遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

習近平の中国は、一党独裁から、習近平個人の独裁国へ向かおうとしている

2017-10-21 23:58:58 | 中国 全般
 中国共産党第19回全国代表大会(十九代)が18日に開催されました。冒頭の3時間半に及ぶ習近平の演説の評価が盛んですね。
 遊爺も触れさせていただいていましたが、ここへきて注目されるのが、習近平の個人崇拝の強化の動向です。
 毛沢東の独裁の弊害を反省し再発を防止するために、鄧小平が仕組んだ集団指導体制。共産党の一党独裁国家ではありますが、集団指導ということで、個人の独裁政治の弊害発生を防ぎました。
 しかし、今大会で習近平が示したのは、習近平への権力集中と、洗脳教育での習近平個人の独裁政治体制づくりです。そしてそれは実行に移され始めているのです。
 産経、読売がその危険な動きを取り上げています。
 

【中国共産党大会】世界を悪夢に陥れる「習近平思想」 歴史の暴君と肩並べるのか - 産経ニュース

 人民日報など中国の官製メディアが、習近平国家主席が18日の中国共産党大会の開幕式で打ち出した「新時代の中国の特色ある社会主義思想」の宣伝に力を入れている。同党中央宣伝部幹部が20日に北京で行った記者会見で「社会主義の核心的価値観として家庭や子供まで徹底させる」と表明した。党関係者の間では同思想は「習近平思想」とも表現され、24日に採択される共産党の新しい規約に盛り込まれる見通しだ。
 しかし、共産党当局が配布する「習思想」の宣伝資料を精査すると、
1980年代初頭に鄧小平が唱えた「中国の特色ある社会主義」の理論に「中華民族の偉大なる復興」といった勇ましいスローガンを加えただけで、習氏のオリジナルはほとんどなく、とても思想と呼べる代物ではない。

 今回の党大会で「習思想」を党規約に入れる動きは、習氏の権威を高め党内の権力闘争を有利に進めたい習派の思惑と、すでに名を冠した思想が規約入りした建国の父、
毛沢東と肩を並べたい習氏の個人的願望が発端とする声もある。

 平和や繁栄、国民の福祉の向上を追求することを使命とする政治家は、そもそも哲学者や思想家である必要はない。
 
指導者の名を冠した思想が宣伝されるのは、全体主義国家でしか例をみない。自ら「偉大な思想家」を標榜した例として、ソ連のスターリンや北朝鮮の金日成、中国の毛沢東などがいるが、全員が暴君
であることを歴史が証明している。
 政治権力を行使して
自らの思想を喧伝し、国民を洗脳するのは、国民を“奴隷”として支配することが目的
である。毛沢東時代は、中国の刑務所の中に数多くの思想犯が収監された。当局の洗脳を拒否したことが彼らの罪だった。

 
鄧小平の改革開放政策で、中国はやっと個人崇拝の悪夢から解放された。ここ30年、中国が国際社会に受け入れられ、高度経済成長を成し遂げられたのは、共産党が個人崇拝をやめ、集団指導体制である程度バランスの取れた政治を行ってきたことが大きな理由
だ。

 
「習思想」を党規約に入れる動きは、大きな時代錯誤に他ならない。習氏による独裁体制が完成するようなことになれば、国内への締め付けと対外拡張が強まるのは必至だ。中国人が不幸になるだけではなく、世界も悪夢にさいなまされかねない。(外信部次長 矢板明夫)

