落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

中華三昧

2004年11月08日 | TV
『拿什麼拯救你、我的愛人』

面白かったです。
23話全部をきっちり観た訳ではなくて「たいくつー」と思ったりしたら速攻すっ飛ばしてたんで結局全体の7割くらいしかちゃんと観てないし、台詞も3分の1は全く意味不明だったので正確な感想にはならないと思いますが、それでもいーよー、と云う奇特な方だけ読んで下さい。

ぐりは世間で大ブームな韓流ドラマってほとんど観たことがないんだけど、思うにこの『…我的愛人』もそれに近いノリの番組じゃないでしょーか。ただ主役が男ふたりで話の大方がラブと云うよりクライムサスペンスなので、それほど甘い雰囲気ではない。「我愛你(I love you)」なんつう台詞は多いけどね。
タイトルも『拿什麼拯救你、我的愛人(大意:どうすれば愛する人を救えるのか)』だしパッケージのヴィジュアルも晶晶役の于娜(ユイ・ナー)メインなのでラブストーリーのような印象があるんだけど、フタ開けてみたら晶晶実は脇役(笑)。社長令嬢で職業はモデル、お姫さまですな。硬く暗くなりがちなドラマの雰囲気に花を添えるお飾り的キャラある。
主人公は韓丁(印小天イン・シャオティエン)と云う若い弁護士と晶晶の恋人龍小羽(劉燁リウ・イエ)。韓丁は晶晶が好きなのだが小羽が殺人容疑で逮捕され職務上彼の弁護を引き受けることになる。晶晶への愛と熱い職業意識の間で葛藤する韓丁。事件の詳細を知るために小羽の身辺を調査し接見を重ねるうち、彼の不幸と不運にみちた半生がつまびらかになっていく。ひとりの女を挟んだふたりの若者の生死と名誉を賭けた苦悩の物語。
こうして書くとスコット・ヒックス@『シャイン』の佳作『ヒマラヤ杉に降る雪』に似た話ですね。シチュエーションはちょっと違うけど、運命論や中国の社会背景に拠ったややペシミスティックな世界観はかなり近いものがあります。

んでなんと云っても劉燁演じる小羽の人生がスゴイ。一体ひとりの人間にここまでありとあらゆる不幸を重ねきれるものなのか、いやもしやこの子は不幸になるためだけに生まれたんではないかと思ってしまうくらい、とにかくとことんツイてない。わずか22歳で嘗めれる不幸はひととおり嘗めきってます。可哀想過ぎ。またそういう役が似合っちゃってます。
そしてやはり芝居が上手い。息を飲むほど上手いです。スゴイです。この小羽と云うキャラクターは物語の主役でありストーリー展開の軸になる人物で、話がサスペンスであるだけに非常に複雑な人格表現が要求されるんだけど、見事にそれをクリアしてます。いつもいつも思うんだけど、この若さでこの表現力って本当に天才だと思う。
だがあえてツッコませていただくとするなら、初チューでいきなりベロつっこむのもどーかと思うが(しかもナニゲに拒否されている。24にしてスケベおやぢ俳優のよーだ)(←品性を疑われそうなので伏せ字とさせていただきます)、ヒゲの剃り残しくらいはどーにかしたって下さい<メイクさん

まぁそれはさておき(笑)、台詞に分からない部分があるにも関わらず観る者に次の展開を期待させてやまないストーリーテリングには観るべきところは多いし、想像してたよりもずっと完成度があって中身の濃いドラマでした。タマーにフレーム内にバレもんがあったりするのはまぁご愛嬌。
ただヒロインのパーソナリティーにあまり魅力がないのと、法制度が日本と大きく違う部分が物語に強く反映されてるので(裁判期間が短いとか判決が出てから刑の執行までほとんど時間がないとか)、日本で放送出来るかと云うとちょっとムリだろうなとは思います。楽楽チャイナとかではやってるかもしんないけど。だとしたら日本語字幕版も観てみたいなぁ。

それにしても劉燁の演技力は凄まじいものがあるし、この役や物語に対する本人の思い入れも強烈に伝わって来る作品です。ファンなら必見ですね。
ぐりは原作を読んでみたいです。日本語訳で(笑)。