監 督 沖田修一
出 演 山崎努 樹木希林 加瀬亮 青木崇高 三上博史
上映時間 99分
劇的なストーリー展開や善玉悪玉の対決、手に汗握る冒険活劇、最先端の技術を駆使した音と光のスペクタクルといった、いわゆる映画的興趣とは無縁に画家熊谷夫婦の日常が描かれている。
かといって、静謐かと言えばそうではない。客というには品が無さすぎる人たちが、なんだかんだと出入りする賑やかな喧騒の中の生活記である。何しろ、「これ以上客が多くなったら困る」と文化勲章を断るのだから。
見どころは、画家夫婦の会話、間合い、しぐさ、どれをとっても自然体、あるがまま。映画の広告コピーによれば94歳と76歳。先日の朝日新聞の "人生の贈り物" で、樹木は、「私が文学座に入った時、山崎さんは人気絶頂キラキラに輝いていた」と語っていたのではなかったか。で、この夫婦像の出来具合い。大したものです。
見どころもう一つ。モリが左右の両方に杖をついて歩く姿。演技としては、これは大変な苦労があったのではなかろうか。つい力を入れて見入ってしまった。
映画の冒頭、貴人が、暫くジッと絵を見続けて問いを発する。「これは何歳の子が描いた絵なのか」と。どうやら昭和天皇のようだ。果してこれを演じているのは誰でしょう? 件の絵がこれです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます