■Yummy, Yummy, Yummy / Ohio Express (Buddah / 日本コロムビア)
あらためて述べるまでもなく、素人バンドがウケを取るのは容易なことではありません。
もちろん下手を演じて、仲間内からお情けの拍手という展開は日常茶飯事の「美しい仕来たり」ではありますが、それに感謝しつつも、やはり現場の雰囲気の良さを作っての喝采を希望するのが、正直な気持です。
まあ、このあたりは、自らの実力を鑑みれば贅沢な欲望なんですが、それでもそれなりの方策ってのは、確かに存在しています。
例えば学生時代に入れてもらっていたバンドでは、諸先輩からそうした秘訣が伝承されていて、ウケ狙いの演目としては本日ご紹介のシングル曲がイチオシされていました。
これはご存じ、1968年に大ヒットしたオハイオ・エクスプレスの代表曲で、リアルタイムではお子様向けのお気楽ロックという、所謂「バブルガム」とはいえ、それゆえに快適なビートとウキウキするようなメロディが実に心地良く、それでは皆様、御一緒に歌いましょう~~♪
てなもんですよねぇ。
実際、キャッチーなハードロックリフを用いたイントロからヤミヤミヤミ~♪ という最初のフレーズを出してしまえば、ほどよいサイケデリック味のコーラスやタイトなキメが痛快なリズム的興奮を呼び覚まし、全篇が楽しさでいっぱいという仕掛けです。
ちなみにこの曲も「バブルガム」の慣例どおり、発売元がブッダということになれば、以前にご紹介した1910フルーツガム・カンパニーの「Simon Says」同様、ジェリー・カセネッツ&ジェフ・カッツが運営していたスーパー・K・プロダクションの制作になっています。
つまりスタジオセッションで作り上げることを前提とした楽曲であり、極言すれば心置きなくヒット狙いをやれた幸せな状況での名唱名演だと思いますねぇ~♪
ちょいと鼻声気味の印象的なリードボーカルはジョーイ・レヴィンという歌手が担当した事になっていますが、オハイオ・エクスプレスというバンドそのものはジェリー・カセネッツ&ジェフ・カッツと邂逅する以前からローカルで活動していたそうですから、果たしいジョーイ・レヴィンが、そのオリジナルメンバーであったか否かは、知る由もありませせん。
もちろん当時は巡業用にそれらしいメンバーが集められ、オハイオ・エクスプレスがきっちりとライプをやっていたことは、当時の洋楽マスコミで報じられていたと記憶しています。
で、サイケおやじの個人的な体験として、やっぱりライプの現場では、この「Yummy, Yummy, Yummy」がウケるんですよねぇ~♪ それは地方の海浜ホテルのヒアガーデンであったり、あるいはショボいダンパであったりと、決して聴いてくれるお客さんばかりではない所での出来事ですから、真実味が違います。
う~ん、諸先輩の仰られた事は、本当だったんですよねぇ~♪
しかし、そのウケる原因が今もって解明出来ないところに、ポップスの魅力があるんじゃないでしょうか。
参考までに、この曲がヒットしていた頃には、B級GSやフィリピンバンド等々が相当に演じていましたし、後のグラムロックブーム期のバンド、そして1980年代に入っても、例えばちわきまゆみが歌っていたほどの永劫性があることを付け加えておきます。
よし、次のおやじバンドでは、これを切り札にしようっ!