『悪魔とダニエル・ジョンストン』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000MGBOMK&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
ちょっと予想してたのと内容が違ってました。
ダニエル・ジョンストンはアメリカでは伝説的なシンガー・ソングライターなのだそうだが、音楽に疎いぐりはベイエリア在住町山智浩アメリカ日記でこの映画を知るまで彼のことは知らなかった。
ダニエルは小さいうちからイラストや音楽の尋常ならざる才能を発揮していたが、キリスト教原理主義者でロック音楽やマンガを忌み嫌う両親はなかなか彼の創作活動を認めようとはしなかった。大学に進学してからダニエルの精神は崩壊を始めるのだが、映画にはなぜ彼が精神を病むようになったのかがほとんど描かれていない。病が進行すればするほどダニエルの歌やライブパフォーマンスは宗教色が極端に強くなるので、病と家族の信仰になんらかの関わりがあることは明らかなのだが、あるいは、今さらその根源を糾弾したところで誰も救われないということなのだろうか。それとも、そんなものは責めるまでもないということなのか。
しかし、ダニエルの全ての曲が初恋の女性ローリーにあてて書かれているという点も関係者の証言でしか語られないので、やはり映画全体のトーンがやや偏り、ボケているような印象は否めない。
この映画を観ても、ダニエルの才能はわかっても彼の苦悩は計り知れない。ひどく苦しいことはわかるけれど、なぜそこまで彼が苦しまなくてはならないのかはわからない。その苦しみと圧倒的なほどオリジナリティに溢れた作品とが、わかちがたく強く結びついていることは間違いないとは思うのだが。ダニエルを天才たらしめているのが、その絶望的な苦しみだということがとにかくせつない。
ここにも正解はやはりない。
ダニエルを両親は深く深く愛している。兄姉も愛している。ダニエルも家族を愛している。だが彼の苦しみは家庭から始まった。苦しみから伝説が生まれた。マネージャーも音楽仲間もみんなダニエルを愛している。アメリカ中の聴衆がダニエルの歌を愛した。みんなに愛されていることで、ダニエルを幸せな人だということもできる。でも彼の苦しみをほんとうに理解している人はいるのだろうか。
両親は、できることなら一生彼を見守ってやりたいというけれど、同時に「私たちにはもう時間がない」ともいう。既に老境の両親が亡くなったら、ダニエルはどうなるのだろう。
彼の才能は彼の一生を豊かにはしてくれたかもしれない。だが彼の一生を守ってくれるかどうかはまたべつの話になる。
そのことを思うと、やはり、病気が治ってくれたらと願う母の気持ちが、ますます痛い。
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000MGBOMK&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
ちょっと予想してたのと内容が違ってました。
ダニエル・ジョンストンはアメリカでは伝説的なシンガー・ソングライターなのだそうだが、音楽に疎いぐりはベイエリア在住町山智浩アメリカ日記でこの映画を知るまで彼のことは知らなかった。
ダニエルは小さいうちからイラストや音楽の尋常ならざる才能を発揮していたが、キリスト教原理主義者でロック音楽やマンガを忌み嫌う両親はなかなか彼の創作活動を認めようとはしなかった。大学に進学してからダニエルの精神は崩壊を始めるのだが、映画にはなぜ彼が精神を病むようになったのかがほとんど描かれていない。病が進行すればするほどダニエルの歌やライブパフォーマンスは宗教色が極端に強くなるので、病と家族の信仰になんらかの関わりがあることは明らかなのだが、あるいは、今さらその根源を糾弾したところで誰も救われないということなのだろうか。それとも、そんなものは責めるまでもないということなのか。
しかし、ダニエルの全ての曲が初恋の女性ローリーにあてて書かれているという点も関係者の証言でしか語られないので、やはり映画全体のトーンがやや偏り、ボケているような印象は否めない。
この映画を観ても、ダニエルの才能はわかっても彼の苦悩は計り知れない。ひどく苦しいことはわかるけれど、なぜそこまで彼が苦しまなくてはならないのかはわからない。その苦しみと圧倒的なほどオリジナリティに溢れた作品とが、わかちがたく強く結びついていることは間違いないとは思うのだが。ダニエルを天才たらしめているのが、その絶望的な苦しみだということがとにかくせつない。
ここにも正解はやはりない。
ダニエルを両親は深く深く愛している。兄姉も愛している。ダニエルも家族を愛している。だが彼の苦しみは家庭から始まった。苦しみから伝説が生まれた。マネージャーも音楽仲間もみんなダニエルを愛している。アメリカ中の聴衆がダニエルの歌を愛した。みんなに愛されていることで、ダニエルを幸せな人だということもできる。でも彼の苦しみをほんとうに理解している人はいるのだろうか。
両親は、できることなら一生彼を見守ってやりたいというけれど、同時に「私たちにはもう時間がない」ともいう。既に老境の両親が亡くなったら、ダニエルはどうなるのだろう。
彼の才能は彼の一生を豊かにはしてくれたかもしれない。だが彼の一生を守ってくれるかどうかはまたべつの話になる。
そのことを思うと、やはり、病気が治ってくれたらと願う母の気持ちが、ますます痛い。