落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

HERO meets HERO

2010年05月05日 | movie
『愛の言霊』

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いわゆるBL、ボーイズラブ映画。
このテの作品てほとんど観てない・・・と思う。たぶん。記憶にある限りでは。
いやいやいやちょっと待ちなはれやこないなインデックスまでつくっといて何をゆうとりますねんな、ってツッコミもどこやらから聞こえてきよりますけどもー。まあねえ、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭に毎年行く程度のゲイ映画好き(注:ゲイ映画に限りませんが)ってことは認めますがー。
だがしかし。
ボーイズラブ映画とゲイ映画、もしくはボーイズラブコミック・小説とゲイ文学、とゆーとやっぱ違うと思う。
どっちかっちゅーとぐりはそーゆーカテゴライズにあんまし意味はないと思ってる方だけど、それでもそこはいっしょにしたくないなあと。
じゃあどこが違うのさ?っつーと、オーディエンスを限定するかしないかってとこだよね。簡単にいえば。ボーイズラブはBLファンありきでつくられてる。だから登場人物は美男子限定で女性はあんまりでてこないとか、ルールがあれこれあったりする。客観的にみれば完成度は二の次。映画なら20〜30年前のアイドル映画と似たよーなもんですかね。

いやいやいやちょっと待ちなはれや(再)ほとんど観てへんてゆうたやんかーと。何をもって完成度をうんぬんしよるんかと。
実をいうと何年か前、ブームになりかけた最初のころに公開された某作は仕事上のつきあいというか義理でチラ見したんですけどもー。
これが!もう!!唖然!!!とするくらいの超弩級の駄作でさあ(号泣)。観るのに使ったお金と時間、全部返せ!+罰金じゃコラ!!そこへなおれ!!!成敗してくれる!!!!たわけ者めが!!!!!みたいな。怒髪天に来たね。
てか情けなかった。お金を出して映画をつくろうという出資者がいて、同性愛者を演じるというリスクを冒しても出演しようという役者がいて、それなのにつくってる本人たちはどっからどー見てもやっつけ仕事。ありえんやろソレ?BLとかジャンル以前の問題やろがー!
ぜえぜえ。
なのに劇場公開&DVDが発売されたら結構儲かっちゃったらしく、その後も似たよーな作品がホイホイつくられ〜と。嗚呼。
最近はどーなんでしょーかねー?今となってはBLも既にひとつの産業と化した感がありますけれどもー。V系とかJ系といえばそっちネタは外せないみたいだし、某球技ミュージカル人気もスゴイしね。

そんなワケで敬遠してたBL映画。『愛の言霊』。
3年前の作品だけど、観たのはつい最近。世の中狭くてですね。これもホニャララつながりで・・・えーと放置してすいません。
いやー。おもしろかった(爆)。あ、ホントに。マジで。
普通におもしろかったです。いい作品ですね。ハイ。
これも原作はコミック。あらすじとしては、高校時代からの親友だったふたりの男の子(大谷晋也:徳山秀典/立花都 :齋藤ヤスカ)が大学に入って恋人同士になって同棲を始めるんだけど、そろそろアパートの更新とゆータイミングで元クラスメートの可愛い女の子(水沢雪子:松岡璃奈子)と再会してビミョーな雰囲気に〜みたいな、三角関係のお話。
青春映画ですね。チョー甘酸っぱいっす。シチュエーションなんか思いっきりありきたりだし、展開もお約束とゆーか古典的とゆーか、手垢ベッタベタのギットギトですよ。

