ついついネットで買い物をする機会が増えていますが、2015年の国内の電子商取引(EC)市場は前年比7.6%増の13兆8千億円。5年前の2倍に成長し、全小売市場の約5%を占めるまでに成長しているのだそうですね。
そのなかで、インターネット通販の王者だった楽天市場が、アマゾンに主役を奪われつつあるのだそうで、日経MJの消費者調査では、アマゾンと比べた項目別の支持率で「3勝7敗」と惨敗したのだそうです。
どちらが好きかでは、約6割がアマゾンに軍配をあげ、楽天が10項目中で勝たのは、「品揃え」、「ポイントのお得さ」、「ネット通販以外の得点」の3項目だけ。「商品の探しやすさ」「配送の便利さ」「価格表示の分かりやすさ」などネット通販の本質的な要素でアマゾンが圧倒しているのです。
なぜ、これほど楽天から支持が離れているのか。ある楽天OBは「アマゾンと同じ土俵に立ってしまったから」と指摘するのだそうです。地方の中小メーカーや店舗がこだわり商品を販売する形で始まったネット上の商店街の楽天に対し、購入するものが決まっている消費者に、簡単に商品を見つけてもらい低価格で提供するのが強みのアマゾン。楽天は多角化の一環でこの領域にも踏み込んだことで、こだわり商品や日用品などが混在し、サイトの見づらさや統一感のなさといった課題が生まれたと指摘しています。
三木谷社長は、人工知能(AI)を使った検索技術などを使ってサイトの質を高めると豪語するが、国内を席巻し始めているアマゾンに対抗できると納得できる戦略は今は見えないとも。
遊爺は、利益に基づく納税を米国に納めているアマゾン(話題になった後の現状で変更された情報には接していません)は極力避けて、業者さんの自社サイトがあればそれを優先(中間マージンの搾取回避)したり、最近台頭しているヨドバシなど、国内通販業者を選択していますが、国内業者のアマゾンに負けない台頭を期待しています。
巨大に成長したネット通販モールは、その業態ゆえの難題に直面しているとのことですが、ネット通販が普及するにつれ、形態も情報技術も、ロジスティクを含んだ総合力の進化が進んでいて、まだまだ変革されていく様相ですね。
便利に、ニーズにあった商品やサービスが、安くて速く入手できる、より新たな世界がどのように出現するのか、楽しみです。
ただ、その時に、納品業者や、運送業者にそのしわ寄せが負わされることがなく、アマゾンが当初は赤字に耐えて物流に先行投資をして納期の改善を謀ったとされる様に、技術や新たな発想で進められることを願います。
この花の名前は、カシワバアジサイ
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そのなかで、インターネット通販の王者だった楽天市場が、アマゾンに主役を奪われつつあるのだそうで、日経MJの消費者調査では、アマゾンと比べた項目別の支持率で「3勝7敗」と惨敗したのだそうです。
もがく楽天、じわり客離れ 「支持率」アマゾンに軍配 :日本経済新聞
楽天がもがいている。19年前、三木谷浩史社長が6人で立ち上げた「楽天市場」は1億人以上の会員を抱えるまでになった。しかし一時は年2割だった成長率が数%にまで失速。日経MJの消費者調査では、アマゾンと比べた項目別の支持率で「3勝7敗」と惨敗した。国内インターネット通販の巨人に今、何が起こっているのか。 (花井悠希)
■「見やすさ」「配送」で劣勢鮮明
楽天の2015年12月期の「国内EC流通総額」は前期比10%増の2兆7千億円。16年1~3月期は前年同期比12.5%増だった。一見、順調だがこれは「楽天トラベル」など複数の事業を合算した数字だ。同社は昨年から「楽天市場以外のEC(電子商取引)が増えミスリードになりかねない」と楽天市場の単独業績を開示しなくなった。関係者によると、単独では横ばいに近い数%の低成長にとどまるようだ。
国内のネット市場で一人勝ちだった楽天を脅かしているのは、世界市場を席巻する米アマゾン・ドット・コムだ。楽天が足踏みするなか、15年度の日本市場の売上高は前年比2割増の約1兆円に成長。約4万4000の出店者の売上高を合算した楽天の「流通総額」とはまだ差があるが、調査会社のニールセンによると5月の利用者数は既に楽天を逆転している。
