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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

アメリカの現実と象徴

2017-01-27 19:32:28 | Rock
In The Ghetto / Elvis Presley (RCA / 日本ビクター)

連日物議を醸しだすアメリカのトランプ大統領は、結局のところ政治家としてよりは商売人としてのキャリアが成功している事に対しての妬みが無いと言えば嘘になる!?

実際、立候補表明から選挙期間中をとおして、札片が舞っていたが如き報道もあり、また人道よりは経営という理念が優先される政治手法が当選する前から広く伝播していた感もありますから、とにかくアメリカが何でも一番!

そんな姿勢を強行的に実現させんとする言動が目立ちまくるのも無理からん話でしょう。

しかし、トランプ大統領は決してストレートな成功者ではないようで、例えば不動産業にしても一時期、日本の会社と暗闘を繰り広げる等々、なかなか浮き沈みの激しい生き様は多方面で伝えられているとおりです。

つまりアメリカ国内及び世界中の反トランプ勢力は、果たして成功者で富豪の指導者が弱者の気持や現状を理解し、救済してくれるのか?

という諸々に懸念を抱いているのだとすれば、所謂アメリカンドリームという成り上がり幻想が、その幻想さえも消されてしまう恐怖に支配されているという推察だって……。

さて、そこで本日ご紹介するのはエルヴィス・プレスリーが1969年に放った大ヒット「In The Ghetto」で、なかなか抑えた歌唱の中にも一途な情熱や説得力が強く滲み出た名曲名演ながら、その歌詞が従来のエルヴィス・プレスリーのイメージとは異なる内容なんですから、英語を日常会話にしていないサイケおやじには、それを後になって知るほどに唸ってしまったですよ。

何しろ簡潔にご紹介すれば、寒々しく貧しい環境に生まれた男の子に対する母親の嘆きと心配、さらに長じた子供が空腹からの窃盗、そして周囲の無理解から犯罪の道を歩み、ついには銃を片手に死んでいくという姿に泣きじゃくる母親の姿……。

まさに当時も今も、アメリカばかりか世界のあらゆる場所で進行している現実の一端がエルヴィス・プレスリーという芸能界の王様によって、切々と歌われているというところが一筋縄では認められるものではないでしょう。

ご存じのとおり、エルヴィス・プレスリーは決して裕福な家庭の出身ではなく、その歌の凄さが認められたのも偶然の産物だったという出発点から、後は自らの歌を信じ、信仰心や愛国心も強く、何よりも家庭や家族を大切していながら、それでも如何にもアメリカの芸能人どっぷりの成功者にして富豪でありましたから、そ~ゆ~人物がそれを可能ならしめたお気楽な芸能ソングを捨て(?)、思いっきり社会派に傾いた「In The Ghetto」を真っ向から歌いきるという凄さは、逆説的な分かり易さと共に、反感と反発を呼ぶ事は必至なわけですから、それを大ヒットさせたエルヴィス・プレスリーの力量と懐の深さは流石と思うばかりです。

ちなみに曲を書いたのは後に「愛は心に深く / Baby, Don't Get Hooked On Me」の大ヒットを飛ばすマック・デイビスです。

また、この「In The Ghetto」は我が国でも同年秋にヒットして、ラジオから頻繁に流れていた記憶がありながら、既に述べたとおり、サイケおやじは歌詞の中味を理解していなかったもんですから、リアルタイムでは決して好きな楽曲ではなく、しかし後年、それを知ってみれば、エルヴィス・プレスリーの真摯な歌の世界にグッと惹きつけられ、思わず足は中古屋へ!

実は掲載の私有盤を入手したのは、既に1970年代も半ばを過ぎた頃でした。

ということで、トランプ大統領が自国優先主義を表明し、実行に移している事に関しては、これまでの様な「アメリカは世界の警察」という姿勢で思い上がり、世界各国で火種を撒き散らし、そこに油を注いでいた勘違いとは異なるだけで、それでもどっちだって強引な印象は免れないというところに、アメリカという国の業の深さ、そこの最高指導者としての権力の重さがあるのかもしれません。

そんな立場とは永久絶対に無縁なサイケおやじとしては、昔々の強いアメリカの象徴のひとつでもあったエルヴィス・プレスリーの「In The Ghetto」がリバイバルヒットして欲しいと思うばかりです。

素敵な微笑みの印象

2017-01-23 20:20:46 | Rock
ぼくらに微笑みを / Chicago (Colmbia / CBSソニー)

ど~にもならないほど忙しいんですが、それでも今日は書きたい事が、いっぱいあります。

まず、何と言っても大相撲初場所における稀勢の里の初優勝と横綱昇進♪♪~♪

大相撲ファン、殊更日本人のほとんどが、それを待ち望み続けて幾年月、毎場所イライラされられていた溜飲が一気に下がったと書くのも、決して大袈裟ではないと思います。

稀勢の里の資質は体格・体力面だけでなく、所謂ガチンコ力士としての存在感共々に誰もが認めるところだったわけですが、それゆえにどこかしら漫然とやっているというか、相手との駆け引きや対戦前のイメージトレーニングなんか、問題外という姿勢が滲み出ている気配がサイケおやじには感じられ、だからこそ勝負に対する執念が空回りしていた様に見受けられたのは、あくまでもトーシロの考えかもしれません。

しかし、今場所の稀勢の里は心に余裕があったというか、優勝を決めた後のインタビューでも本人が語っていたとおり、自らの相撲を信じてやっていたという、芯のしっかりした勝負への姿勢があった事が伝わってきました。

例えば、以下に述べる事は、あくまでもサイケおやじの妄想ではありますが、今場所唯一の黒星となった琴奨菊との対戦における稀勢の里の取り口は、甘いという他はなく、つまりは負け越せば大関陥落、もしかしたら力士生活に別れを告げなければならない相手に対しての一方的な思いやり?

