原 題:ELEGY
製作国:アメリカ
イサベル・コイシエ監督
自由恋愛主義の初老の大学教授と30歳も離れた彼の教え子との葛藤と愛憎のドラマ。というとカッコイイが、下世話に言うと、気侭で助平なインテリ爺が、遊びのつもりで引っ掛けた女学生に本気で惚れてしまう、その二人の生活、悩み、別れを女性の感覚で描いた作品。
歳が親子ほど違っていても、同年齢のボーイ・フレンドがいても、彼女の愛は教授に一途。なのに教授は生き方も愛もいい加減。こういう描き方を男性監督はしないだろう。それがいい。
イザベル監督は、この映画の最も大きなテーマの一つが男と女の持つ“恐怖”にあると語る。
「それはデヴィッド(ベン)が持っている、年老いることや死に対する恐れ。それから妥協すること、愛すること、そして失うこと…この人物は様々な恐怖に怯えながら生きており、それがまさに彼が抱える問題なんです。逆にコンスエラ(ペネロペ)はデヴィッドからその美しさや知性を常に「完璧」と称賛され続けてきたわけですが、彼女がそれを失ったときどうするか? そのときに彼女が噛みしめる恐怖を描いています」と。
それにしても、ベン・キングズレーの若いこと。27年前の『ガンジー』より若い。彼女の前で一人踊るダンスの身のこなし。彼我の違いに愕然。嗚呼!