 「習思想」がプアーなもので、鄧小平が唱えた「中国の特色ある社会主義」の理論に「中華民族の偉大なる復興」といった勇ましいスローガンを加えただけで、習氏のオリジナルはほとんどなく、とても思想と呼べる代物ではないとの産経の評価は、他でも見かけますね。習近平の、毛沢東と肩を並べたい個人的願望が発端との説は納得できます。
 指導者の名を冠した思想が宣伝されるのは、全体主義国家でしか例をみない。ソ連のスターリンや北朝鮮の金日成、中国の毛沢東などがいるが、全員が暴君であることを歴史が証明していると。習近平はその仲間に入りたいのですね。
 そして、自らの思想を喧伝し、国民を洗脳して、国民を“奴隷”として支配し、自身は独裁者の座に君臨し続けたい。
 産経・矢板外信部次長は、「習思想」を党規約に入れる動きは、大きな時代錯誤で、習氏による独裁体制が完成するようなことになれば、中国人が不幸になるだけではなく、世界も悪夢にさいなまされかねないと警鐘をならしておられます。
読売の記事では、「事実上の洗脳工作」と指摘し、批判が広がる事への予防策である言論統制が一段と強められると指摘しています。
 

2017 共産党大会 「習思想」国民に徹底 (10/21 読売朝刊)

 【北京=中川孝之、東慶一郎】中国で思想・文化などの宣伝を担う共産党中央宣伝部など4部門が20日、第19回党大会が開催中の北京で記者会見し、習近平総書記(国家主席)が打ち出した「新時代の中国の特色ある社会主義思想」の徹底へ、国民教育を強化していく方針を示した。中国国内では、習氏の「1強体制」批判などに対する言論統制が一段と強まる
とみられている。

あふれる礼賛 強まる統制
 習氏は大会初日の政治報告で提起した「思想」について、「人々の行動・習慣となるようにし、家庭まで、子供まで徹底させる」とし
、愛国・集団・社会主義関連の教育を強める方針を打ち出した。「事実上の洗脳工作」
(党関係者)との見方も出ている。
 中央宣伝部とともに思想宣伝を行う党中央精神文明建設指導委員会の夏偉東・弁公室副主任は記者会見で、政権1期目の5年で、習氏に関する書籍の出版は64冊に上り、演説集の発行は7000万部を超えたことを紹介。習氏が掲げる目標の実現へ「
全国民の理想と信念、価値観を団結させる必要がある
」と強調した。
 
党大会は、習氏礼賛の声であふれている。習氏の側近である察奇(ツアイチー)北京市党委員会書記は18日、市代表団の分科会で、習氏を「英明な領袖、新時代の改革開放と近代化の総設計師、当代の核心」と呼んだ。建国の父・毛沢東、改革・開放政策を進めた鄧小平氏に向けられたかつての称賛を意識
したとみられる。
 李希・遼寧省党委書記も、習氏の青年時代に焦点を当てた書籍を「全省で熱心に学んだ」とし、「我々の核心(習氏)の人格の魅力、思想の大きな魅力に感銘を受けた」と持ち上げた。
 だが、
個人崇拝も思わせる思想教育の効果が及ぶのは、13億人の国民のうち「党員を中心にせいぜい2億~3億人」(メディア関係者)とみられている。このため、習氏は報告でインターネットの統制を更に強化する方針を打ち出し、「旗幟鮮明に各種の誤った観点に反対する」として、体制批判などへの言論統制も強化
する考えを示した。
 民主化を要求したことで投獄され、今年7月に死去したノーベル平和賞受賞者の
劉暁波氏の妻、劉霞さんは党大会直前、当局者により自宅のある北京から強制的に連れ出されたとされる。中国当局から事実上の軟禁状態に置かれている著名人権活動家の胡佳氏は「習政権は市民を管理する独裁主義の方向に向かっている」と批判した。

 米・トランプ政権は、米国と並ぶ強国路線を打ち出した中国・習近平政権への対抗姿勢を鮮明にしているのだそうですね。
 

米、中国強国路線に対抗 日印と連携強化 (10/21 読売朝刊)

 【ワシントン=大木聖馬、海谷道隆】米国のトランプ政権が、米国と並ぶ強国路線を打ち出した中国・習近平政権への対抗姿勢を鮮明にしている。中国が中長期的に「最大の脅威」
になりかねないとの強い危機感を抱えているからだ。
 
