Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

めぐり逢わせのお弁当

2014-08-26 | 外国映画(ま行)
★★★★ 2013年/インド・フランス 監督/リテーシュ・バトラ
(映画館にて観賞)

歌って踊らないインド映画で実に大人な作品でした。
ダッバーワーラーというお弁当配達のシステムにまず驚愕。
そして、毎日心を込めてイラが作るお弁当のおいしそうなこと!
平凡な主婦と定年間近のサラリーマン。手紙を通じて、少しずつ心が通じ合っていく。
ものすごくもっさりした恋愛映画になりかねないのだけど、
語り口が非常に洗練されていてすばらしかったです。
妻を亡くして以来、他人に心を開かないサージャンの部下としてやってくる孤児の青年。
彼の配置の仕方も非常に巧いなあと思いました。
インド文化の知らない部分も知ることができたし、とても豊かな作品です。

マイレージ、マイライフ

2013-09-30 | 外国映画(ま行)
★★★★☆ 2009年/アメリカ 監督/ジェイソン・ライトマン
(DVDにて鑑賞)

「ひとりぼっちから抜け出すには」

なんてことない話なんだけど、これは好きだなあ。
ジェイソン・ライトマンの作風が私に合うのかも。
冒頭の世界各地を空から撮影した導入部がオシャレで一気に作品に引き込まれた。
リストラ宣告人で各地を飛行機で飛び回る仕事、という設定が象徴的。
人間関係の希薄さとか、企業にとって社員なんてコマなんだとか、
仕事のストレスを癒やせるひとときのランデブーとか。
とても軽妙にさらりと描かれているけど、
刹那的に生きる現代人をいろんな視点から丁寧に描いている。
出張先で知り合った女性(ベラ・ファーミガがいい!)との顛末もそりゃそうだろ、
首をぶんぶんさせて頷いてしまったよ。
ジェイソン・ライトマンが醸し出すビターなムードがとても好みです。

マドモアゼル

2013-09-27 | 外国映画(ま行)
★★★★☆ 1966年/イギリス・フランス 監督/トニー・リチャードソン
(DVDにて鑑賞)

「魔性の女」


パリから片田舎に越してきた美人教師。
村人は彼女を「マドモワゼル」と呼ぶ。
本来、マドモワゼルって、比較的若い女の子に対して言うものじゃないかしら?
なので、以降の展開でも田舎の人たちの屈折した感現が一つの大きな鍵になっている。

放火や洪水など、不吉な出来事が起きる。
それらの元凶はマドモワゼル。しかし、村人はよそ者を犯人と決めつけ、追い詰めてゆく。
マドモワゼルの妖しい美しさと屈折した性格、そして映像的にあちこちで暗喩のごとく出てくる性的渇望。
悪い女と気づく者もいるが、その魔力には抗えない。
ジャンヌ・モローの魅力が炸裂する1本。

マン・オブ・スティール

2013-08-24 | 外国映画(ま行)
★★ 2013年/アメリカ 監督/ザック・スナイダー
(映画館にて鑑賞)

「地球を守るより、破壊するスーパーマン」

試写会にて鑑賞。

とにかく破壊シーンが多すぎてげんなり。
マッハで飛べるんだったら、敵を荒野に誘い出してください。
NYのビルが次から次へと破壊されるのを見るのはもう嫌です。

ケビンコスナーとダイアンレインの育ての親コンビはなかなかいいのですが、
最初の登場シーンから主人公が老けているもんでなんかノレない。
みずみずしさがないというか。
ヘンリー・カヴィルという俳優、あんま魅力感じないなあ。

クリプトン星が破滅して、反乱者が現れてというくだりのシーンなんかは、
もうマイティソーやら、タイタンの戦いやら、
その他遠くの星で戦争が起きる系の作品と似たり寄ったりです。

製作がクリストファー・ノーランってことで、もう少し人間ドラマが描かれるかと思ったんですが、あまりなく。
ハンス・ジマーも好きなんですけど、飽きてきました。
新聞記者になるところで終わるので完全にシリーズ第一作ですが、もう見ないだろうな。