失礼ながら、平たく言えば、所謂片八百長と呼ばれる結果だったわけで、それは決して琴奨菊から頼まれたものではなく、稀勢の里の「情け」と思うのですが、いかがなものでしょう。

第一、冒頭でも述べたとおり、稀勢の里はガチガチのガチンコを押しとおす頑固者という定評は一般社会でも広く知られるところですから、窮地に立っている者が頼んだって、それを受けない事は明々白々!? 

うむ、これはやっぱり稀勢の里の気持が表れた勝負だったんじゃ~ないでしょうか。

そして、それを飲み込んでも、優勝出来るという自信と確信が稀勢の里にあったにちがいありません!

そ~ゆ~、心の余裕こそが、やっぱり勝負の世界には必要だという、それが今場所の稀勢の里からはビンビンに伝わってきましたですねぇ~~。

結果論と言われれば、それまでではありますが、サイケおやじは件の琴奨菊との勝負に接した直後、今場所の稀勢の里はやってくれるにちがいないっ!

全く、その気にさせられました♪♪~♪

それがさらに痛快さを増したのが、既に優勝を決めた翌日に行われた白鳳との千秋楽決戦で、必至に押し寄せる手負い(?)の横綱に良いところを出させておいて、簡単に逆転の投げで土俵の下に転がすという、真の横綱相撲で日本中を熱狂させてくれたのですから、あ~ぁ、最高だぁ~~~♪

ほとんどの相撲ファン、殊更日本人であれば、思わずニンマリの瞬間であり、それを与えてくれた稀勢の里に感謝&感謝♪♪~♪
 
それと優勝パレード出発の時、稀勢の里の満面の笑みには、なんともこちらも和まされました。
 
あれほど柔らかい稀勢の里は、初めて見た気がしたほどです♪♪~♪

そこで聴きたくなったのが、シカゴの代表的なヒット曲のひとつ「僕らに微笑みを / Make Me Smile」なんですが、思えば本日はシカゴのギタリストにして優れたボーリスト、そして秀逸な楽曲を沢山残してくれたテリー・キャスの命日でもありますので、あえて故人がジャケ写に大きく扱われている掲載盤を取り出しました。

なにしろ収録両面2曲が共に「僕らに微笑みを / Make Me Smile」で、A面は大作4枚組ライブLP「カーネギーホール」からのカット、一方のB面はセカンドアルバム「シカゴと23の誓い」からカットされたスタジオ録音バージョンという、本当に嬉しいカップリングなんですが、もちろんシングルカットに際しては、それなりに編集してあるとはいえ、テリー・キャスの魂の熱唱は素晴しいの一言!

パブロフの犬じゃ~ありませんが、サイケおやじは嬉しいことがあると、何故かシカゴの「僕らに微笑みを / Make Me Smile」を聴きたくなるという性癖には、テリー・キャスの歌声がジャストミートしています。

ということで、そんなこんなを書いていたら、今度は松方弘樹の訃報が……!

既に闘病していたという現実は知っていましたが、やっぱりなんとも……、せつないものがあります。
 
あぁ……、故人もまた、素敵な微笑みが男を感じさせてくれた名優でありました。

悲喜こもごもの気持で、合掌。

民主主義こそ本音の合掌

2017-01-20 20:18:19 | Rock
My Ding-a-Ling / Chuck Berry (Chess / 日本ビクター)

いよいよアメリカもトランプ氏が大統領に就任する運びとなりましたが、事ここに至るも、それに賛同出来ないという以上に拒否反応を示す人達が露骨に出て来るのは、如何にもアメリカの自由の象徴かもしれませんが、何よりも民主主義を標榜している同国の態度としては、全く相応しくない!?!

てな事をサイケおやじは思っています。

だって民主主義の土台のひとつが選挙制度であるならば、その制度自体の問題点云々はあろうとも、、とにかくそれによって正式に選ばれた最高指導者を嫌うのは自由であったとしても、共に政治をやっていこうとする議員諸氏が就任式典を堂々と欠席する姿勢を表明しているなんてのは、愚の骨頂でしょう。

だいたい、その議員という存在そのものには、これまた選挙によって国民から負託された責務があるんですから、国事行為としての場に意図的に出ないというのは、それだけで選挙民を心配させ、社会不安を増長する動きに他ならないと思うんですよ。

例え不平不満があろうとも、民主主義を貫きとおす為にも、やるべき事はきっちりやってから、対決姿勢を打ち出すべきじゃ~ないでしょうかねぇ……。

何か「自由の国」というアメリカの存在意義がマイナスのベクトルに動いている気がするばかりです。

さて、そこで本日ご紹介するのは、チャック・ベリーが1972年に出した本日掲載のシングル盤A面曲「My Ding-a-Ling」で、これがもちろん本人自作のロケンロール! と書きたいところなんですが、実は童謡っぽいというか、誰でも一緒に歌える「マイディンガリン」というリフレインをメインにした、最初に聴けば、なんじゃ~~、これっ!?

