『大奥 〜永遠〜』
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赤面疱瘡という奇病で男子が4分の1にまで減少し、女子が家督を継ぐようになった江戸時代。将軍・綱吉(菅野美穂)との間に子もなく大奥内での自らの地位を危惧した正室・信平(宮藤官九郎)は、部屋付きに公家の右衛門佐(堺雅人)を京都から呼び寄せる。高い教養と政治力で成り上がっていく右衛門佐だが、その一方でひとり娘の松姫(渡邉このみ)を病で喪い、世継ぎにも恵まれない綱吉を心配した父・桂昌院(西田敏行)は莫大な資金をつぎ込んで毎晩新たな男を娘にあてがうばかりでなく・・・。
よしながふみのSFコミックの映画化。2010年に公開された『大奥』の続編。
続編だけど設定としては前の映画より3代前の将軍の時代が舞台。
家光公の時代に男女が逆転して、男社会でつくりあげられた仕組みにそのまま女が入れ替わるという世襲制度に無理が出てきたことが如実に描かれる。
史実の綱吉も世継ぎに恵まれなかったことが件の悪法「生類憐れみの令」につながったとされているが(これこのまま映画に出てきます)、世襲ってそもそもすっごいリスキーな家督制度なんだよね。中世以降の日本では天皇家でも公家でも武家でも商家でも当たり前に浸透して、いまも政治の世界じゃそのまま受け継がれてるけど、実際にそれだけでやってたらあっという間に血筋は絶えてしまう。不妊症なんか昔から男にも女にもあることだし、生まれた子どもが無事に成人する保証もない。現にいまの天皇家だって直系での継承者は存在しない。
そんなリスクにふりまわされる権力者の悲哀は男でも女でも変わりない。
家の安泰を願う周囲の人間の「世継ぎ」リクエストのプレッシャーを背負わされたヒロインは、多くの男たちと褥を供にしながらも愛を知らない。最高権力者でありながら若い男たちに媚をうるために驕慢に着飾りながら、心の中は荒れ果てていく彼女の美しさが悲しい。どれだけ多くの男を侍らせ意のままに弄ぼうと、子どもが生まれない限り誰も満たされることがないからだ。豪華な宴やきらびやかな衣裳で画面が派手になればなるだけ、その影の暗さは深くなっていく。
見れば見るほど、「こんなのおかしいって誰か気づかんかったんかな?」ってめちゃめちゃ不思議な気持ちになる。なんでこんな大変な思いをして、誰も幸せになれない方法で、家や血筋に執着しなきゃいけなかったんだろう。だいたい家ってなんだ?他にもいろいろあるじゃん。
綱吉には柳沢吉保(尾野真千子)という側用人がいるんだけど、これがまた真っ黒でよろしい(笑)。主君に対する感情がもう全然フツーじゃない。ちょっとした変態さんです。史実でも綱吉と吉保の関係はあれこれといわれてるけど、それをそっくり女性同士に置き換えてここまで盛り上がれるってさすが尾野さんです。
しかしこの映画はホントにキャスティングがものすごくいいです。主役の菅野さんと堺さんしかり、西田敏行しかり、宮藤官九郎しかり、側室・伝兵衛役の要潤や右衛門佐の母役の由紀さおりや、綱吉の初恋の相手・阿久里役の榎木孝明も、メインキャストからちょろっとしか出てこない脇役まで全員がぴったりと隙のない当たり役ばっかりです。ここまで綺麗にぴったりだと気持ちがいいですね。
前の映画も悪くなかったけど、いかんせん設定がイマイチ消化しきれてない感がせつなかったんだよね。それがこの映画ではしっかりクリアできていて、なかなかいい映画だと思いました。たぶんこの設定で原作者がいいたかったことがかなり再現できてる気がする。原作読んでないけど。
なのに興収は7億弱。二宮くんの方は23億だったから、世の中厳しいもんです。完成度としてはこっちの方が断然いいんだけどね。