消費者は両者をどう見ているのか。日経MJは、楽天とアマゾンのどちらが優れているか比較する調査を実施した。サービスとして「どちらが好きか」を聞いたところ、約6割がアマゾンを支持。計10項目で楽天は3勝7敗と引き離された。
とりわけ「商品の探しやすさ」「配送の便利さ」「価格表示の分かりやすさ」などネット通販の本質的な要素でアマゾンが圧倒している。
「商品の探しやすさ」についてアマゾンは「検索機能が優れている。すっきりしたレイアウトで見やすい」(男性、31)と、検索の早さやサイトのシンプルなデザインに評価が集まった。楽天については「同じ商品がズラズラ並びすぎる」(男性、44)、「宣伝が先に出て商品が探しにくい」(男性、67)と指摘する声が多かった。
楽天は企業が出店料を支払い自社サイトを設ける仮想モール型。一方、アマゾンは企業から商品を買い取り販売する形式が主流だ。
楽天はサイトのデザインなどを企業が自由に構築できることを優先し、楽天市場全体としての統一感を出しづらい。広告が多いという印象が多いのも「広告を出した店舗には検索時の表示順位を上げるといった営業攻勢が原因」(出店企業幹部)との指摘もある。
配送では「全国どこからでも統一の送料」(女性、29)とアマゾンを支持する回答が多い。アマゾンは物流センターを自社で抱え、施設内で効率的に商品を仕分けするシステムの導入を進めている。年間3900円の有料会員「アマゾン・プライム」に加入すれば送料無料で「お急ぎ便」が使い放題になり、この仕組みの評価も高かった。
楽天も自社物流の構築を目指し事業会社も設立したが、採算性の悪化などから14年に事実上撤退した。ある楽天OBは「アマゾンは物流を先行投資と考え赤字もいとわないが、楽天は大型投資があった年でも増益を求められた」と説明する。
強みである「品ぞろえ」については楽天が上回ったものの、差はわずか。「楽天の方が品はそろっているが一度の買い物ではアマゾンの方がよい」(男性、26)。「楽天は在庫切れのものも表示される」(男性、51)。存在感を増しているアマゾンや出店料を無料にした「ヤフー! ショッピング」に同時出品する企業が増えているのも逆風だ。
「どこが支持されていないのか部門をあげて研究している」(楽天幹部)。ネット通販は今でも三木谷社長がトップとして陣頭指揮に立ち、毎朝、前日の売れ行きを幹部が報告するほどだ。
なぜ、これほど楽天から支持が離れているのか。ある楽天OBは「アマゾンと同じ土俵に立ってしまったから」と指摘する。楽天は食品やファッションなど地方の中小メーカーや店舗がこだわり商品を販売する形で始まった。コメ農家や地方の銘菓など「品質は高くても地方で埋もれている店舗を掘り起こしたかった」(三木谷社長)。
店舗の思いや匠(たくみ)の技などを丁寧に解説。必ずしも購入するものが決まっているわけではなく、サイトをじっくり読み込んで、消費者に自分に合うこだわり商品を探してもらう。
一方でアマゾンは飲料水や書籍、日用品など購入するものが決まっている消費者に、簡単に商品を見つけてもらい低価格で提供するのが強み。
楽天は多角化の一環でこの領域にも踏み込んだ。その結果、こだわり商品や日用品などが混在し、サイトの見づらさや統一感のなさといった課題が生まれた。
■ポイント拡充策、過当競争に懸念
アマゾンに流出する消費者をつなぎとめるための打開策が、お得感を打ち出すポイントのばらまきだ。楽天は今年1月、期間限定セールなどで集中的にポイントを加算するキャンペーンを始めた。楽天カードの利用で通常より4倍、楽天市場のスマホアプリ経由なら5倍など、グループのサービスを複数使えばポイントが最大7倍になる。
ポイントの先行投資で1~3月期は減益。それでも「ポイント施策などの販促を強化する」(河野奈保・上級執行役員)戦略を変えない。こうしたポイントを旅行やゴルフといった楽天グループの別のサービスでも使ってもらい全体の利益を押し上げる狙いだ。
今回のアンケート調査で「ポイントのお得さ」では89.8%の支持を集めアマゾンを圧倒した。まさに楽天の生命線だが、ポイントのばらまきは楽天を猛追するヤフーも積極化しており、過当競争になる懸念もある。
変革は楽天が切り開いた検索型のスタイルからの転換にも及んでいる。楽天市場のトップページに掲げられたサイト「欲しいに出会える ROOM(ルーム)」。気に入った商品を利用者が投稿し、それを見た別の消費者が買うと、購入額の5%相当のポイントを付与する仕組みだ。
