなかった様ですが、ドゥテルテ大統領にとっては、対中牽制の力にはなっています。
 千里の道も一歩から。比に続く歴訪での絆の強化。その後に続く安倍外交で、一歩ずつ、アジアの平和体制が、諸国の期待に応えて、構築されることを願います。



 # 冒頭の画像は、フィリピンでの歓迎晩餐会に臨む両国首脳




  ザクロの花




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