というのが正直な気分に陥る事は必至の迷曲でしょう。

しかも、楽曲の大半がライブの現場におけるチャック・ベリーの語りと煽りであって、そこに前述したシンプルな歌のリフレイン、そして観客の後追い合掌という構成展開なんですから、これがアメリカではチャートトップの大ヒットになっていながら、我が国じゃ~、見事過ぎる空振りという結果も納得するのが自然の摂理でありましょう。

ところが、それは英語を日常会話として用いていない人々の感想であって、少しずつでも英語が理解出来るようになってみれば、「My Ding-a-Ling」という歌は、日本ではハニー・ナイツが昭和44(1969)年に大ヒットさせた「オー・チン・チン」に相当するわけでして♪♪~♪

そして、その場で発せられるチャック・ベリーの煽りが、素晴らしく挑発的で、愉快♪ 痛快♪

 皆ぁ~ 素敵だぜっ、ビューティフルってやつさ

 そこのお嬢さんが、ハモってるぜ

 そこにいる未来の議員先生も歌ってるんだぜ

 自分が好きに生きればいいさぁ~ ベイビ~~

 それを嫌がったりするやつなんか いないぜっ ベイビ~~

 それが自由ってもんだよ

と、まあ、こんな感じの喋りが入って、その場の観客は大盛り上がり、そのまんま楽しい合唱が♪♪~♪

ということで、オバマ氏が大統領になった時だって、今よりも物騒な言動が世間を騒がせていながら、それでもなんとか穏やかな結末になったわけで、個人的には暴言王のトランプ氏にしても、根が商売人ですから、利害関係には敏く、それがアメリカ中心であったとしても、世界を経済的観点から俯瞰すれば、そんなにボンクラな政治はやらんと思うんですが、いかがなものでしょう。

むしろ、分かり易さがあるような、本音で政を司って欲しいものです。

We All Remember Leon

2016-11-14 14:44:51 | Rock
ソング・フォー・ユー / Leon Russell (Shelter / 日本フォノグラム)
 
またひとり、偉大なミュージシャンが天国へ召されました。
 
それが殊更1970年代ロックに親しんだ皆様ならば説明不要のレオン・ラッセルで、実際当時は故人の活動・活躍が、ロック&ポップスを過言では無く、牽引していました。
 
その素晴らしい偉業は夥しく、それゆえに拙稿で述べることは叶いませんが、少なくとも洋楽に興味を抱き、あるいは自然体で耳から音楽を感じている現世の我々にとって、レオン・ラッセルの書いた名曲、裏方ミュージシャンとしてのプレイしていた演奏の数々、そして所謂「しゃがれ声」による刹那の節回しで聞かせてくれた故人の歌唱は、それと気がつかなくとも心に残る音楽的な思い出でありましょう。
 
ですから、ここに衷心よりのお悔やみとして、サイケおやじは本日、何を取り出せばそれに叶うのかと自問し、やはり故人の存在を一般的に知らしめた名曲「ソング・フォー・ユー / A Song For You」を朝イチで聴いてしまいました。
 
もちろん、この楽曲はカーペンターズが1972年に出した4枚目のアルバムタイトル曲としてのカバーバージョンが世界的に知られていますが、レオン・ラッセルは既にその2年前、自ら関わった新レコード会社のシェルターから出したリーダーアルバムで自作自演! 忽ち業界を中心に認められた傑作となり、カーペンターズがカバーしたのも当然が必然だったわけですが、我が国では件のシェルターレーベルの発売が1973年まで遅れていたのが結果オーライというか、前述したとおり、カーペンターズが歌った「ソング・フォー・ユー / A Song For You」が大ウケだったという下地が出来上がっていたもんですから、この本家の歌もすんなりと売れていた記憶があります。
 
それはなによりも哀切のメロディとレオン・ラッセルの男気ハードボイルドな歌声による節回しが、違和感どころか逆にジャストミートしていた、至極当たり前の結果ではありますが、今日まで夥しいカバーバージョンが多様なスタイルで作られてきた中にあっても、最高にリアルな魅力です。
 
 いろんな場所で、様々な曲を歌ってきたけれど……
 
 俺の人生が終わっても
 
 君のために この曲を歌っていたことを
 
 忘れないでくれ……
 
あぁ……この歌詞は故人の生き様にオーバーラップするに留まらず、音楽を愛する我々全てに共感される、せつなくも幸せなものと思うばかりです。
 
ありがとう、レオン・ラッセル!
 
サイケおやじは、決して忘れません。
 
合掌。

明るいロックのキングスメン

2016-11-05 17:46:04 | Rock
ルイ・ルイ / The Kingsmen (Scepter / テイチク)
 
R&RやR&Bの進化系としてのロックは、何も難しい事ばっかりをやっていたのではなく、むしろシンプルだからこそ白人若年層にウケていた曲が少なくありません。
 
キングスメンと名乗るアメリカの白人バンドが1963年に大ヒットさせた本日掲載のシングル盤A面曲「ルイ・ルイ / Louie Louie」も全くそのひとつとして、今日まで幾多のカバー作が世に出ている事を鑑みても、白人音楽としてのロック成立の土台だったと比定出来るような気がするほどです。
 
しかしサウンドの要は楽曲だけを聴いていると、なかなか黒人っぽい雰囲気が強く出ているわけで、おまけに所謂ガレージとか、後のサイケデリックという、とにかくロックが遮二無二盛り上がっていた勢いがそのまんま、シングル盤という素晴らしきメディアに収まっているところも素敵なんですねぇ~~♪
 
とにかく何を歌っているのかしっかりとは聞き取れないボーカルの節回し、繰り返すリフの快感、トンパチなギターソロ、ガサツなドラムスの響き等々、全篇がノーテンキな明るさに満ちているのも最高だと思います。
 
ちなみにキングスメンはレコードのジャケ写や洋楽雑誌に掲載のスチールショットを見る限り5人組のグループであった事は分かりますが、そのメンバー構成はバンド結成時から出入りが相当にあったようで、それでもこの「ルイ・ルイ / Louie Louie」を大ヒットさせた1963年の時点ではリン・イーストン(vo,sax)、マイク・ミッチェル(g)、ノーム・サンドホーム(g,b)、ドン・ガルーシ(org)、ゲリー・アボット(ds) という顔ぶれだったと思われますが、実は我が国でキングスメンの「ルイ・ルイ / Louie Louie」が大っぴらに発売されたのは1966年、つまりは昭和41年という、我が国ではエレキやGSのブームが日々拡大膨張していた頃でしたので、サイケおやじもラジオから流れ出す洋楽ヒットの中でも突発的にロックしていたと感じたのがキングスメンの「ルイ・ルイ / Louie Louie」でありました。
 
