Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

そうして私たちはプールに金魚を、

2022-01-20 | 日本映画(さ行)
★★★★☆  2016年/日本 監督/長久允

たまらんね、このセンス。思春期の醒めた感覚、どうせ人生なんてという中学生の厭世観を綴るセリフの洪水とポップな色とりどりの映像。そしてメタ構造。ただの馬鹿騒ぎではない知性も感じさせる。何とキュートで魅力的な作品。

ドライブ・マイ・カー

2022-01-20 | 日本映画(た行)
生きること。赦すこと。愛すること。伝えること。演じること。1つの作品に多彩なテーマが存在し、呼応し合う。鑑賞者はさらに村上春樹やチェーホフへと世界を深める。どこまでも広がる知のスケール感。かつ、多様性と男らしさの放棄という現代のテーマが融合する。参りました。

家福の再生をチェーホフのワーニャ伯父さんに重ね、繰り返しテープでセリフを流し、自らの演出法までさらけ出しセリフを染み込ませる。言葉に対する並並ならぬこだわり。それは言葉を疎かにしている現代人への痛烈な警鐘にも感じられる。我々はもっと言葉を大事にせねば。

知的で物静かな人物が多い中、ただ1人世俗的で底知れぬ狂気を感じさせる岡田将生の存在が効いている。後部座席で家福が知らない、あの物語の続きを唐突に語り出すシーンは背筋がゾクゾクした。