著者 守屋 洋
出版 PHP文庫
頁数 409頁
文字通り、1年365日の一日一日に、中国の歴史書からの言々句々をあてがった日めくり書。旧版のまえがき(昭和59年11月)には、本書を編んだ意図として、《多忙なビジネス社会の人々に、中国古典のエッセンスをわかりやすく紹介した》とある。
私の座右の書である。職場の机上左脇の手の届く場所に置き20数年。毎朝開いている。
ちなみに、今日5月10日の頁にはこのように書かれている。
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衆怒は犯し難く、専欲は成り難し
------衆怒難犯、専欲難成 『左伝』
「大勢の人間の怒りには抵抗しがたく、自分一人の欲望を遂げようとしてもむずかしい」という意味。昔、鄭の子孔という宰相が、自分かってな改革案をつくって重臣たちに押しつけ、総スカンを食らった。子孔は反対する者を皆殺しにしようとした。このとき子産という人物がこのことばを引き、「二つの難きを以て国を安んとするは危うきの道なり。専欲は成ることなく、衆を犯さば禍を起こさん」と説得して、改革案を撤回させたという。
子産は後に鄭の宰相に登用されて開明的な政治を行い、名宰相と称されたが、二千数百年も前に、このような認識をもっていたとはさすがである。民主主義の今日、これはもはや常識と言ってよいが、しかし、子孔のような例が依然として跡をたたないのはどうしたことか。為政者たるもの、もって自戒としてほしいところだ。
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