■Bend Me, Shape Me / The American Breed (Acta / 日本ビクター)
昭和40年代の日本は既にラジオやテレビが全盛でしたが、しかし伝えられる情報量は決して今ほど多くはありませんでした。
特に洋楽関連はラジオがメインであって、他には月刊だった洋楽雑誌か局地的な若者向けテレビ番組が頼りという状況は、ネットで世界中から知識を得られる現代からすれば、隔世の感があります。
ですから、お気に入りの洋楽ヒットがあったとしても、そのミュージシャンについてのあれこれを知る事はあまり出来ず、逆にレコードのジャケ写や解説文に接した後、かえって???という気分に陥ることが稀ではありませんでした。
例えば本日ご紹介の「Bend Me, Shape Me」は、これがなかなかファンキーロックの元祖的な名曲名演だと思うんですが、演じているアメリカン・プリードというバンドが白人と黒人の混成グループだという真実をサイケおやじが知ったのは、掲載したシングル盤のジャケ写を見た時が初めてだったんですよっ!
しかも4人のバンドメンバーが観光地のインディアン達と記念写真(?)に収まっている絵作りは、およそロックっぽい感じがしません。
ただしバンド名、および曲の要所に使われているドンドコドンドコというドラムスのリックが、如何にもインディアンを連想させる事を鑑みれば、これはこれで正解だという気もしています。
ちなみに当時のメンバーはゲイリー・ロイーゾ(vo,g)、アル・サイナー(g)、チャック・コルバーン(b,vo)、リー・グラチアーノ(ds.vo,etc.) という4人組だったそうですが、実際に「Bend Me, Shape Me」を聴いてみれば、しっかり導入されたホーンセクションや各種打楽器等々の助っ人を使ったレコーディング&プロデュースが成功の秘訣だったように思います。
ただしバンドとしての実力は相当なものだったんじゃないでしょうか。
残念ながら今は失くしてしまったんですが、以前に友人から当時のライプを録音したカセットをプレゼントされ、聴いて仰天! かなりソウルっぽい演奏は不思議なロックフィーリングも確かにあって、これはファンキーロックというよりも、ニューソウルに近い感じさえしたほどです。
また、これはちょっと疑問も抱いているのですが、以前にチャカ・カーンを擁していた頃のルーファスというバンドのレコード解説を読んでいたら、その前身がアメリカン・ブリード!?!?
そんな一節に遭遇し、これまた仰天したことがあります。
このあたりの真相はどうなんですかねぇ~~~。
もちろん、この当時のアメリカン・プリードと後のルーファスではメンバーが異なっているわけですが、しかし既に「Bend Me, Shape Me」をヒットさせていた1968年当時としては、格段にファンキーロックなフィーリングを持っていたわけですから、まんざら根拠の無い事では???
ということで、今回は「???」が多い文章になりましたが、結局はリアルタイムで若かった頃の自分が好きだった洋楽の情報や真相は、イマイチの不確かさがあったという、その謎の部分に今でも魅力を感じているのでした。