『青〜chong〜』
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大成(眞島秀和)は朝鮮高校軟式野球部の投手。高野連に所属していないため公式戦に出場する機会がなかったのだが正式な加盟がきまり、強豪校との練習試合に臨むがなぜかうまく自分の力が出せず、チームは敗退。そんなある日、姉(清水由佳)が日本人の婚約者(西川方啓)を連れ帰り、両親(湯澤勉・金東姫)は仰天してしまう。
いまや日本アカデミー賞の常連となった李相日監督のデビュー作。2000年製作。上映時間54分の中篇。
校外でヤンキー(古っ)に絡まれて喧嘩したり、授業中にいたずらして叱られたり、校舎屋上で花火をしたり、日本人と偽ってアルバイトしたり、幼馴染みの彼氏にやきもちを妬いたり、テソン(大成)くんたちの当たり前の高校生活は、静かで穏やかでちょっと退屈。
授業が全部ウリマルだったり、学校のチャイムが独特のメロディだったり、相手が日本人だというだけで姉の結婚に両親が反対したりなどというディテールは確かに在日コリアンの世界ならではかもしれないけど、それでも、テソンくん自身がそこまで民族性やらルーツやらアイデンティティにこだわっている様子はない。なんとなく、まわりがずっとそういってるからとりあえず「うんうん」と頷いてるだけ、とくに深く考えたりはしていない。
そんな高校生、どこにでもいる。わざわざ映画にするほどのこともないくらい、ごく普通だ。
それが、在日コリアン=マイノリティだから映画になる、という皮肉。
全体にセリフが少なくて淡々としているけど、学生映画としては破格の高評価に違わぬ完成度です。カメラワークもライティングもとても美しい。そこはいまの李相日作品にがっちり受け継がれている。
シナリオに無駄がないのがいいですね。おそらく出演者のほとんどが職業俳優ではなさそうな演技経験の浅そうな人ばかりで、全編セリフ回しが非常に危うい。でもその素人くさい素の芝居をうまく生かしている。主役の眞島秀和もこの作品がデビューなので演技そのものは未熟だけど、すでに養成所にいたらしく発声だけはやたらにしっかりしていて却って他の出演者よりうまくみえるくらいなのがおかしかったです。
この朴訥としたテソンくんが、物語を追うごとに視線や表情が変わり、最後には一皮むけたようなすっきりした顔つきになっていくのが、いかにも青春映画という感じなのがちょっと懐かしかった。
李相日さんは在日コリアン3世で70年代生まれ。
この物語は監督自身の体験をもとに描かれてるみたいですが、そのせいなのか、私も同年代でやはり在日コリアン3世だからなのか、やたらに「それそれ」と共感する場面がすごく多い作品でした。私自身は朝高出身ではないけど、登場する朝高生たちのセリフにいちいち聞き覚えがありすぎて、でもいってる本人たちはそれほど深刻に状況をとらえている様子もなくあっけらかんとしている。現実の思春期はそうもいかないはずだから、監督が意識してそう演出しているのだろう。
ドキュメンタリーを除けばこういう在日モノの映像作品はほとんど観ることがないんだけど、これは観てよかったとおもいました。おもしろかった。
関連レビュー
『悪人』
『許されざる者』
『怒り』
『60万回のトライ』
『ウリハッキョ』
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大成(眞島秀和)は朝鮮高校軟式野球部の投手。高野連に所属していないため公式戦に出場する機会がなかったのだが正式な加盟がきまり、強豪校との練習試合に臨むがなぜかうまく自分の力が出せず、チームは敗退。そんなある日、姉(清水由佳)が日本人の婚約者(西川方啓)を連れ帰り、両親(湯澤勉・金東姫)は仰天してしまう。
いまや日本アカデミー賞の常連となった李相日監督のデビュー作。2000年製作。上映時間54分の中篇。
校外でヤンキー(古っ)に絡まれて喧嘩したり、授業中にいたずらして叱られたり、校舎屋上で花火をしたり、日本人と偽ってアルバイトしたり、幼馴染みの彼氏にやきもちを妬いたり、テソン(大成)くんたちの当たり前の高校生活は、静かで穏やかでちょっと退屈。
授業が全部ウリマルだったり、学校のチャイムが独特のメロディだったり、相手が日本人だというだけで姉の結婚に両親が反対したりなどというディテールは確かに在日コリアンの世界ならではかもしれないけど、それでも、テソンくん自身がそこまで民族性やらルーツやらアイデンティティにこだわっている様子はない。なんとなく、まわりがずっとそういってるからとりあえず「うんうん」と頷いてるだけ、とくに深く考えたりはしていない。
そんな高校生、どこにでもいる。わざわざ映画にするほどのこともないくらい、ごく普通だ。
それが、在日コリアン=マイノリティだから映画になる、という皮肉。
全体にセリフが少なくて淡々としているけど、学生映画としては破格の高評価に違わぬ完成度です。カメラワークもライティングもとても美しい。そこはいまの李相日作品にがっちり受け継がれている。
シナリオに無駄がないのがいいですね。おそらく出演者のほとんどが職業俳優ではなさそうな演技経験の浅そうな人ばかりで、全編セリフ回しが非常に危うい。でもその素人くさい素の芝居をうまく生かしている。主役の眞島秀和もこの作品がデビューなので演技そのものは未熟だけど、すでに養成所にいたらしく発声だけはやたらにしっかりしていて却って他の出演者よりうまくみえるくらいなのがおかしかったです。
この朴訥としたテソンくんが、物語を追うごとに視線や表情が変わり、最後には一皮むけたようなすっきりした顔つきになっていくのが、いかにも青春映画という感じなのがちょっと懐かしかった。
李相日さんは在日コリアン3世で70年代生まれ。
この物語は監督自身の体験をもとに描かれてるみたいですが、そのせいなのか、私も同年代でやはり在日コリアン3世だからなのか、やたらに「それそれ」と共感する場面がすごく多い作品でした。私自身は朝高出身ではないけど、登場する朝高生たちのセリフにいちいち聞き覚えがありすぎて、でもいってる本人たちはそれほど深刻に状況をとらえている様子もなくあっけらかんとしている。現実の思春期はそうもいかないはずだから、監督が意識してそう演出しているのだろう。
ドキュメンタリーを除けばこういう在日モノの映像作品はほとんど観ることがないんだけど、これは観てよかったとおもいました。おもしろかった。
関連レビュー
『悪人』
『許されざる者』
『怒り』
『60万回のトライ』
『ウリハッキョ』