ミザリー

2013-08-23 | 外国映画(ま行)
★★★☆ 1990年/アメリカ 監督/ロブ・ライナー
(WOWOWにて鑑賞)

「ヒッチコックを思わせる」

監督ロブ・ライナーだったんだあ。
彼ってライトタッチのラブコメのイメージが強かったので意外。
迫り来る恐怖の演出には、そこはかとなくヒッチコックを思わせるところがあります。

何と言ってもミザリーを演じるキャシー・ベイツが怖い。
もの凄く機嫌がいいと思ったら、小さなきっかけで凶暴性を発揮する。
これが田舎にひとりで住んでる小太りの中年女だってのが、さらにリアル。
アカデミー受賞も納得。

なんだけどね。
これ、厳寒の地で外界から閉ざされている。
体が不自由で誰とも交信できない。
という閉塞感をもっとうまく演出できなかったかなあ?と思う。

文字通り、身も凍る感じというのかなあ。
そこの表現の甘さがやはりロブ・ライナーだからかなあと少し物足りないのでした。

メランコリア

2013-08-20 | 外国映画(ま行)
★★★☆ 2011年/デンマーク/スウェーデン/フランス/ドイツ 監督/ラース・フォン・トリアー
(DVDにて鑑賞)

「鬱病患者だけが救われる」

ラース・フォン・トリアーはあまり好きではないというか、むしろ嫌いなんだけど、
シャルロットが出ている、というのと鬱病がテーマだというので鑑賞。

(以下、完全にネタバレ)

結婚式の花嫁(キルスティン)が終始精神不安定というのは、いわゆるマリッジブルーなのか、
はたまた彼女だけは地球が滅亡することに気づいていたのか。
いずれにしろ、周囲をイライラさせる花嫁の描写が延々と延々と続く、というね。
まあ、人を不愉快にさせる手腕はいつも通りでここまで極めると天晴れと言うしかないのかなあ(笑)。

災害とかではなく、惑星が地球にぶつかるというトンデモSFな展開が
作品全体のミステリアスなムードを存分に盛り上げている。
こういう幻惑的な映像の連続で最後までもたせるのもある意味凄い。

いよいよ地球滅亡という時になって、
鬱病の人だけが「神様、地球を滅ぼしてくれてありがとう」と感謝するという。
いやあ、どこまでひねくれてるんだ、フォン・トリアー。

燃えよドラゴン

2013-06-26 | 外国映画(ま行)
★★★★ 1973年/アメリカ 監督/ロバート・クローズ
(映画館にて鑑賞)午前10時の映画祭

「鏡の間の名シーン」

恥ずかしながらの初観賞。
午前10時の映画祭でかかる名作映画というのは、とにかくテーマ音楽がいい。
聞き慣れたあの曲を映画館で聴くと格別。
私は特にブルース・リーに深い思い入れがあるわけではないんだけど、
あのあまりにも有名なテーマ曲が冒頭大音量で鳴った途端、とってもワクワクしてしまった。

大勢のエキストラたちの空手の突きが全然なってないとか、突っ込みどころも満載。
でも、やはりブルース・リーの存在感は抜群なんだな。

ラストの鏡の間での格闘シーンが名シーンと言われるのも納得。
全面ガラス張りの壁面にリーの姿がきらきらと映っては消え。
クンフーをただ格闘として見せるのではなく、
ひとつの美しいアートとして観客に楽しんでもらおうという意欲が大いに伝わってくるシークエンスでした。

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

2013-02-26 | 外国映画(ま行)
★★★ 2011年/イギリス 監督/フィリダ・ロイド
(WOWOWにて鑑賞)

「漫然とした映画」

「働きマン」としては非常に食いつきたい素材にも関わらず、
何でこういう調理にしちゃったかなあ、もったいないという印象。
男社会で首相にまでのぼりつめた女性なら、相当の苦労があったんだろうと想像できるのですが、
映画ではその辺りの描写が非常に中途半端です。
主人公と共に男どもを蹴散らしてやろうとやる気満々だったのにな(笑)。
最後までとても退屈でした。

