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自公政権による国立大学法人法改悪や日本学術会議の統制と北里柴三郎のことば

2025-02-11 11:23:57 | 教育

 北里柴三郎(1852~1931)は東大卒で細菌学者。ドイツへ留学しコッホに学び、破傷風菌の純粋培養に成功した。1889年に帰国。1894年にペスト菌を発見し、血清療法の研究に尽した。1892年10月に福沢諭吉の援助を得て私立伝染病研究所を設立し初代所長となった。しかし、1915年に私立伝染病研究所の東大移管に反対し、私立北里研究所を起こした。1916年慶応大学医学部開設の際には福沢への恩義から初代部長となった。1923年には日本医師会初代会長となった。

 さて北里柴三郎は、安倍晋三政権が(ここでは彼の思惑については触れないが)2024年に新たに発行するとしていた1000円札の肖像画に採用している人物である。彼の価値観を知れる「ことば」として、東大の緒方正規教授の在職25年祝賀会における門弟総代としての祝辞を以下に紹介しよう。

「時に或は学術上において、先生と意見の衝突をきたした事もありまして、先生の尊厳を冒し奉った事もございますが(緒方が脚気の病原菌を発見し発表したのに対し、実験手法の不備を指摘し病原菌発見を否定したが、北里の意見は正しかった事など)これは学術上の事で、正々堂々いわゆる君子の争いであります。……かくの如きは学問に忠実なる真正の研究者として、初めてこれをあえてなし得るのであります。かの学術研究の何物たるかを解せず、したがって意見なく、いたずらに他人の説に雷同附和する軽躁浮薄の輩、もしくは表面は服従を装い、裏面にてその事業を悪口するが如き者、総じて曲学阿世(曲学を以て世俗におもねり、任期に投ずる言説をなす事)の徒は、決してかくの如き趣味を伺い知るものではございません。」

 岸田自公政権改正国立大学法人法成立にこぎつけた。改正法は「一部の国立大に『運営方針会議』という合議体の設置を義務付ける。会議は学長と、外部の有識者も想定する3人以上の委員で構成し、中期目標予算の決定などを行う。学長選考に関しても意見を述べる事もできる。委員の選任には、文科相の承認が必要」という内容であり、「承認人事を通じて、大学の直接的支配に乗り出そうとしている。大学の自治への死刑宣告」と評すべきものである。又、日本学術会議の組織改編に関して内閣府が決定した法人化への基本方針「➀学術会議の会員選考に当たって外部有識者から意見を聞く『選考助言委員会』を設置 ➁外部者が過半の『運営助言委員会』を設置 ③大臣が任命する『監事』が業務や財務を監査 ④大臣任命の外部有識者による『評価委員会』が業務や運営を評価、などの内容で、「改正国立大学法人法」と同様に、大学の独立や自律性を否定する内容となっている。岸田自公政権独善的な目的完遂のために憲法を無視した、大学の自治学問研究の自由抑圧したり統制しようとするファッショ的な企てをやめるべきである。

(2024年1月8日投稿)

 

 

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岸田自公政権による国立大学法人法改悪と日本学術会議の支配に思う「黄宗羲」のことば

2025-02-11 11:21:56 | 自公政権

 安倍晋三首相以降の自公政権は、日本学術会議はじめ国立大学法人法改悪によりその支配強化を巧みにおし進めているが、その自公政権をどう評価すべきか、又時の政権日本学術会議国立大学に対してどう対応すべきか。

 高宗羲(1610~1695)は、中国の明末清初の儒学者。明朝回復のため義勇軍を率いて戦ったが失敗した。以後は清朝に仕えず学問に専念し、清代実証史学の祖。彼の『明夷侍訪録』から彼のことばを一部抜粋して以下に紹介しよう。

学校は士を養うためのものである。然し古の聖天子が学校制度を始めたのは単にそのためのみではなかった。天下を治める所以のものすべてが学校より出る事を期待したのである。天子とするところ、学校は必ずしもとせず、天子とするところ、必ずしもとせぬ。天子もまた敢て自ら是非をなさずして、その是非を学校の公論にまつ。大学の祭酒(学長)は当世の大学者を推戴し、その重きこと宰相に等しからめる、或は前任の宰相を以てこれに当てる。毎月朔日、天子宰相および諸大臣大学に臨幸し弟子の列に就く。祭酒南面して講学し、政治欠失あれば直言して憚らない。」