そして実際、日本のGS系のバンドではプロアマを問わず、これが定番演目のひとつになっていたような記憶さえ残っているほどです。
 
しかし肝心のキングスメン本隊は既に述べたとおり、この時点までにメンバーの出入りが数度あり、掲載盤ジャケット裏の解説では、前記した編成からバリー・カーティス(org) とディック・ピータースン(ds) が交代参加したバンド紹介が載っています。
 
また、この類のグループのレコードでは、実際の録音セッションでバンドメンバー以外の助っ人ミュージシャンが演奏しているのでは?
 
という疑惑が常につきまというのが音楽産業の実情ではありますが、個人的にはキングスメンの他のレコード、特にLPを聴いてみると、それほど違和感の無い、良い意味でトーシロなフィーリングが貫かれているように思いますし、後に知ったところでは、キングスメンは結成からレコードデビューした後でも、学生相手のダンパやライブステージの仕事がメインだったそうですから、現場主義の纏まりが例え稚拙と軽く扱われたとしても、それゆえのロックっぽさこそがキングスメンの魅力だと思います。
 
それと「ルイ・ルイ / Louie Louie」には多くのカバーバージョンが存在する中にあって、サイケおやじが叶わぬ夢と知りつつも、もしもストーンが演じてくれたならっ!?
 
なぁ~ていう妄想を抑えきれないのが、これまた「ルイ・ルイ / Louie Louie」という楽曲の持つ魔力かもしれませんねぇ~♪

3DNのライブは怒涛のヒット乱れ打ち

2016-10-18 19:56:41 | Rock
Three Dog Night Greatest His Live (SHOUT = CD)
 
 01 One Man Band (Lead Vo. チャック・ネグロン)
 02 Family of Man (Lead Vo. order: ダニー・ハットン~チャック・ネグロン~コリー・ウェルズ)
 03 Easy to Be Hard (Lead Vo. チャック・ネグロン)
 04 Never Been to Spain (Lead Vo. コリー・ウェルズ)
 05 Mama Told Me (Lead Vo. コリー・ウェルズ)
 06 Old Fashioned Love Song (Lead Vo. チャック・ネグロン)
 07 Eli's Coming (Lead Vo. コリー・ウェルズ)
 08 Liar (Lead Vo. ダニー・ハットン)
 09 Celebrate (Lead Vo. order: ダニー・ハットン~チャック・ネグロン~コリー・ウェルズ)
 10 Try a Little Tenderness (Lead Vo. コリー・ウェルズ)
 11 One (Lead Vo. チャック・ネグロン)
 12 Joy to the World (Lead Vo. チャック・ネグロン)
 
スリー・ドッグ・ナイト=3DNはシングルヒットが多いので、1960年代末~1970年代前半に全盛期を謳歌していたグループとしてはアルバム単位での評価が芳しくないのは否定出来ませんが、さりとて実演ライブの場がショボかったという事では決してありません。
 
実際、リアルタイムでは1969年に出た「白熱のライブ / Captured Live At The Forum」、同じく1973年に出た「アラウンド・ザ・ワールド / Around The World With Three Dog Night」というライブ盤をきっちり出しているほどです。
 
ところが、前者には所謂大ヒットシングル曲が少なく、後者はミックスがイマイチという迫力の欠如が散見されるもんですから、それが例えサイケおやじの独断と偏見であろうとも、やはり全盛期を堪能出来るライブ音源は常に求められてきたと思います。
 
すると、本日掲載のCDは既に数年前から出回っていたブツではありますが、そんなこんなの願いが通じた発掘盤で、しかも上記に掲載した収録演目から一目瞭然という、まさにタイトルに偽り無しの全篇ヒット曲の乱れ打ち!
 
しかも録音状態やミックスが、なかなかに「1970年代ロック」しているのも高得点ですよ♪♪~♪
 
ちなみに付属解説書に記載のデータによると、録音されたのは1972年と1973年のドイツとロンドンであり、当時の3DNはダニー・ハットン(vo)、コリー・ウェルズ(vo)、チャック・ネグロン(vo)、マイケル・アルサップ(g)、ジミー・グリーンスプーン(key)、ジョー・ジェルミー(b)、フロイド・スニード(ds) というフロントにボーカリストが3人並び立ち、バックの演奏はシンプルな4ピースのリズム隊だけなんですが、グループとしての纏まりは流石全盛期の証!
 
もはやサイケおやじが稚拙な文章を連ねる必要なんか、全く無しの楽しいライブ盤であります♪♪~♪
 
ということで、最近は優良な発掘音源が続々出てくるという嬉しい状況ではありますが、しかし逆に言わせていただけば、ど~してこれがリアルタイムで発売されなかったのか?
 
という疑問は打ち消せません。
 
でも、だからこそ、サイケおやじは生きている証として、そ~したブツに積極的になるのでした。

スティーヴン・スティルスのライブ一撃!