認知症になったマーガレットの意識のように過去と現在を行ったり来たりするわけですが、
その演出が緊張感を生んでいるかというとそういうこともない。
全く絞りどころがないんですよね。
女性の出世話なのか、認知症の悲しさなのか、イギリスの政治映画なのか、
いろんなパーツが漫然と並んでるだけです。

死んでしまった夫が亡霊のように出てくるのは面白いです。
死んだ人にずっと話しかけるのね。
そこには、認知症を患ってしまった女性の悲哀が感じられます。
でも、そこからどう広げるかってことが大事でねえ。脚本が全然ダメですね。

マリーゴールド・ホテルで会いましょう

2013-02-12 | 外国映画(ま行)
★★★★ 2011年/イギリス・アメリカ 監督/ジョン・マッデン
(映画館にて鑑賞)

「やっぱジュディ・デンチ」

いろんな事情を抱えるお年寄りが集まって起きる人間模様。
昨今シニア映画が大盛況なもんで、よくあるパターンと言えばよくあるパターン。
実子との亀裂や老いらくの恋、青春時代の捜し物。
使い回しのネタなんだけど、意外とこれが楽しかった。
やはり主人公がジュディ・デンチというのが大きいのだろうか。
彼女の演技が観客を引き込むというか。

ジュディ以外のビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、マギー・スミスなどさすがの役者陣の演技に
引っ張られて最後まで楽しく鑑賞。
全てを捨ててイギリスからはるばるインドになってきたのに、
何もかも裏切られて落胆する面々が再び何かを探し始める。
そんなに簡単にいくものかな?という反面、
なるようになるさ、人生自分の気持ち次第という前向きな気持ちにさせてくれる。
素直に鑑賞するのが得策かと。

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

2013-02-03 | 外国映画(ま行)
★★★☆ 2009年/スウェーデン  監督/ニールス・アルデン・オプレヴ
(DVDにて鑑賞)


「ミカエル、普通のおっさんやんか」


フィンチャーによるリメイク版を先に見てしまったのがいけなかった。
ミカエル、イケてないただのオッサンやん。ダニエル・クレイグと色気が違いすぎるぜ。
そこで、すでにテンション下がり気味。
ヴァンゲル一家の黒い闇もオリジナルの方が描き込まれているという評が多かったんですけど、
それほどでもないんじゃ?という印象。
むしろ、デヴィッド・フィンチャーのリメイク力をまざまざと感じさせられました。
スウェーデンの孤島という舞台設定ですが、
フィンチャー版はミカエルが初めて島に入るときに、びゅーびゅーと横殴りの雪を降らせているんですね。
これは後でCGで入れたらしいんですけど、孤島に漂う不穏な空気、悪い予感、そういったものが立ちこめている。
リズベットがミカエルの調査報告を言うシーンでも、フィンチャー版ではミカエルのある性癖が暴露されるんですね。
これは、男に陵辱され続けたリズベットがミカエルに好感を持つきっかけなのかも知れないという伏線なのですが、
それもオリジナル版にはありませんでした。
オリジナルの原作も映画版もすでにヒット済みという中でフィンチャーが加えた彼なりの味付けをみると、
やっぱ観客を惹きつけるテクニックがあるなあと感心。
リズベットを演じるノオミ・ラパスですが、オリジナルの方が迫力アリと聞いていましたがさすがにそこに異論はありません。
しかし、これまたフィンチャー版のルーニー・マーラは線が細い分、余計に痛々しさが感じられてこっちの方が私は好みかも。
というわけで、オリジナルの感想になっていなくてすみません。

未知との遭遇<ファイナル・カット版>

2012-09-04 | 外国映画(ま行)
★★★★★ 1977年/アメリカ 監督/スティーブン・スピルバーグ
(Blu-rayにて観賞)

