毎日がしあわせ日和

ほんとうの自分に戻れば戻るほど 毎日がしあわせ日和

ちょこっと力説 「あのね、梅干しってすごいんだよー」

2023年07月01日 19時25分40秒 | 紡ぐ暮らし
二ヶ月以上もほったらかしていたブログなのに、久々に更新したら さっそくお越し下さった皆さま、ほんとうにありがとうございます。

おかげさまでぐんとやる氣が出て、楽しみをひとつ取り戻した氣分です。

で さっそく昨日に引き続き 「紡ぐ暮らし」 カテゴリーのお話なのですが、せっせと梅仕事に励んでいた折も折、ネットで 「梅干しの消費量が減って 製造業者さんが苦境に立たされている」 というニュースを読みました。

若者を中心に、あの強い酸味が嫌い、苦手という人が増えているのだとか。

まあね。。。たしかに食生活も変わってきて、毎朝梅醤番茶を飲むとか、病氣になったらおかゆに梅干しとかいう習慣も薄れつつあるのでしょう。

貴秋だって、そうそう毎日梅干しを使うわけでもないしなぁ。

それでも梅干し作りをやめようと思わないのは、梅干しの強烈なパワーを思い知らされたある体験のおかげなのです。




2011年9月の紀伊半島大水害のとき、夕方5時ごろになって 集落内の道路がひたひたと冠水し始めたのを目にした貴秋は、念のためにご飯を炊いて、塩鮭と梅干しの二種類のお握りを作りました。

そうしたら 夜中近くに水が家すれすれまで上がってきて、急遽タッパーに詰めたお握りと ほか必要な物を持って 土砂降りの中お隣の小学校に避難することになり、さらに翌日 土石流の危険があるからと裏山に移動して、合羽着て傘をさしたまま数時間を過ごすことに。

そして夕方暗くなるのを前に もっと高いところにある中学校に移ることが決まって、この間ずっとお握りの入ったリュックを背負ったまま 雨の中を行ったり来たりしていたわけです。

で やっと警報解除までの落ち着き場所が決まってほっとした翌朝、みんなで食べる朝ご飯の足しにしてもらおうと お握りのタッパーを開けたら、なんと鮭のほうは 全体にうっすらとカビが生えているではありませんか。

湿っぽいリュックに入れたままあちこち持ち回ったのがいけなかったのか、なんともったいない・・・と悔しい思いで梅干しのほうを開けたら、同じ条件なのに こちらにはまったくカビが出ておらず、傷んでもいなかったのです。

なるほど、これが話に聞いていた梅の殺菌効果というものかと感心しきり、こちらは焼きお握りにして無事食べることができました。

以来、大雨台風の備えや蒸し暑い時期のお弁当には 梅干しのお握りが定番となっています。




梅の殺菌力について初めて教えてくれたのは、亡き母の一番下の妹である叔母。

別の姉の子で伊豆に住む甥っこが水泳の授業で海に行く際、カンカン照りの浜辺に長時間置きっぱなしになるお弁当のことを聞いた叔母は、姉に 「ご飯からおかずまで全体に 刷毛で白梅酢 (梅干し作りで 梅を塩で漬け込んで数日後に上がってくる液のこと) をさっと塗っておきなさい」 とアドバイスしたのだそうです。

そのとおりにしたら、他の子どもたちのお弁当はかなり傷んでしまったのに、甥の分はまったく悪くなることなく無事だったのだとか。

この話がずっと記憶に残っていたのですが、自分自身図らずも梅パワーを実証することになって、改めて梅の底力が身に沁みました。

この白梅酢については、女優でエッセイストの故 ・ 沢村貞子さんのご著書 「わたしの台所」 に 「白梅酢を小瓶にいっぱい残しておき、下痢のとき、盃に半分ほどのめば、まさに妙薬である」 という一節があり、これも試してみたら ほんとうにお腹の痛みがピタリと止まってすごい効き目なのです。

自作の梅干しを贈ったスポーツマンの友人からも 「激しい運動の後 これを食べると回復が早い」 と喜ばれたので、沢村さんの情報を添えて 白梅酢入りのをもう一瓶プレゼントしました。

白梅酢は 自分で梅を漬けるところからやらないと手に入らないので、心が動いた方は、今年は間に合わないかもだけれど、来年にでもぜひ。

大きい容器や漬物石がないとか 漬けてみたいけどたくさんはいらないとかいう方は、ジッパー袋と簡単な重しで少量を漬ける方法が 動画やレシピサイトにいくつも出ていますから、そちらをどうぞ。

ご自身でお作りにならない方 ・ 常食はされない方も、非常食としての梅干しは 困難の中で大きな力となってくれますから、少量でも常備しておかれることをお勧めします (梅干し屋の回し者ではありませんが) 。




貴秋の母は、戦争の他 火事や水害にも遭って 三度も住み家をなくした人なので、台風が来るなんていうと、ろうそくや懐中電灯を用意し、風呂桶に水を張り、大皿一杯のお握りを作るのが常でしたから、貴秋も同じようにしています。

正直 紀伊半島大水害のときも、まさかほんとうにあれほどの被害が出るとは思わず、ただ習慣で備えただけでした。

いまでも台風の時など 「どうせたいしたことにはならないだろうけど。。。」 と思いながらも、ご飯を余分に炊いては梅干しを入れてせっせと握っています。

で 実際何事もなく過ぎ去ると、冷たくなったお握りをごま油で焼き、お醤油を刷毛で塗ってこんがり香ばしく焼き上げ、味噌汁や卵焼きなどを添えて お祝いのピクニックご飯にするのがお決まり。

これを毎回やっていると、梅干しのお握り = 被害に遭わずに済む無事の象徴 という刷り込みができてくるんですね (まあ一度だけは遭ってしまったけど、あのときだって命も家財も無事だったし) 。

台風が近づき 次第に激しくなる雨風が不安を誘う台所でお握り作りをしていると、手の中のお握りが いつものように台風一過の安堵の食卓に並ぶ光景がふと目に浮かび、じゃあおかずには何を作ろうかななんて考えていると、不穏な空氣の中でもちょっと楽しい氣分になってくる、その楽しい氣分が イメージ通りの現実を創造する原動力になってくれるのですから、貴秋にとっての梅干しは、食品としても象徴としても 災害時のお守りともいうべき存在なのです。

















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