自分に感性が近い投稿者を見つければ、キーワード検索よりも好みに合う商品に出会いやすいことを売りにする。三木谷社長も個人ページを開設している。楽天市場の山下純一マネージャーは「商品数が多いために欲しいものが見つけにくいという声もあった」と、検索に偏重した商品訴求の脱却を目指している。
三木谷社長は「イノベーション企業になって感動あふれるECをつくっていきたい」と強調する。人工知能(AI)を使った検索技術などを使ってサイトの質を高めると豪語するが、国内を席巻し始めているアマゾンに対抗できると納得できる戦略は今は見えない。
■専門店ECにも海外勢の足音 「勝ち組」にも進化迫る
インターネット通販は消費を大きく変えた。経済産業省によると、2015年の国内の電子商取引(EC)市場は前年比7.6%増の13兆8千億円。5年前の2倍に成長し、全小売市場の約5%を占めている。
その王者だった楽天市場が、アマゾンに主役を奪われつつある。ネットの世界では強者があっという間に世界標準になる。米フェイスブックや米エアビーアンドビーがそうだ。消費者のこだわりが強い日本では、百貨店やスーパーといった「消費の本丸」では外資を退け続けてきたが、もはや安住はできない。
国内勢では百貨店型の楽天の後に、分野ごとに主役を張る専門通販が台頭してきた。例えばファッションでは「ゾゾタウン」。個人同士が中古品を売買するフリーマーケット型のサービスでも「メルカリ」などが急成長している。
ただ、専門分野でも世界的な強者は存在する。ファッションでは独「ザランド」が欧州を席巻。実店舗に比べ国をまたぐ参入障壁は低く、ローカル企業のアドバンテージは小さい。
アスクルは日用品を扱う「ロハコ」で大手メーカーとパッケージ開発に着手。売り場で目立つためではなく、居間や職場になじむデザインを生んだ。岩田彰一郎社長は「我々が蓄積した購買ビッグデータを活用し、メーカーが商品開発する。新たな産業革命だ」と強調する。
海外勢にも負けない強さを磨かなければ「内弁慶」ですらいられない。楽天の苦境は、後に続く国内勢にも進化を迫っている。
■楽天市場、「男性」「60歳代以上」で苦戦 「品ぞろえ」は女性65%支持
日経MJの支持率調査で、アマゾンの後じんを拝した楽天市場。回答者の属性別に分析してみると、「男性」と「60歳代以上」で支持率が35%前後にとどまり、特に苦戦していることが分かった。シニアはアマゾンの統一感があり安定したサービスに「安心感」を感じている。4万4000店を束ね「雑多感」が魅力の楽天にとってはジレンマだ。
楽天市場とアマゾン「どちらが好きか」と尋ねたところ、全体では楽天が42.5%、アマゾンが57.5%だった。
性別で見るとどうか。女性は楽天49.6%、アマゾン50.4%で拮抗している。消費をリードする女性票での引き分けは、楽天にとって好材料だ。一方、男性は楽天35.7%、アマゾン64.3%と大きく水をあけられた。男性の評価が全体の明暗を分けている。
女性が楽天市場を支持する最大のポイントは「品ぞろえ」だ。この項目の支持率は65.5%に達し、男性(40.9%)とは全く評価が違う。「コスメや子供服などの種類が多い」(女性、40)「ガーデニングや植物が充実」(女性、58)と、ファッションや趣味の商品のバリエーションの多さが響いている。
「品ぞろえ」でアマゾンを支持する男性からは、書籍やCD、DVDなどの充実度を挙げる声が目立つ。指名買いが多い分野だからこそ、探しやすさや配送の早さにも優れたアマゾンに引かれるようだ。
「どちらが好きか」の回答を、年代別でも分析した。全ての年代で楽天はアマゾンに敗れたが、最も若い20代では比較的支持が高く、逆に60代以上は大きく落ち込んだ。
20代の楽天支持率は46.5%と全体より4ポイント高い。理由として圧倒的に多いのは「ポイントがたまりやすいから」だ。年代にかかわらず楽天の支持者の多くが挙げる理由だが、ポイント活用にたけた20代には特に魅力的なのかもしれない。
一方、60代以上では支持率が34.5%まで落ち込む。膨らむシニア市場での劣勢は、楽天にとって悩ましい。