「オブセッション」


恥ずかしながら初めての観賞。
あまりに説明の少ない、省略的な手法の映画で驚きました。
もっと説明的なセリフの多いエンタメ映画だとばかり思っていたものですから、ちょっと衝撃。
これを見ると今のSF映画はおしゃべり過ぎですね。

宇宙人が人類に接触を試みようとしているという事態そのものよりも、
その裏でうごめく人々の心理に最もスポットが当てられている。そのことに非常に感動しました。
特に主人公のロイ。
ごく普通の平凡な男が宇宙人に何としても会いたいという考えに取り憑かれてしまう。
ロイは宇宙人によって導かれているのかも知れませんが、
神秘体験をした人がすっかりその存在に魂を奪われてしまうのは誰しも理解できることではないでしょうか。
人は自分の知見を超えたものの存在を認識した時、一体どのような心理状態になるのか。
実に根源的な問題だと思います。
その宇宙人がどこからやってきて、何が目的で、どんな文化を持っているかということよりも、
我々は我々の想像を超えたものを受け入れる心の準備ができるのかということです。

私の好きなSF作品にジョディ・フォスター主演の「コンタクト」があるのですが、
いざ本当に宇宙人のいる惑星に行けるとなった時、本当にそれでいいのかと逡巡するくだりがあります。
人間としてそれは当然の反応であって、こういう心理描写がきちんとされているSF作品でないと私は楽しめません。

取り憑かれてしまったロイと共に我々観客もまだかまだかと宇宙船との遭遇を待ちわび、
ついに現れたマザーシップのまばゆいほどのきらめき。
これはBlu-Rayで見た甲斐がありました。
そして、ロイが最後に取る行動。
彼の選択は、私にとっては恐怖でしかないのですが、取り憑かれた者にとっては恍惚の瞬間。
まさに未知との遭遇が「畏れ」と「興奮」をもたらすことを示すラストシークエンスでした。


マンディンゴ

2012-05-07 | 外国映画(ま行)
★★★★☆ 1975年/アメリカ 監督/リチャード・フライシャー
(DVDにて鑑賞)


「カルトにとどまらない普遍的な名作」


町山智浩氏の「トラウマ映画館」で紹介されているカルト作品。
牧場のように黒人奴隷を育て売買する農園主マクスウェルとその息子ハモンド。
ハモンドは名門の娘ブランチと結婚するが、彼女が処女でなかったために怒り狂い、愛情を美しい黒人女に注いでいた…


舞台は19世紀半ばのルイジアナの大農園。
黒人差別の凄まじい現実に打ちのめされそうになるのだけど、
1本の映画作品としてみても秀作だと思います。
それは、登場人物たちが(性格がいいとか悪いということではなく)非常に魅力的だということ。

特に私が惹かれたのは白人農園主の息子ハモンドを演じるベリー・キング。
農園主である父親は黒人奴隷の売買も行い、まるで家畜のごとく扱いでおよそ彼らを人間扱いしない。
そんな父親を息子は人間としていささか斜めに見ているのだけど、
彼もまた足が不自由であることでコンプレックスを持っている。
彼が自分に向ける卑屈な心と黒人も同じ人間だと思いたい正義心、両者で揺れている様子がよく伝わってくる。
また、マンディンゴと呼ばれる純血の黒人の活き活きとした健康な体との対比も憎い演出である。

そのマンディンゴの奴隷として農園にやってくる黒人ミードを演じるケン・ノートンも魅力的。
体は大きいけれど純朴でまっすぐな心を持つ黒人。彼は、ボクサーなんですね。どうりでいい体していると思いました。

農園主マクスウェルの黒人奴隷に対する数々の仕打ちが実に淡々とした演出で描かれるので、
そのあたりがカルト的な映画の雰囲気をたたえているのかも知れませんが、
やっぱりこういう時代があったんだということを多くの人が知るべき作品だと思います。


ミッション:8ミニッツ

2012-05-01 | 外国映画(ま行)
★★★★ 2012年/アメリカ 監督/ダンカン・ジョーンズ
(映画館にて鑑賞)