(2024年1月20日投稿)

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ナチス・ヒトラーの手法を真似た安倍・菅(日本会議)自公政権の世論統制

2025-02-11 11:21:03 | 自公政権

 安倍自公政権はもちろん、それを引き継いだ菅自公政権はともども、その世論統制の手法としては、ナチスのヒトラーの手法を真似たものである言って良い。

 菅自公政権で公然化した「日本学術会議」の推薦会員候補の「任命拒否」などはその究極の例であり総仕上げを狙うものである。この手法はナチス・ヒトラーの手法そのものと言って良い。

 ヒトラーの世論統制の手法については、彼の著書『我が闘争』に詳細に示されている。例えば、1942年の彼の東欧占領地政策についての「談話」には、

「被征服民(ドイツ国民)に対し学校教育を強制してもいけない。ロシア人・ウクライナ人・キルギス人など(ドイツ国民)が読み書きできる事は、我々(ヒトラー政権)の害になるばかりだ。読み書きができると、頭の良いものが歴史的知識を獲得し、政治的思考をわがものにして、ついにはドイツ(ヒトラー政権)に反逆するおそれがあるからだ。したがって、彼ら(ドイツ国民)に教育を与えるよりも、ラジオ拡声器を各村落に備えてニュースを流したり、娯楽を提供したりした方がよい。……ラジオではむしろ音楽だけを放送すべきであり、軽快な音楽によって労働意欲を増進させるべきである。……衛生学の知識を被征服民に与える事は、彼らの人口を急激に増加させる事になるので望ましくない。……東欧占領地で被征服民族に武器を持たせる事は最大の不合理である。そんな政策をとれば支配民族(ヒトラー政権)の方が必ず没落する。」と述べている。これは東欧占領地政策について述べたものであるが、ヒトラーは自国のドイツ国民に対しても同様の手法をとっていたのであり、文中のいくつかの言葉を( )のような別の言葉に置き換えれば、当時のドイツ国民がどのような統制を受け洗脳操作されていたのかを知る事もできる。そして、改めて菅自公政権が行っている「任命拒否」を考えれば、それがヒトラーの手法を真似ている事にも思い至るであろう。

ついでながら、『我が闘争』には以下のような言葉も述べている。

大衆の支持を得ようと思うならば、我々は彼らを欺かねばならぬ。……巧みな宣伝を絶えず用いれば、人々に天国を地獄と見せる事も、その逆に、もっと惨めな状態を楽園のように見せる事もできる。諸君の言う事を大衆に信じさせる秘訣は、諸君の言うウソの大きさにある。大衆は愚鈍だから小さなウソより、大きなウソを信用しだまされやすい。なぜならば、彼らは、小さなウソは自分でもつくが、あまり大きなウソは恥ずかしくてつけないからである。……人々の大多数は、その態度および性質において女性的であるから、彼らの活動や思想は、冷静な考慮によって動機づけられているというよりは、感情によって左右されている。……宣伝の効果は、したがって、常に感情に働きかける事に向けられねばならぬ。……大衆の組織者は……大衆の弱点と野獣性につけ込むように努めねばならない。」

「大衆の理解力は小さいが、忘却力は大きい。彼らは熟慮よりも感情で考え方や行動を決める。その感情も単純であり、彼らが望むのは『肯定か否定か、愛か憎しみか、正か不正か、真か偽か』の分かりやすさだ。」

「民衆はどんな時代でも、敵に対する容赦のない攻撃を加える事のなかに自分の正義の証明を見出す。肝要なのは敵を一つに絞り、それに向けて憎悪をかきたてる事だ。言葉は短く、断定と繰り返しが必要だ」

 ヒトラーは、反ナチス的な情報をすべて統制し、新聞・ラジオを使って、ナチス独裁体制への献身的な忠誠心をドイツ国民に植えつけようとした。独裁体制の地獄にあっても、メディアや知識人を巧みに操れば、大衆に天国の幻想を抱かせる事が可能であると確信していたのである。

(2020年1月4日投稿)

 

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