この年代のアマゾンの支持者からは検索のしやすさや配達の早さ、さらに「商品の質について信頼できる」(男性、68)「安心感がある。電話応対がとても丁寧」(男性、64)といった信頼性に関する評価が目立った。
<中略>
三木谷社長は「4万店の集合体である楽天市場の質をあげるためには、1店舗ごとの意識が必要」と強調する。巨大に成長したネット通販モールは、その業態ゆえの難題に直面している。 [日経MJ2016年7月20日付]
楽天がもがいている。19年前、三木谷浩史社長が6人で立ち上げた「楽天市場」は1億人以上の会員を抱えるまでになった。しかし一時は年2割だった成長率が数%にまで失速。日経MJの消費者調査では、アマゾンと比べた項目別の支持率で「3勝7敗」と惨敗した。国内インターネット通販の巨人に今、何が起こっているのか。 (花井悠希)
■「見やすさ」「配送」で劣勢鮮明
楽天の2015年12月期の「国内EC流通総額」は前期比10%増の2兆7千億円。16年1~3月期は前年同期比12.5%増だった。一見、順調だがこれは「楽天トラベル」など複数の事業を合算した数字だ。同社は昨年から「楽天市場以外のEC(電子商取引)が増えミスリードになりかねない」と楽天市場の単独業績を開示しなくなった。関係者によると、単独では横ばいに近い数%の低成長にとどまるようだ。
国内のネット市場で一人勝ちだった楽天を脅かしているのは、世界市場を席巻する米アマゾン・ドット・コムだ。楽天が足踏みするなか、15年度の日本市場の売上高は前年比2割増の約1兆円に成長。約4万4000の出店者の売上高を合算した楽天の「流通総額」とはまだ差があるが、調査会社のニールセンによると5月の利用者数は既に楽天を逆転している。
消費者は両者をどう見ているのか。日経MJは、楽天とアマゾンのどちらが優れているか比較する調査を実施した。サービスとして「どちらが好きか」を聞いたところ、約6割がアマゾンを支持。計10項目で楽天は3勝7敗と引き離された。
とりわけ「商品の探しやすさ」「配送の便利さ」「価格表示の分かりやすさ」などネット通販の本質的な要素でアマゾンが圧倒している。
「商品の探しやすさ」についてアマゾンは「検索機能が優れている。すっきりしたレイアウトで見やすい」(男性、31)と、検索の早さやサイトのシンプルなデザインに評価が集まった。楽天については「同じ商品がズラズラ並びすぎる」(男性、44)、「宣伝が先に出て商品が探しにくい」(男性、67)と指摘する声が多かった。
楽天は企業が出店料を支払い自社サイトを設ける仮想モール型。一方、アマゾンは企業から商品を買い取り販売する形式が主流だ。
楽天はサイトのデザインなどを企業が自由に構築できることを優先し、楽天市場全体としての統一感を出しづらい。広告が多いという印象が多いのも「広告を出した店舗には検索時の表示順位を上げるといった営業攻勢が原因」(出店企業幹部)との指摘もある。
配送では「全国どこからでも統一の送料」(女性、29)とアマゾンを支持する回答が多い。アマゾンは物流センターを自社で抱え、施設内で効率的に商品を仕分けするシステムの導入を進めている。年間3900円の有料会員「アマゾン・プライム」に加入すれば送料無料で「お急ぎ便」が使い放題になり、この仕組みの評価も高かった。
楽天も自社物流の構築を目指し事業会社も設立したが、採算性の悪化などから14年に事実上撤退した。ある楽天OBは「アマゾンは物流を先行投資と考え赤字もいとわないが、楽天は大型投資があった年でも増益を求められた」と説明する。
強みである「品ぞろえ」については楽天が上回ったものの、差はわずか。「楽天の方が品はそろっているが一度の買い物ではアマゾンの方がよい」(男性、26)。「楽天は在庫切れのものも表示される」(男性、51)。存在感を増しているアマゾンや出店料を無料にした「ヤフー! ショッピング」に同時出品する企業が増えているのも逆風だ。
「どこが支持されていないのか部門をあげて研究している」(楽天幹部)。ネット通販は今でも三木谷社長がトップとして陣頭指揮に立ち、毎朝、前日の売れ行きを幹部が報告するほどだ。
なぜ、これほど楽天から支持が離れているのか。ある楽天OBは「アマゾンと同じ土俵に立ってしまったから」と指摘する。楽天は食品やファッションなど地方の中小メーカーや店舗がこだわり商品を販売する形で始まった。コメ農家や地方の銘菓など「品質は高くても地方で埋もれている店舗を掘り起こしたかった」(三木谷社長)。