2016-10-16 17:45:30 | Rock
Bread & Roses Festival 4th September 1978 / Stephen Stills (Klondike = CD)
 
 01 Love The One You're With
 02 Not Fade Away
 03 One Moment At A Time
 04 Everybody's Talkin'
 05 4+20
 06 Colorado
 07 Take Me Back To The Ohio Valley
 08 Jesus Gave Love Away For Free
 09 Fallen Eagle
 10 Old Man Trouble
 11 Thoroughfare Gap
 12 Crossroads / You Can't Catch Me
 13 49 Bye Byes ~ For What It's Worth

これまたサイケおやじの怠慢により、ご紹介が遅れに遅れていたブツで、内容はタイトルどおり、スティーヴン・スティルスが1978年に出演したブレッド・アンド・ロージズ・フェスティバルからの音質も良好な発掘ライブ音源です。
 
以下は個人的な気持ちではありますが、スティーヴン・スティルスはバッファロー・スプリングフィールドからCS&Nに至るロック史上の偉大なバンドでは音楽的支柱であり、ソロ活動においても自らが結成したマナサスも含めて、なかなか秀逸なレコードを出してきたんですが正直、世間の評価は殊更1975年あたりを境に芳しくないという……。
 
この背景には皆様ご存じのとおり、バッファロー・スプリングフィールド時代からライバルと目され、また本人も意識過剰になっていたであろうニール・ヤングとの確執と奇妙な友情があったことは推察に易く、それは前述のCS&Nにニール・ヤングが加わってのCSN&Yが空前の大成功を収めた結果からのジレンマだったかもしれませんが、スティーヴン・スティルスが堂々と自分がリーダーとなったマナサスで一応の成功が認められた1973年、突如(?)としてCSN&Yの再編プロジェクトが進みだし、それが翌年に実現されるやマナサスは解散してしまったのですから、今となってはどっちが裏目なのか判別もしかねるのが本当のところかと思います。
 
そしてスティーヴン・スティルスは古巣のアトランティックからコロムビアに移籍し、心機一転ソロ活動に邁進するのですが、そこでも1976年にはニール・ヤングと組んだスティルス・ヤング・バンドがアルバム1枚だけで空中分解したり、またまた翌年にはCS&Nの再編があったりする等々、失礼ながら腰の据わらない感じがあり、ついにはニール・ヤングに水をあけられはじめたのも、どうやらこの頃からだったような気がします。
 
で、そんなこんなの思いがサイケおやじにはあるもんですから、以降に出されるスティーヴン・スティルスの諸作には、なんとも空回りしたような気合とか、こぢんまりした印象が先入観年の如くつきまとうのを避けられず、自分でも決着を付けられないまま、今日に至っているところに出会ったのが、この音源であります。
 
それは基本がスティーヴン・スティルスのアコースティックギター、あるいはピアノによる弾き語りであり、曲によっては同フェスティバルに出演していたと思しきボーカリストやバイオリン&ハーモニカ奏者等々が加わるんですが、残念ながらジャケットや解説書にメンバーの詳細が記載されていないので、それは不明……。
 
しかし、様々な変則チューニングを用いているであろう巧みなギターで演じられる歌の世界は好調で、自身の代名詞として十八番の「Love The One You're With」でツカミはOK! そしてそのまんまの勢いで演じられるのがバディ・ホリーというよりも、サイケおやじとしてはストーンズで馴染みきった「Not Fade Away」ですから、アッという間に熱くさせられてしまいます♪♪~♪
 
う~ん、このギタープレイの迫力と黒っぽいフィーリングも程好いボーカルのコンビネーションはスティーヴン・スティルスの魅力のひとつかと思いますが、続く「One Moment At A Time」がなんとっ! スパニッシュ調のギターで歌ういう、サイケおやじは勉強不足で、これをスティーヴン・スティルスがスタジオレコーディングしていたかは知る由もありませんが、なかなか面白く聴けましたですよ。
 
もちろん観客にもウケている様子ですし、スティーヴン・スティルスの音楽に対する順応性というか、様々な影響を自分のものにする能力の高さは流石と思います。
 
そしてその意味でも本人が影響を受けたと断言しているフレッド・ニールの代表曲「Everybody's Talkin' / うわさの男」は、そのギタープレイ共々雰囲気満点ですし、CSN&Yでやっていたお馴染みの「4+20」は、これまた素晴らしいギタープレイが印象的♪♪~♪
 
さらにマナサスの最初のアルバムでも輝いていたスティーヴン・スティルス畢生の自作曲「Colorado」は、もう最高ぉぉぉぉ~♪
 
あぁ~、この哀愁、この美メロ♪♪~♪
 
そしてステージは、ここから一気にカントリーロック大会へ突入し、ハーモニカ奏者が加わったアップテンポの「Take Me Back To The Ohio Valley」、さらにカントリーならではのバイオリン=フィドルが入っての「Jesus Gave Love Away For Free」や陽気な騒がしさが楽しい「Fallen Eagle」は、前述マナサスの最初のアルバムにも入っていますので、なかなかの盛り上がりは当然が必然でありましょう。
 
しかし、流石はスティーヴン・スティルスとでも申しましょうか、こうした観客の盛り上がりをさらに別なベクトルに誘導していくのが、ピアノの弾き語りで演じるゴスペルソングの「Old Man Trouble」なんですから、たまりません♪♪~♪
 
ところが、次にやってくれるのが、流麗なフィンガーピッキングのギターアルペジオで歌われる、この時点では最新曲であった「Thoroughfare Gap」なんですが、サイケおやじとしては、これが全くポール・サイモンのコピーにしか思えないという、なんとも不遜な気持ちを拭えません……。
 
このあたりにも、当時のスティーヴン・スティルスの煮詰まりが滲んでいるように思いますが、しかしそれだってスティーヴン・スティルスとポール・サイモンが同じルーツを持ったソングライターだと認識出来る証かもしれません。
 
さて、こうしてステージはいよいよ大団円!
 
アップテンポでギターに歌に炸裂する魂のブルース「Crossroads / You Can't Catch Me」は7分半弱の大熱演ですし、いよいよゲストが大挙登場する「49 Bye Byes ~ For What It's Worth」は正直、不必要と思ってしまうほど16分超のゴスペル集会!?
 