でもこれが意外に爽やかで、観ててすごくすがすがしい。気持ちいい。
とりあえず脚本がしっかりしてる。どこにでもいるいまどきのフツーの若者の、日常の些細な感情の起伏を自然に描写してるんだよね。だからあり得ないような大事件もなければギョッとするような偶然も起こらないし、流れに無理がない。落ち着いて観てられる。
表向きはルームシェアしてる親友なんだけどそれ以上の事実は周囲に伝えられない葛藤とか、どんなに好きでも将来を約束できない不安感とか、相手には女の子の方がふさわしいのではとつい揺れ動く恋心とか、同性愛者独特の感覚も決して重くなくさりげなく描かれてるのもある意味新鮮だったかな。
それから演出が非常に繊細。押しつけがましくなくて、それでいてディテールに神経が行き届いてる。何より、ふたりがいっしょにいる、傍にいるだけで満たされる、という恋人同士のあたたかく優しい空気が素直に伝わってくる。なのにベタベタしたところがなくて、モノローグでいうところの「親友みたいな、兄弟みたいな」さっぱりした清潔な距離感も全編でキープしている。めちゃめちゃ健全。微笑ましいとゆーのがぴったりです。
なにしろボーイズラブといっても性描写がほぼ皆無。あってもキス+軽くイチャコラ程度、親子で観るのにちょうどいいくらいです(いい過ぎか)。

俳優の演技もほどよく抑制が利いてて、かなり気合い入れて役づくりしたんだなあって感じがする。特に驚いたのは、主人公ふたりの友人・須之内祥吾を演じた加々美正史の演技。アメリカに彼氏がいる帰国子女の設定なんだけど、リアルにそう見えるんだよね。出番も少ないしクドさもないのに、絶妙にナマナマしい。うまいです。
もちろん主役ふたりの演技もいい。どっちも今回初めて観たけど、こんなに上手い人だったとはねえ(失礼過ぎ)。ホントすいません・・・だって特撮ヒーローでしょ?とか思っててさ・・・偏見だよね・・・ゴメン。
モノローグが多い徳山秀典は声がセクシー。観終わってから気づいたんだけど、彼は挿入歌と主題歌も歌ってる。歌も上手いです。齋藤ヤスカの方は発声がビミョーにヒーロー調or演劇調。それにしてもこの子はあり得ないくらいアタマ小さい&異様に華奢&超色白。徳山秀典は朴訥キャラに似合わないギャル男風盛り髪が若干気になり。
ところでこのふたりはあのーイケメン?なんですかね?近頃はこーゆーの美形ってゆーのか?ぐりはよーわからんのですが。まあ作品を観てるうちにだんだん「ひょっとしたらカワイイのかも」とか思えてこなくもないけど・・・逆に両者とも健康的に男の子らしくて、ヘンに綺麗な美少年じゃないってとこはお耽美じゃなくてむしろ作品にあってるのか。
ふたりに俄然興味が湧いてさっそくググってみたんですがー。イヤ3年も経つとね、男の子もずいぶん変わるー・・・よね?徳山秀典は美白&茶髪&カラコンですっかりホスト化してるし(最近やったホスト役のせいであろー)、齋藤ヤスカはエラい妖艶になっちゃってもうほとんどビジュアル系やがな(衝撃画像)。
や、役者って大変だ・・・ね・・・(撃沈)。

設定に斬新なところがないぶん、当り前の青春のひとこまをあくまでもストレートに丁寧に、でも気取らずにバランスよく再現したらこうなりました、とゆー佳作の見本みたいな作品。「BLだからどーの」的な気負いなんかなくて、屈託なく単純に真面目につくってる印象。
もうじき二作めが公開されるらしーけど・・・どうでしょう(戦々恐々>爆)。出演者が違うけど監督は同じなのかー。
とりあえず、この作品はなかなかいいです。美術とか照明とか音響設計とか音楽もいいし、完成度に文句なし(けっこういいシーンでマイクケーブルがバレてたのは見なかったことにします)。確かにB級には違いないけど、BLなんとゆージャンルにくくっとくのはちょっともったいないかもしれない。BLでしょ?低予算でしょ?単館レイトショーでしょ?とかそういう偏見&言い訳はやめよーゼイ♪とゆー意味では、必見かも。
でもないか。どーやねん。