ティラーソン米国務長官は19日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、中国が南シナ海での領有権を主張していることについて「行き過ぎだ」と批判。対中貿易赤字の問題も含め、中国に改善を強いる経済的な手段がある
との考えも示した。
 習氏は18日の共産党大会開幕日に行った政治報告で、「世界のトップレベルの国家になる」ことを表明し、世界一流の軍隊の構築を目指す方針も示した。
 
トランプ政権は、原則として中国との「建設的な関係」の構築を目指す一方、中国の急速な勢力拡大には強い懸念
を持っている。米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長は9月、中国が2025年ごろまでに米国の「最大の脅威になる」との認識を示している。
 
トランプ政権が対抗策として打ち出すのが、価値観を共有する同盟国との連携強化だ。ティラーソン氏は習氏の政治報告直後、18日の講演で早速、南シナ海問題について「法に基づく秩序に挑戦する中国にひるむことはない」と強調。民主主義の価値観を共有する日本、インドとの連携を強めて「インド太平洋」地域の安定を進めるため、日米印3か国海軍による共同訓練「マラバール」を強化
する方針を示した。
 ティラーソン氏は同じ講演で、習氏が中国建国100年の49年を念頭に、21世紀半ばまでの「社会主義の近代化強国」構築方針を示したのを意識して、インドについて「50年までに(中国を抜いて)世界第2の経済大国になるかもしれない」と持ち上げてみせた。
 
トランプ氏は11月のアジア歴訪中にベトナムで演説し、新たな「インド太平洋」戦略を打ち出す
ことにしている。ティラーソン氏やマティス国防長官も来週、それぞれアジアを訪問し、関係国と戦略的関係の強化を進め、中国への包囲網を固める方針だ。

習氏個人崇拝 動き強化 北京 市が旗振り市民合唱

 【北京=安川純】5年に1度の中国共産党大会が開かれている北京で、
習近平総書記(国家主席)をあがめる個人崇拝の動きが強まっている

 「習おじさん習おじさん、全人民が支持してる、世界中が敬愛してる」━━。市中心部の公園では、習氏をたたえる歌詞が印刷された大きな布が掲げられ、市民らが大合唱していた。市の宣伝部門の音頭で、党大会開幕前日の17日から計12曲の「習賛歌」の練習を始めたという。参加した女性(65)は「習主席は偉大です。毛(沢東)主席と変わらない」と真顔で話した。


 軍事強国化を進める習近平・中国が中長期的に「最大の脅威」になりかねないと、強い危機感を抱き、ティラーソン米国務長官は、南シナ海での領有権主張は「行き過ぎだ」と批判、中国に改善を強いる経済的な手段があるとの考えも示したのだそうです。
 トランプ大統領は、対抗策として、日本やインドとの連携強化を表明し、来月のアジア歴訪時に、新たな「インド太平洋」戦略を打ち出すのだそうです。日米印3か国海軍による共同訓練「マラバール」を強化することも表明しています。

 鄧小平が毛沢東の独裁政治による破綻の反省から仕組んだ、政治の集団指導体制と、改革開放経済という中国独自の社会主義体制。これを、習近平個人の野望(共産党独裁維持への執念と善意(?)の解釈をするむきもありますが。)で、時代錯誤の復古の行動をしようとしています。

 崩壊したソ連の様にならない為の共産党擁護というたてまえで、習近平個人の独裁化を進める論旨は、汚職追放の御旗のもとに政敵を駆逐した組立と同じですね。今回の大会は乗り切ったとしても、驕る平家は久しからず。習近平挫折は近いのかもしれません。



 # 冒頭の画像は、習近平の長時間演説であくびをする江沢民
  習近平氏の長~い演説、3時間半に及ぶ。 出席者はあくびにトイレ




  この花の名前は、ミスミソウ


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia







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