「繰り返し学習」


シカゴで発生した列車爆発事故。乗客が全員死亡した凄惨な事件を解決するために始動した政府の極秘ミッションは、犠牲者が死亡する“8分前”の意識に入り込み犯人を見つけ出すというものだった……。

上映時間94分というコンパクトな中で、サスペンス、アクション、パラレルワールド
というエンタメの要素をうまく織り交ぜながらスリリングにまとめた1本だと思います。

特定の人間の意識内にタイムスリップする。
それが、8分だけという設定がキモなんですね。
8分間ですからそれなりにいろんなことができます。
でも、ある程度の展開が転がり出すと、そろそろタイムリミット。
なかなかビミョーな時間なんですよ、8分って。

犯人を見つけ出すまで、何度も何度も同じところからやり直し。
同席する女性との会話もタイムスリップを重ねるごとに、変化していく。
同じようなシークエンスが何度も繰り返されるので
私は「バンテージ・ポイント」を思い出しました。
繰り返しのシーンって、観客もいろいろ予想が膨らむんですよね。
犯人はアイツじゃないかと予想を立てて、それが裏切られ、また同じシーンが繰り返される。
繰り返しの効果で、観客もストーリーに凄く前のめりになるんです。うまいです。

マネーボール

2012-01-16 | 外国映画(ま行)
★★★☆ 2011年/アメリカ 監督/ベネット・ミラー
(DVDにて鑑賞)


「理論はあれど、プレイするのは人間」


野球大好き人間なので、かなり楽しみにしていた作品。

弱小チームが徹底的にデータ理論で強いチームに立ち向かう。
その何くそ精神は見ていて面白い。
どう見ても戦力的に劣るチームがこれほどまでに勝てるってことは、
チームスポーツってえのは、やはりメンバーの意思統一が大事なんだよね
なんてことも思わされて。
どんなクソ戦術でも、もしかしたらメンバーの一人一人が固い意思を持って動けば、
ひとつのラインには乗っかるのかも知れないね。
野球ファンなので、その辺はとても楽しめた。

だけども、ひっかかるよね。
ブラッド・ピット演じるビリー・ビーンは札束をちらつかせられて、
大学進学ではなくメジャーに入団するわけだけども、花咲かずに引退。
選手の頬を札束で殴るような行為を嫌悪しているけど
このマネーボール理論だって、選手をただの駒としか見てない戦法なんだよ。
そこに矛盾を感じる。

弱小球団だから、何よりも勝利が優先されるのは仕方ないけど、
選手も血の通った人間なんだってこと、ビリーはいちばんよくわかっているはず。
勝利のためにマネーボール理論を優先させねばならない苦悩がもっとあってもいいはずなんじゃないかと思って
どうもそれが引っかかりました。

ブラピよりもデータ分析で彼の片腕となるピーターを演じるジョナ・ヒルが良かったですね。
ビリーよりも彼の方が「本当にこの理論でやっていいのか」という葛藤を内に秘めているんじゃなかろうか。
そんな雰囲気が感じ取られる演技でした。

マイ・ブルーベリー・ナイツ

2012-01-10 | 外国映画(ま行)
★★★ 2007年/フランス・香港 監督/ウォン・カーウァイ

「たるかった」

「花様年華」をアメリカ風にライトに描いたらこんな感じになるんでっせ。
って、そんな作品なんでしょうかね。
延々すれ違うふたりを描いて、その距離と時間が互いの存在を認識させるという。

「ブルーベリー・パイ」なんてスイーツを恋の架け橋に使うあたり、
甘い、甘い物語なんでしょうけど、
やっぱり私はタバコの煙むせかえるよなねっとりした恋愛の方が好きだわ。

それに昔の彼が忘れられないって1年も旅する割には、
そこまで傷を負っている主人公の心に同調できないというかね。
背景もなんも見えなくて、描写が浅いよね。

まあ、ノラ・ジョーンズは映画初出演の割にはうまいしキュートです。
ノラとジュードのファンが見たら楽しい映画じゃないでしょうか。
私にはたるかったです。