原題:SHUTTER ISLAND
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ベン・キングズレイ、マーク・ラファロ
スコセッシとディカプリオのコンビはこれが4作目という。ウマが合うのだろう。導入部のオドロオドロした映像と音楽で、一気にミステリーの世界に運ばれる。
連邦保安官のディカプリオが、行方不明になった女性の精神病患者を探す数日間の模様を描く。何しろ舞台が、世に憚ってノボトミーが行われている精神病院(というより監獄)なだけに、物語の展開に従って、正常人が狂人に、狂人が正常人に観えてくる。
加えて、ディカプリオがかつてダッハウの捕虜収容所の悲惨を目の当たりにしてトラウマを患っていることや、彼の妻の孤独による神経疾患などが明らかにされてくる。
精神科医師ベン・キングズレイの存在感に圧倒される。『エレジー』の気ままな生活を楽しむ老教授と対極をなす権力と信念で他者を寄せ付けぬ専門医師。観ている側に不気味さと恐ろしさが伝わってくる。
それともう一人マックス・フォン・シドー。スウェーデンの名優。
映画の出来は、バイ・プレイヤー如何も要素の一つだ。スクリーンに出て来るだけで、全体が一転締まるから不思議だ。
配給会社は、結末を語らないようにと、これ宣伝に努めているが、それほどの展開が待っているとは思えなかった。ただ一部の映画評やブログが言っているように、リピートしてじっくり細部を観てみたい映画ではある。