最後の方になると、もはやスティーヴン・スティルスの存在感が薄くなる瞬間もあるほどですよ。
 
ちなみにこのパートは「49 Bye Byes」がCS&Nの最初のアルバム、また「For What It's Worth」はバッファロー・スプリングフィールドでのシングルヒット曲ですから、スティーヴン・スティルスにも思い入れと矜持は確かにあったと思うばかりです。
 
そして「Not Fade Away」「Everybody's Talkin'」「4+20」「Crossroads / You Can't Catch Me」は、1975年にアトランティックから出たスティーヴン・スティルスの公式ライブ盤にも入っていますので、聴き比べも楽しいでしょう。
 
また、曲間ではお喋りと共にギターのチューニングをやっている様子も聞かれるので、そのチューニングの秘密の一端が知れるのも、なかなか興味深いところかと思います。ただし、それだけでコピーは絶対に難しいんですけどねえ~~~。
 
最後になりましたが、舞台となったブレッド・アンド・ロージズ・フェスティバルとは、ジョーン・バエズの妹のミミ・ファリーニャが1974年頃に設立した福祉団体「ブレッド・アンド・ロージズ」が主催している音楽ショウで、主にフォーク系のミュージシャンが出演し、大規模なライブ以外にも刑務所や孤児院、老人施設等々への慰問活動もやっていたそうで、そうしたところから作られたレコードもシングルとアルバムの両方で幾つか残されていますが、このスティーヴン・スティルスの音源のような素晴らしい「お宝」は、まだまで眠っているんじゃ~ないでしょうか?
 
願わくば、もっともっと出して欲しいという気持ちは何時ものとおりのサイケおやじであります。

それでもシビレる1967年のブルースブレイカーズ

2016-10-13 16:34:31 | Rock
John Mayall's Bluesbreakers Live In 1967 - Volume Two (Forty Below = CD)
 
 01 Tears In My Eyes ★
 02 Your Funeral And My Trial ●
 03 So Many Roads ★
 04 Bye Bye Bird ●
 05 Please Don'T Tell ▲
 06 Sweet Little Angel ▲
 07 Talk To Your Daughter ★
 08 Bad Boy ▲
 09 Stormy Monday ■
 10 Greeny ★
 11 Ridin' On The L & N ★
 12 Chicago Line ●
 13 Double Trouble ★
    ★The Marquee Club
    ●Bromley
    ▲The Ram Jam Club
    ■Klook's Kleek
 
以前に掲載したジョン・メイオールのブルースブレイカーズが1967年に残していたライブ音源CDの第二集が出ていますので、ようやく本日はご紹介させていただきます。
もちろんメンバーは件の前作同様にジョン・メイオール(vo,key,hcm)以下、ピーター・グリーン(g)、ジョン・マクヴィー(b)、ミック・フリートウッド(ds) という顔ぶれですし、ジャケット解説に掲載のデータによれば、録音場所は別記したとおりイギリス国内の幾つかのクラブのようですから、一応は1967年春だけのライブギグとはいえ、音質にはバラツキがありますし、そのレベルも前作よりは幾分落ちるというのが正直な感想です。
 
しかし、それでも演奏からはブルースロック上昇期の勢いがきっちりと楽しめますし、なによりも個人的にはピーター・グリーンのギターがたっぷりと聴けますので、充分に満足♪♪~♪
 
また、収録のプログラムも黒人ブルースの聖典から「So Many Roads」「Bye Bye Bird」「Sweet Little Angel」「Stormy Monday」「Double Trouble」等々の有名曲の他、地味ながら味のある演目が選ばれていますので、その安心感は保証付ですし、ジョン・メイオールのオリジナルとされる「Tears In My Eyes」「Please Don'T Tell」「Chicago Line」が例によって、どっかで聞いたことがあるような、所謂既視感的な楽しみも侮れません。
 
なにしろド頭に置かれた「Tears In My Eyes」からして、いきなり甘~く泣いてくれるピーター・グリーンのギターが強い印象を残すスローブルースってことからツカミはOK!
 
そしてそのまんま連れて行かれるブルースロックの天国にはアップテンポでジョン・メイオールのハーモニカも真摯な「Your Funeral And My Trial」、ブギのビートも心地良い「Bye Bye Bird」やミディアムテンポの「Bad Boy」ではジョン・メイオールがオルガン&ハーモニカで存在感を示し、サイケおやじは思わず一緒にギターリフを弾きたくなります。
 
あぁ~、やっぱりサイケおやじの気持ちは前述したとおり、ピーター・グリーンのギターに惹きつけられてしまい、スローブルースの「So Many Roads」「Sweet Little Angel」「Stormy Monday」「Double Trouble」という、これまで他の幾多ミュージシャンによって名演が残されてきた楽曲だからこそ、不遜にも先の読める展開の中で狂おしく泣き、絞り出す情感の波で揺さぶってくれるピーター・グリーンのギターにはブルースロックの魂が充満!?
 
