自衛隊の第10代「統合幕僚会議議長」(2006年から「統合幕僚長」に変更)は栗栖弘臣氏(1977.10.20~1978.7.27。東京帝国大学出身)であった。制服組トップであった彼は1978年、「超法規発言」(有事法制がないから、自衛隊は法律を無視して行動せざるを得ない)で解任された。
その後彼の著『日本国防軍を創設せよ』(小学館文庫 2000年)の、「国を守るということ」の部分で、以下のような事を書いている。おそらく現在の吉田圭秀「統合幕僚長」にも継承されているであろう。
「今でも自衛隊は国民の生命、財産を守るものだと誤解している人が多い。政治家やマスコミも往々この言葉を使う。しかし国民の生命、身体、財産を守るのは警察の使命(警察法)であって、武装集団たる自衛隊の任務ではない。自衛隊は「国の独立と平和を守る」(自衛隊法)のである。この場合の「国」とは、わが国の歴史、伝統に基づく固有の文化、長い年月の間に醸成された国柄、天皇制を中心とする一体感を享有する民族、家族意識である。決して個々の国民を意味しない。」
この主張は、神聖天皇主権大日本帝国政府の敗戦までの「国体護持」の考え方と同じものであり、戦前の国家体制への回帰を目指す意志を示すものである。
因みに、自衛隊法第3条1項「自衛隊の任務」には、上記の栗栖氏が主張するように、「国民の生命、身体、財産を守る」とは定めていない。つまり、安倍晋三首相以降の自公政権は、主権者国民に対し、「ウソ」をつき欺瞞し続けてきているのである。
(2024年9月15日投稿)