つれづれなるままに心痛むあれこれ

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国立「昭和館」の展示は偏向した歴史認識に依拠:侵略戦争と認めず自衛戦争であると。

2023-09-27 07:52:11 | 戦争遺跡

 2020年5月11日の朝日新聞記事「戦争 あのころの日用品」という見出しで、「戦争を体験した祖父母の日記や手紙、日用品を見つけたら、歴史資料として収集し、公開している施設があります」という事で、国立「昭和館」を紹介していた。

 国立「昭和館」は1999年3月27日に開館したが、その設立趣旨HPでは、「主に戦没者遺族をはじめとする国民が経験した戦中・戦後(昭和10年頃から30年頃まで)の国民生活上の労苦についての歴史資料、情報を収集、保存、展示し後世代の人々にその労苦を知る機会を提供する施設です」としている。これには、1999年1月15日の「日本遺族通信」が掲載した、「当時本会「日本遺族会」は厚生省に対し、『苦労した戦没者遺児に対する慰めの気持ちを形に表すと同時に、悲惨な体験を繰り返さないため戦争の本当の姿を後世代に伝える』ことの趣旨で『戦没者遺児記念館(仮称)』の設立を要望した」という日本遺族会の要望が背景にあった。

 このように国立「昭和館」は特定の思想や歴史認識をもつ「日本遺族会」(自民党支持母体の一つ。遺族会には別の思想や歴史認識をもつものが存在する)の立場に立った施設であり、歴代の自民党系政府は、「日本遺族会」にその運営を委託してきた。しかし、「日本遺族会」は、アジア・太平洋戦争を自衛戦争(侵略戦争ではない)と主張し続けているとともに、首相閣僚及び天皇による靖国神社「公式」参拝などを強く要望しており、実態は国家神道宗教団体と言って良く、極めて偏向した思想や歴史認識を持つ組織であると言って良い。「日本遺族会」は国立の建造物である「昭和館」を運営する資格はないのではないだろうか。

 自民党政権が設立した国立「昭和館」とは、「公正・中立」という言葉で主権者国民を欺瞞し、特定の巨大な宗教組織「日本遺族会」の立場を代弁するとともに、侵略戦争の真相を隠蔽する役割を担っているのである。

 「戦中・戦後の国民の労苦」という展示(千人針、必勝、お国の為に、一億一心、大東亜戦争、愛国心、昭和天皇がキーワード)については、「人を殴っておいて『手が痛い』と言っているのと同じである。他国を侵略しておいて、自分たちの苦しみだけを強調するものである」と評価されている。

 上記のような偏向した展示内容だけを後の世代に伝えても、アジア・太平洋戦争からの本当に役に立つ教訓は得られないという事は今日世界的な常識であるという事を、安倍自公政府は認めるべきである。しかし、できないだろう、彼らは神聖天皇主権大日本帝国への回帰を目指しているのだから。主権者国民は、彼らに期待するのを諦めて、彼らを打倒し新しい政権を樹立する道を選択しかない事にそろそろ気づいても良い頃だ。手遅れになる前に。

(2020年5月19日投稿)

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日本の神々の恐るべき素顔!若者は利用されている!

2023-09-27 07:45:32 | 宗教

 近年日本では「神社」ブームが巻き起こっている。全国の神社の祭礼に多くの若者たちが集っている事が、メディアで取り上げられている。特に東京では「靖国神社」がダントツで毎年7月13日~16日までの4日間夜6時から行われる「みたままつり」の祭礼に毎年30万人以上の若者たちが集っている事が取り上げられている。
 靖国神社の祭礼には本来「みたままつり」は存在しなかった。日本国憲法施行直後の1947(昭和22)年7月から実施されるようになった。その祭礼の中身は「靖国神社の概要」に「いわゆる『お盆』にあたる」と書かれているが、こんな事があっても良いのか、おかしな話ですが、本来は仏教行事である「盂蘭盆会」を、神社にとって都合の良い新しい理屈を作り、取り入れて作った(仏教寺院において盆行事は施餓鬼つまり無縁仏への供養という性格を多くもっているのに対し、「みたままつり」は自社祭神のみを対象とする逆の性格をもつ祭礼となっている)ものです。今年も「みたままつり」がもうすぐやってくるが。
 これまでその祭礼には参道の両側に驚くほどたくさんで長い距離の提灯(献灯)の壁(大小3万を超えるという)がつくられ、屋台(露店)が延々と並び、見世物小屋なども作られる。また、神輿振りや青森ねぷた、徳島阿波踊りなどの奉納行事、また、能楽舞台ではプロのバンド演奏も行われている。