店舗の思いや匠(たくみ)の技などを丁寧に解説。必ずしも購入するものが決まっているわけではなく、サイトをじっくり読み込んで、消費者に自分に合うこだわり商品を探してもらう。
一方でアマゾンは飲料水や書籍、日用品など購入するものが決まっている消費者に、簡単に商品を見つけてもらい低価格で提供するのが強み。
楽天は多角化の一環でこの領域にも踏み込んだ。その結果、こだわり商品や日用品などが混在し、サイトの見づらさや統一感のなさといった課題が生まれた。
■ポイント拡充策、過当競争に懸念
アマゾンに流出する消費者をつなぎとめるための打開策が、お得感を打ち出すポイントのばらまきだ。楽天は今年1月、期間限定セールなどで集中的にポイントを加算するキャンペーンを始めた。楽天カードの利用で通常より4倍、楽天市場のスマホアプリ経由なら5倍など、グループのサービスを複数使えばポイントが最大7倍になる。
ポイントの先行投資で1~3月期は減益。それでも「ポイント施策などの販促を強化する」(河野奈保・上級執行役員)戦略を変えない。こうしたポイントを旅行やゴルフといった楽天グループの別のサービスでも使ってもらい全体の利益を押し上げる狙いだ。
今回のアンケート調査で「ポイントのお得さ」では89.8%の支持を集めアマゾンを圧倒した。まさに楽天の生命線だが、ポイントのばらまきは楽天を猛追するヤフーも積極化しており、過当競争になる懸念もある。
変革は楽天が切り開いた検索型のスタイルからの転換にも及んでいる。楽天市場のトップページに掲げられたサイト「欲しいに出会える ROOM(ルーム)」。気に入った商品を利用者が投稿し、それを見た別の消費者が買うと、購入額の5%相当のポイントを付与する仕組みだ。
自分に感性が近い投稿者を見つければ、キーワード検索よりも好みに合う商品に出会いやすいことを売りにする。三木谷社長も個人ページを開設している。楽天市場の山下純一マネージャーは「商品数が多いために欲しいものが見つけにくいという声もあった」と、検索に偏重した商品訴求の脱却を目指している。
三木谷社長は「イノベーション企業になって感動あふれるECをつくっていきたい」と強調する。人工知能(AI)を使った検索技術などを使ってサイトの質を高めると豪語するが、国内を席巻し始めているアマゾンに対抗できると納得できる戦略は今は見えない。
■専門店ECにも海外勢の足音 「勝ち組」にも進化迫る
インターネット通販は消費を大きく変えた。経済産業省によると、2015年の国内の電子商取引(EC)市場は前年比7.6%増の13兆8千億円。5年前の2倍に成長し、全小売市場の約5%を占めている。
その王者だった楽天市場が、アマゾンに主役を奪われつつある。ネットの世界では強者があっという間に世界標準になる。米フェイスブックや米エアビーアンドビーがそうだ。消費者のこだわりが強い日本では、百貨店やスーパーといった「消費の本丸」では外資を退け続けてきたが、もはや安住はできない。
国内勢では百貨店型の楽天の後に、分野ごとに主役を張る専門通販が台頭してきた。例えばファッションでは「ゾゾタウン」。個人同士が中古品を売買するフリーマーケット型のサービスでも「メルカリ」などが急成長している。
ただ、専門分野でも世界的な強者は存在する。ファッションでは独「ザランド」が欧州を席巻。実店舗に比べ国をまたぐ参入障壁は低く、ローカル企業のアドバンテージは小さい。
アスクルは日用品を扱う「ロハコ」で大手メーカーとパッケージ開発に着手。売り場で目立つためではなく、居間や職場になじむデザインを生んだ。岩田彰一郎社長は「我々が蓄積した購買ビッグデータを活用し、メーカーが商品開発する。新たな産業革命だ」と強調する。
海外勢にも負けない強さを磨かなければ「内弁慶」ですらいられない。楽天の苦境は、後に続く国内勢にも進化を迫っている。
■楽天市場、「男性」「60歳代以上」で苦戦 「品ぞろえ」は女性65%支持
日経MJの支持率調査で、アマゾンの後じんを拝した楽天市場。回答者の属性別に分析してみると、「男性」と「60歳代以上」で支持率が35%前後にとどまり、特に苦戦していることが分かった。シニアはアマゾンの統一感があり安定したサービスに「安心感」を感じている。4万4000店を束ね「雑多感」が魅力の楽天にとってはジレンマだ。