ただし冷静になって聴けば、前作とダブっている演目「So Many Roads」「Stormy Monday」「Double Trouble」は音質も含めて、些かそれには及ばないというのも正直な感想……。特に今回は完奏している「So Many Roads」に期待が大きかったので、猶更そんなふうに思ってしまうのは贅沢なんでしょうねぇ……。
 
それでもアップテンポのインスト「Greeny」は曲タイトルどおりにピーター・グリーンのオリジナル(?)ということもあり、とにかくそのギターからは痛快なフレーズとビートが弾き出されていますし、ジョン・メイオールのオルガンも良い感じ♪♪~♪
 
また、忘れちゃ~いけないのがジョン・マクヴィー(b) とミック・フリートウッド(ds) のリズム隊コンビで、なかなかヘヴィなビートを全曲で提供していて、特にミディアムテンポの「Please Don'T Tell」は、後のハードロックの萌芽さえ感じられる熱演だと思います。
 
それはR&R調の「Ridin' On The L & N」では8ビート感、ブギが全開の「Chicago Line」でも纏まり良さに繋がっていますが、後者では些か面白味のないベースソロとか、失礼ながら今となっては……。
 
まあ、そんなこんなもブルースロックが流行最先端の白人音楽だった時代の証なのかもしれません。
 
その意味で相変わらず熱血が空回り気味というジョン・メイオールの歌いっぷりにも憎めないものがありますが、実は「Stormy Monday」だけにゲスト参加しているロニー・ジョーンズのボーカルに不思議な味わいを感じてしまうもんですから、う~ん、やっぱり……。
 
 
しかし、そんな諸々も含めての不満も、ピーター・グリーンのギターに免じてという気持ちが確かに湧き上がってしまうのが、この音源の素晴らしさです。
繰り返しになりますが、音質や演奏のレベルが前作よりは落ちてはいるものの、それでも聴いていて熱くなってしまうのは、ブルースロックに感化されたリスナーの至福でありましょう。
 
不肖サイケおやじは確かにその一員として、素直にシビレているのでした。

こんな素敵なデモ音源♪ ブートじゃ~ないって!

2016-10-03 17:30:45 | Rock
CSN dEMOS / Crosby, Stills & Nash (Atlantic / Rhino = CD)
 
 01 Marrakesh Express / Crosby, Stills & Nash (1969年1月録音)
    Graham Nash(vo,g)、David Crosby(vo)、Stephen Stills(b)
 02 Almost Cut My Hair / David Crosby (1969年9月録音)
 03 You Don't Have To Cry / Stephen Stills (1968年8月録音)
 04 Deja Vu / David Crosby (1969年9月録音)
 05 Sleep Song / Graham Nash (1969年11月17日録音)
 06 My Love Is A Gentle Thing / Stephen Stills (1968年8月録音)
 07 Be Yourself / Graham Nash (1971年2月8日録音)
 08 Music Is Love / David Crosby, Neil Young & Graham Nash (1970年8月23日録音)
    David Crosby(vo,g)、Neil Young(vo,g)、Graham Nash(vo)
 09 Singing Call / Stephen Stills (1970年4月30日録音)
 10 Long Time Gone / David Crosby & Stephen Stills (1968年6月13日録音)
    David Crosby(vo,g)、Stephen Stills(g,b,ds)
 11 Chicago / Graham Nash (1970年8月30日録音)
 12 Love The One You're With / Stephen Stills (1970年4月30日録音)
 
既に2009年に発売されていたCDなんですが、ご紹介が遅れていたのはサイケおやじの全く不覚であり、実は例によって買いっばなしで放置していたブツの中から先日、ようやく掘り出してきたというバチアタリを深く反省するしかないほど、内容は素晴らしいですっ!
 
それはロック史にその名を刻すクロスビー・スティルス&ナッシュ=CS&Nが、1968~1971年に残していたデモ音源を纏めたもので、当然ながらそこにはニール・ヤングが加わったトラックも含まれ、また後にメンバー各々の名義により発表された名曲もあるんですから、たまりません♪♪~♪
 
もちろん、ここに収録の各トラックは、ほとんどが本人のギターやピアノだけで演じられたテイクが多い中にあって、それでも一緒にやることになる他メンバーとの協調、また公式に発売された完パケのバージョンとの聴き比べも楽しいところでしょう。
 
で、収録曲のその後の内訳は、まず「Marrakesh Express」「You Don't Have To Cry」「Long Time Gone」がCS&Nのデビューアルバム「クロスビー・スティルス&ナッシュ」、「Almost Cut My Hair 」「Deja Vu」がニール・ヤングも参加したCSN&Yによる1970年発表のLP「デジャ・ヴ」に収録されていて、そこでの個性と協調のバランスは全く緊張と緩和の名演名唱だったことは言わずもがな、それがここでは尚更に作者自演による目的意識の高さが聞き取れると感じるのは不遜でしょうか。
 
しかしデイヴィッド・クロスビー自作のトラックでは、あの強烈な変則チューニングのギターを用いた不思議な和声感覚によるアブナイ雰囲気がなんとも深い声質共々、ネイキッドで発散されていますし、スティーヴン・スティルスが入ってバンドスタイルで作った「Long Time Gone」ではエキセントリック寸前の味わいがモロ出しですから、本気でシビレさせられますよ♪♪~♪
 
一方、スティーヴン・スティルスは、これまた独特に変則チューニングのギターを用いた弾き語りでも、案外と落ち着いているというか、しかし持ち前の黒っぽさが随所に表出されるのは感度良好♪♪~♪ 例えば「You Don't Have To Cry」は何かライブの現場のような雰囲気ですし、未完成な「My Love Is A Gentle Thing 」や「Singing Call 」にしても、なかなか強い印象を残すのは、凝ったギターワークに耳を奪われる所為もあるでしょう。
 
ですから、ギター1本で熱く演じられている「Love The One You're With」が、今に至るも人気が高いという秘密が解き明かされているのは高得点♪♪~♪ 思わず、例のコーラスを歌いたくなってしまいますよ♪♪~♪
 
そしてグラハム・ナッシュが、これまた味わい深く、本気でCS&Nの夜明け前という「Marrakesh Express」がこのCDのド頭に据えられているのも当然と思う他は無く、後の1971年に自らのソロアルバム「ソング・フォー・ビギナーズ」に入れる「Sleep Song」「Be Yourself」「Chicago」にしても、ここでのシンプルな歌と演奏だって何らの問題も無いと思うほどに素敵ですよ♪♪~♪
 
ちなみに「Sleep Song」はホリーズ時代に既に作られていながら、歌詞が男女間の夜の営みを強く連想させるという事でボツったという逸話も有名なところですが、ここでの作者の素直な歌とギターを聴いていると、難癖をつける事自体が生臭いんじゃ~ないでしょうかねぇ~~。
 
サイケおやじとしては、メロディ展開そのものが好きな曲です。
 
さて、実はサイケおやじがこのCDの中で一番気になっていたのは、CN&Yで演じられ、デイヴィッド・クロスビーの最初のソロアルバムのオープニングを飾っていた「Music Is Love」でして、静謐な雰囲気も強かった件のスタジオバージョンよりも、ここでは粗野なフィーリングからゴスペルっぽいムードが滲んだりして、輪唱形式の曲構成やギターワークの面白さもストレートに制作過程を伝えてくれていますので大満足!!
 