つのだひろバンドの締めの曲は「ありがとう」ですが、その歌詞は以下の通りです。

「あなたがいたから、こうして僕は、どうにか暮らしてゆける
 あなたたちが僕らの住む、日本の国を守ってくれたから
 尊い命を未来のために、すりへらして下さった
 言葉だけじゃ言いきれない、心から愛の気持ち届けよう

 ありがとう祖先のみなさま
 ありがとうおじいちゃんおばあちゃん
 ありがとう親父とおふくろ
 あなた方のおかげです

 あなたがいたから、胸を張って生きられる
 あなたたちが僕らの住む、日本の心残してくれたから
 あなたの苦労が根っ子となって、花咲かせ実を結ぶ
 言葉だけじゃ言いきれない、心から愛の気持ち届けよう」
 
 毎夜明りに集まる虫たちのようにたくさんの若者たち、それも高校生や大学生たちが集まってきて気持ちを一つにして共に歌い盛り上がっている。
 若者たちよ!あなたがたは、この歌をこの靖国神社の場で歌う事で、国のため(=天皇のため)、(国=天皇が正当防衛とみなした)戦争を、戦い亡くなった祖先を、ほめたたえるべき存在であると評価すべきだという事と、自分たちはその子孫であるから自分たちは立派な人間なのだという誇りをもって生きる事ができる存在なのだという事を主張し、そのような生き方が正しい生き方である、自分たちも祖先の気持ちを忘れず祖先と同じように生きよう、と訴えているのですか。しかし、その意識は君たちの祖先が戦前の大日本帝国下の学校で社会で教育され強いられた国家神道にもとづいた意識とまったく同じなのです。以下は尋常小学校教科書で修身巻四「靖国神社」の文章ですが、比べてみてください。

「靖国神社は東京の九段坂の上にあります。この社には君のため国のために死んだ人々をまつってあります。春と秋の祭日には、勅使をつかわされ、臨時大祭(合祀祭)には天皇・皇后両陛下の行幸啓になることもございます。君のため国のためにつくした人々をかように社にまつり、又ていねいなお祭りをするのは天皇陛下のおぼしめしによるのでございます。わたくしどもは陛下の御めぐみの深いことを思いここにまつってある人々にならって、君のため国のためにつくさなければなりません。」

 現在、若者たちは、祖先に対して、天皇制大日本帝国時代と形は違えど同様な顕彰の声をあげています。しかし、そうされる事を、祖先は本当に喜んでいるだろうか。祖先はそのように顕彰される事を決して望んではいないと思う。君たちは、祖先を大切に思うならば、天皇たち為政者が彼らの目的を達成するために、彼らが作った荒唐無稽な宗教「国家神道」を「国民道徳」として例外なく強制し、祖先の心に刷り込み洗脳し、兵士として戦場へ向かう事を強制し、死の淵へ追いやり、死後は再び銃後の国民に対して軍事教育をするために靖国神社で祭神として祀り利用してきたという理解の仕方が、また現在君たちが、現在の天皇や安倍政権ワールドに利用されているのだという理解の仕方が必要です。君たちの行っている事は祖先の本当の心を理解するというところまで到達していないのです。君たちは今再び安倍政権ワールドによって、君たちの祖先がたどったのと同じ道をたどるために利用できる人的資源として洗脳をされているのです。