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赤面疱瘡という奇病で男子が4分の1にまで減少し、女子が家督を継ぐようになった江戸時代。将軍・綱吉(菅野美穂)との間に子もなく大奥内での自らの地位を危惧した正室・信平(宮藤官九郎)は、部屋付きに公家の右衛門佐(堺雅人)を京都から呼び寄せる。高い教養と政治力で成り上がっていく右衛門佐だが、その一方でひとり娘の松姫(渡邉このみ)を病で喪い、世継ぎにも恵まれない綱吉を心配した父・桂昌院(西田敏行)は莫大な資金をつぎ込んで毎晩新たな男を娘にあてがうばかりでなく・・・。
よしながふみのSFコミックの映画化。2010年に公開された『大奥』の続編。
続編だけど設定としては前の映画より3代前の将軍の時代が舞台。
家光公の時代に男女が逆転して、男社会でつくりあげられた仕組みにそのまま女が入れ替わるという世襲制度に無理が出てきたことが如実に描かれる。
史実の綱吉も世継ぎに恵まれなかったことが件の悪法「生類憐れみの令」につながったとされているが(これこのまま映画に出てきます)、世襲ってそもそもすっごいリスキーな家督制度なんだよね。中世以降の日本では天皇家でも公家でも武家でも商家でも当たり前に浸透して、いまも政治の世界じゃそのまま受け継がれてるけど、実際にそれだけでやってたらあっという間に血筋は絶えてしまう。不妊症なんか昔から男にも女にもあることだし、生まれた子どもが無事に成人する保証もない。現にいまの天皇家だって直系での継承者は存在しない。
そんなリスクにふりまわされる権力者の悲哀は男でも女でも変わりない。
家の安泰を願う周囲の人間の「世継ぎ」リクエストのプレッシャーを背負わされたヒロインは、多くの男たちと褥を供にしながらも愛を知らない。最高権力者でありながら若い男たちに媚をうるために驕慢に着飾りながら、心の中は荒れ果てていく彼女の美しさが悲しい。どれだけ多くの男を侍らせ意のままに弄ぼうと、子どもが生まれない限り誰も満たされることがないからだ。豪華な宴やきらびやかな衣裳で画面が派手になればなるだけ、その影の暗さは深くなっていく。
見れば見るほど、「こんなのおかしいって誰か気づかんかったんかな?」ってめちゃめちゃ不思議な気持ちになる。なんでこんな大変な思いをして、誰も幸せになれない方法で、家や血筋に執着しなきゃいけなかったんだろう。だいたい家ってなんだ?他にもいろいろあるじゃん。
綱吉には柳沢吉保(尾野真千子)という側用人がいるんだけど、これがまた真っ黒でよろしい(笑)。主君に対する感情がもう全然フツーじゃない。ちょっとした変態さんです。史実でも綱吉と吉保の関係はあれこれといわれてるけど、それをそっくり女性同士に置き換えてここまで盛り上がれるってさすが尾野さんです。
しかしこの映画はホントにキャスティングがものすごくいいです。主役の菅野さんと堺さんしかり、西田敏行しかり、宮藤官九郎しかり、側室・伝兵衛役の要潤や右衛門佐の母役の由紀さおりや、綱吉の初恋の相手・阿久里役の榎木孝明も、メインキャストからちょろっとしか出てこない脇役まで全員がぴったりと隙のない当たり役ばっかりです。ここまで綺麗にぴったりだと気持ちがいいですね。
前の映画も悪くなかったけど、いかんせん設定がイマイチ消化しきれてない感がせつなかったんだよね。それがこの映画ではしっかりクリアできていて、なかなかいい映画だと思いました。たぶんこの設定で原作者がいいたかったことがかなり再現できてる気がする。原作読んでないけど。
なのに興収は7億弱。二宮くんの方は23億だったから、世の中厳しいもんです。完成度としてはこっちの方が断然いいんだけどね。