いゃ~、こ~ゆ~デモ音源の蔵出しは、なかなか演じている本人達の素顔が出てしまうので、公開される事も少なく、それゆえにブートの世界の楽しみだったわけですが、流石に公認されての正式盤ともなれば、的確なリマスター作業による音質の良さは特筆物です。
 
本当にギターの音色や弦の軋み具合等々が生々しく、また現場での会話とか意思の疎通やすれちがいなんかも、面白く(?)聴けると思います。
 
ということで、全篇42分弱ほどの収録時間ではありますが、それにしてもアッという間に聴き終えてしまう次の瞬間には、再びリピートさせられてしまうのは必然の喜びであります。
 
あぁ~、もっともっと、このような発掘音源が望まれるミュージシャンは数知れず、どうかCS&Nの英断(?)に続いて欲しいものですねぇ~~~。

生き残ったビークル

2016-09-26 17:11:22 | Rock
Vehicle / Ides Of March (Warner Bros. / 東芝)
 
殊更1970年代前半に大きな流行となったブラスロックには様々なバンドが登場し、幾多のヒット曲を放っていましたが、その中でも老舗であろうグループが、1970年に本日掲載のシングル盤A面収録「Vehicle」で人気を集めたアイズ・オブ・マーチです。
 
当時のメンバージム・ペトリック(vo,g,key) をリーダーに、レイ・ハー(vo,g)、ラリー・マイルス(key,vo)、ボブ・バーグランド(b,sax,vo)、マイク・ボーチ(ds,per)、ジョン・ラーソン(tp)、チャック・ソマー(tp) とされていますが、アイズ・オブ・マーチは最初っからブラスロックのバンドではなかったようで、1966年のレコードデビュー時には出身地シカゴをメインとしていたローカルスタアだったと言われています。
 
しかし本格的にブラスセクションを用いたスタイルが固まったのは、小さなヒットを放った後の1969年、新規にワーナーブラザーズと契約した頃だったようで、それは同じイリノイ州シカゴ出身のシカゴの大ブレイク、またその少し前にアル・クーパーが立ち上げたブラッド・スウェット&ティアーズ=BS&Tの成功に刺激されたであろう事は推察に易いと思います。
 
で、この「Vehicle」は、とにかくソウルっぽさが強く、ジム・ペトリックのボーカルは前述したBS&Tのデヴィッド・クレイトン・トーマスを強く意識した感じですし、加えてブラスセクションがやってくれるキャッチーなイントロのフレーズが最高なんですねぇ~~~♪
 
まさにヒット曲の要件を満たしきった典型のような仕上がりだと思いますし、間奏のギターソロが如何にもその頃らしいジャズっぽいところも、なかなかニクイですよ。
 
ちなみに、このホーンリフって、昭和40年代後半の東映アクション映画、セクシーバイオレンス系の諸作にも度々再利用(?)された、如何にもパクリ易いものだという事を付記させていただきます。
 
しかし、アイズ・オブ・マーチは実質、この「Vehicle」が大当たりし過ぎた所為か、以降は尻つぼみ……。レコード会社の移籍やメンバーチェンジもあったりして、1973年末頃には解散に至ったようです。
 
ところがリーダーだったジム・ペトリックのソングライターやプロデューサーとしての才能は業界でも認められていたようで、自己名義のレコーディングからアルバムも出していますし、サヴァイヴァーという新バンドを結成し、再びの大ブレイク!
 
それが1982年、映画「ロッキー3」の主題歌として提供した「Eye of the Tiger」の大ヒットで、確かグラミー賞にも輝いたと記憶していますが、実はそんなこんなの経緯から、サヴァイヴァーと名乗るバンドメンバーの中に、ジム・ペトリックの名前を発見した時には驚かされましたですねぇ~~! 
 
さらに後追いで知った事ではありますが、そもそもサヴァイヴァーというバンドは1978年末頃、アイズ・オブ・マーチと同じジャンルのブラスロックで大ブレイクしながら、飛行機事故で主要メンバーを失い、解散に追い込まれたチェイスの残党だったデニス・ジョンソン(b,vo) とゲイリー・スミス(ds) を誘ったのが始まりだったそうで、そのふたりも1982年当時はバンドを去っていたらしいんですが、如何にも名は体を表すというか、生き残っていこうとするヤル気が有ればこそっ!?
 
ということで、やはりこの世は執念というものも必要なんだなぁ~、と思うことが最近はしばしばです。
 
実は7月の交通事故の後始末で加害者側の保険屋が横暴な態度なんで、サイケおやじも頑迷になって、ついつい意地悪な言葉を相手に発してしまう事があり、それでも曲げられないものは自分の立場ですから、ここは長丁場になっても、そりゃ~相手がねぇ~~、とばかりに世の中の厳しさを思い知らせてやろうかなぁ~~。
 
示談書に印鑑なんてこたぁ~、絶対に無いからねっ!
 
あぁ、またまた意地悪な自分を感じています。