 君たち若者のこのような行動現象は、自然に起こってきたものではありません。この背景には当然仕掛け人が存在し、その人たちによって動員をかけられた人たちがおり、さらにまたその動員をかけられた人たちが集客活動をしている結果です。その仕掛け人は全国的なネットワークを築いている宗教団体であり、政治団体です。
 
 敗戦後、日本の為政者は天皇主権の大日本帝国で国家神道の頂点に位置づけられた天皇家の祖先神を祀る伊勢神宮と車の両輪をなす靖国神社を解体せず、政教分離の原則と信教の自由、国民主権などを定めた民主的な日本国憲法の下で、宗教法人として残してきた。占領軍も靖国神社の廃止を要求しなかった。占領軍は、靖国神社を宗教的性格をもたないメモリアルとして戦没者の国家施設にするか、民間の宗教施設として残すか、日本政府の選択に任せた。日本政府は民間の宗教施設とする選択をした。その結果、国家神道の組織下にあった日本全国の神社のほとんどは伊勢神宮を頂点「本宗」とする「神社本庁」に改組して戦前と同様の活動を継続し、靖国神社とそのネットワーク(護国神社)もそのまま存続し「神社本庁」との連携を緊密に維持し戦前と同様の活動を継続している。神社本庁の教義は、「神社本庁憲章」(1980(昭和55)年制定)と「敬神生活の綱領」(1956(昭和31)年制定)にうかがえるが、前者では「伝統を重んじ、祭祀の振興と道義の昂揚を図り、以て大御代の彌栄を祈念し、併せて四海万邦の平安に寄与する」とあり、後者では「神道は天地悠久の大道であって、崇高なる精神を培い太平を開く基である。神慮を畏み祖訓をつぎ、……神の恵みと祖先の恩に感謝し、……神のみこともち(臣下)として世をつくり固めなすこと、……大御心をいただきて睦み和らぎ、……」とあり、戦前と変わらない内容である。
 
 靖国神社は、1952年9月30日に「靖国神社規則」と「靖国神社社憲」を定めたが、「靖国神社規則」の第3条には「国のために(=天皇のために忠義を尽くして)死んだ人を神として祀って、神道祭祀を行い、神の徳を広めて、この神社を信奉する祭神の遺族や崇敬者を教化育成する」とあり、こちらも戦前とまったく変わりがない内容である。つまり、占領の終結とともに、戦前の役割を公然と復活させ活動しているのです。
 伊勢神宮も靖国神社もどちらも、敗戦後新憲法が施行されても、戦前と同様の体質を意図的に残したまま活動しているが、対象となる氏子についても、戦前と変わらぬまま彼らの側から一方的に「国民全員」と決められている。

 憲法違反に当たると考えられるが、これらの宗教団体はポツダム宣言や日本国憲法、東京裁判などを全面否定している。だから、戦後の新憲法体制を否定し、一貫して元首としての天皇制への回帰、神聖なる天皇を神としていただく国家神道復活など戦前の大日本帝国への回帰(戦前回帰)を活動目標としている。そして、この宗教集団であるが政治集団でもある宗教集団ネットワークは安倍政権ワールド(日本会議など)とも緊密な関係を維持して大きな影響を与えています。これまでの大きな活動としては「首相の靖国神社公式参拝実現運動」「紀元節復帰運動」「皇室典範の改正反対」「原子力発電への支持運動」「選択的夫婦別姓反対運動」「永住外国人地方参政権取得反対」などがある。

 自民党安倍政権ワールドは、すでに今の若者たちをターゲットとして憲法改正草案の前文に「国と郷土を誇りと気概を持って、自ら守り……」という言葉を入れており、「神社ブーム」を作り出し、若者の意識をその方向へ導こう世論操作を進めている。

若者たちよ!! 今、恐ろしい日本の神々に狙われているぞ!!心も身体も生命も

(自民党憲法改正草案前文)
 日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、……。日本国民は国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、……、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。……日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、この憲法を制定する。

(2020年8月30日投稿)
 
 

 

 
 

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