処遊楽

人生は泣き笑い。山あり谷あり海もある。愛して憎んで会って別れて我が人生。
力一杯生きよう。
衆生所遊楽。

チェ 28歳の革命、チェ 39歳 別れの手紙

2009-03-01 22:50:32 | 映画

 原題:CHE PART ONE ARGENYINE、 CHE PART TWO GUERRIlLA  

 製作国:アメリカ、フランス、スペイン

        

        

            PART 1 より

 

今年はキューバ革命50周年。ゲバラは、20世紀最大の革命家として、時代を超えていまだに光を発する存在である。キューバの成功とボリビアの失敗。裕福な家庭で高等教育を受けながら、家族を捨てての貧民のための転戦。

’04のウォルター・サレス監督による『モーターサイクル・ダイアリーズ』と対をなす後半生記として観ることも出来る。

 

2部作、総上映時間が4時間25分にもなるドキュメント・タッチの大作。約7年間かけての研究とリサーチ、主役のベニチオ・デル・トロの25キロの減量とスタッフの思い入れは相当なものだ。

 

稀有の革命家の生涯を描き切ったとはいえないが、世紀のカリスマの実像に迫ろうという意欲は伝わってくる。

ソダーバーグ監督はゲバラについて「医師としては温かな人だったが、戦闘の中では厳しい人。公平で感情豊かだが感傷的ではない。一緒にいて楽しい人ではなかったから離れていく仲間もいた。しかし彼にとっては他人との関係性よりも、目的のために戦うことのほうが大切だった」とインタビューで語っている。こうしたリーダーとしての人物像にはそこそこに迫り得たと言えるか。

 

他面、問題は、当時の時代背景やゲバラがキューバ革命にのめり込んだ動機や必然性、革命運動の系譜などについて、説明不足というか観客の理解への配慮が著しく欠けている。

 

 

         

           PART 2 より

 

ベニチオ・デル・トロの好演したゲバラに比べ、カストロ像はお粗末の印象を否めない。ミス・キャストでもある。

キューバの現政権は、この映画に関わっているのだろうか。であれば、果たして納得しているのかどうか。

 

アカデミー賞監督のソダーバーグをもってしても、キューバ革命を、ゲバラを、カストロを描ききることは出来なかった。それほどに歴史の事実は深遠であり、そこに生きた群像は、人物もスケールも大きく、商業映画に収まることは出来なかったということだ。

 

          

     エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ

 

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