楽天市場とアマゾン「どちらが好きか」と尋ねたところ、全体では楽天が42.5%、アマゾンが57.5%だった。
性別で見るとどうか。女性は楽天49.6%、アマゾン50.4%で拮抗している。消費をリードする女性票での引き分けは、楽天にとって好材料だ。一方、男性は楽天35.7%、アマゾン64.3%と大きく水をあけられた。男性の評価が全体の明暗を分けている。
女性が楽天市場を支持する最大のポイントは「品ぞろえ」だ。この項目の支持率は65.5%に達し、男性(40.9%)とは全く評価が違う。「コスメや子供服などの種類が多い」(女性、40)「ガーデニングや植物が充実」(女性、58)と、ファッションや趣味の商品のバリエーションの多さが響いている。
「品ぞろえ」でアマゾンを支持する男性からは、書籍やCD、DVDなどの充実度を挙げる声が目立つ。指名買いが多い分野だからこそ、探しやすさや配送の早さにも優れたアマゾンに引かれるようだ。
「どちらが好きか」の回答を、年代別でも分析した。全ての年代で楽天はアマゾンに敗れたが、最も若い20代では比較的支持が高く、逆に60代以上は大きく落ち込んだ。
20代の楽天支持率は46.5%と全体より4ポイント高い。理由として圧倒的に多いのは「ポイントがたまりやすいから」だ。年代にかかわらず楽天の支持者の多くが挙げる理由だが、ポイント活用にたけた20代には特に魅力的なのかもしれない。
一方、60代以上では支持率が34.5%まで落ち込む。膨らむシニア市場での劣勢は、楽天にとって悩ましい。
この年代のアマゾンの支持者からは検索のしやすさや配達の早さ、さらに「商品の質について信頼できる」(男性、68)「安心感がある。電話応対がとても丁寧」(男性、64)といった信頼性に関する評価が目立った。
<中略>
三木谷社長は「4万店の集合体である楽天市場の質をあげるためには、1店舗ごとの意識が必要」と強調する。巨大に成長したネット通販モールは、その業態ゆえの難題に直面している。 [日経MJ2016年7月20日付]
どちらが好きかでは、約6割がアマゾンに軍配をあげ、楽天が10項目中で勝たのは、「品揃え」、「ポイントのお得さ」、「ネット通販以外の得点」の3項目だけ。「商品の探しやすさ」「配送の便利さ」「価格表示の分かりやすさ」などネット通販の本質的な要素でアマゾンが圧倒しているのです。
なぜ、これほど楽天から支持が離れているのか。ある楽天OBは「アマゾンと同じ土俵に立ってしまったから」と指摘するのだそうです。地方の中小メーカーや店舗がこだわり商品を販売する形で始まったネット上の商店街の楽天に対し、購入するものが決まっている消費者に、簡単に商品を見つけてもらい低価格で提供するのが強みのアマゾン。楽天は多角化の一環でこの領域にも踏み込んだことで、こだわり商品や日用品などが混在し、サイトの見づらさや統一感のなさといった課題が生まれたと指摘しています。
三木谷社長は、人工知能(AI)を使った検索技術などを使ってサイトの質を高めると豪語するが、国内を席巻し始めているアマゾンに対抗できると納得できる戦略は今は見えないとも。
遊爺は、利益に基づく納税を米国に納めているアマゾン(話題になった後の現状で変更された情報には接していません)は極力避けて、業者さんの自社サイトがあればそれを優先(中間マージンの搾取回避)したり、最近台頭しているヨドバシなど、国内通販業者を選択していますが、国内業者のアマゾンに負けない台頭を期待しています。
巨大に成長したネット通販モールは、その業態ゆえの難題に直面しているとのことですが、ネット通販が普及するにつれ、形態も情報技術も、ロジスティクを含んだ総合力の進化が進んでいて、まだまだ変革されていく様相ですね。
便利に、ニーズにあった商品やサービスが、安くて速く入手できる、より新たな世界がどのように出現するのか、楽しみです。
ただ、その時に、納品業者や、運送業者にそのしわ寄せが負わされることがなく、アマゾンが当初は赤字に耐えて物流に先行投資をして納期の改善を謀ったとされる様に、技術や新たな発想で進められることを願います。
この花の名前は、カシワバアジサイ
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